一方、捨てられたお守は、ひねくれた心がムクムクと湧き上がり、「私の力を疑っているのですか?」と、ジーソに反発した。

ジーソは慌てて「そんなことはありません!ただ、この歯ブラシは、彼は、亡くなるその日まで朗らかにしていました。

そんな彼がなぜ事切れたのか、僕は知りたかった。なぜなら彼は僕のトモダチだったから」と泣きながら否定した。

お守りは、ジーソの言葉に耳を傾け、静かに考え込んだ。クッチと漬実は、じっと二人のやり取りを見つめる。

お守りは、再び目を閉じ、深いため息を漏らし「……彼の声を聞かせてあげましょう。」

と、お守りは思い切った。

クッチは、笑顔でお守りに「ありがとう」と言い、ジーソは、期待に胸を膨らませ、亡くなった歯ブラシを見つめた。

お守りは、静かに目を閉じ、集中を始めた。部屋は、静寂に包まれ三人は、それぞれ思いを巡らせながら、お守りの力を信じて待っていた。



そして…お守りの額から、一筋の汗が伝い落ち、お守りの口元が、かすかに震え始めた。部屋に、か細い声が聞こえた。

「…主…ありがとうございました…」

それは、歯ブラシ魂の声。ジーソは、声の主が歯ブラシであることを確信し、顔を上げた。

クッチと漬実は、静かに目を閉じ、声に耳を傾けた。歯ブラシの声は、断続的に聞こえてきた。



声は、次第に弱くなり、やがて…静寂が訪れた。お守りは、ゆっくりと目を閉じ、深いため息を漏らし
「…彼の気持ちは分かりました」と言った。

お守りの言葉に、三人は固唾を飲んだ。お守りは、静かに

「彼は、歯ブラシの使命を終えた後に隙間ブラシとして再雇用されたことに感謝していました。と語った。

続く。