漬実は「まぁ!ジーソ、あなたともあろう人が違いがわからないの?ケチは自分の利益を追求した結果のケチなのよ。

自分の利益となればケチも捨てるわ、サステナビストは持続可能性を目指す人だから、浪費できてもケチるの!ゼンゼン違うわよ」
とジーソをつついた。

彼らは他愛のないオシャベリを楽しんでいたけれど、クッチがサッと立ち上がり、ちょっとごめんねと言って、お守りから涙の結晶を取出し外に出た。

残されたモノたちはクッチを見送り、「クッチさん、最近?涙の結晶を取り出して姿を消すわね」と漬実が心配した。

「あの様子ってスマホの電話を受けた
者の仕草を思い出させるよ。涙の結晶に、そんなチカラがあるのかな?」とジーソはのんびり言った。


外に出たクッチはイライラして「どういうつもり?一仕事して休んでるのよ!」とキラキラ光っているチューブの涙の結晶に話しかけた。

結晶は焦って「風よ、クッチ、風が吹いているわ!チャンスなのよ!この風に乗れば夢の島から脱出出来る。そうすればバーと会えるのよ、

あなたはすっかりここに馴染んでバーを忘れてしまったの!さあ、クッチ、愚図愚図してはいられない!私を高く掲げなさい」と口早に言った。

クッチは先のことも考えず、バーと聞いて結晶の言う通りにした。キラキラ光る結晶をしっかりと握りしめ、クッチは吹き荒れる風に身を任せた。

風はみるみるうちに強くなり、クッチと結晶は空高く舞い上げられた。夢の島を覆う霧は一瞬で吹き飛ばされ、クッチは恐怖で叫び声を上げ、結晶にしがみついた。



続く。