お守りは、クッチの言葉を聞き、静かに目を閉じた。そして、深いため息を付いてから、ゆっくりと口を開いた。
「火葬ですか……私たちモノにとって、形があるということは、死してなお息を吹き返す可能性を秘めているということなのですよ。
死んでいたって、日の目を見て、これは珍しい!なんて掘り出されたら、宝物殿にだって行けるかもしれないのに火葬にされたら、どんな希望もついえます!」
クッチは困ってしまって「…でも、火葬以外の方法で供養するにしても、まずは死者の声を聞く必要はあります声を聞ければ
「形あるモノに囚われた供養」とは異なり、もっと自由に、もっと広い心で供養できるかも知れないし?
お守りは腕を組んで「自由に?広い心で?…それはどういう意味?」と聞いた。
クッチは「お守りさんのように、死者の声を聞くことが出来るなら、死者それぞれの要望に合わせて彼らの思いや願いを理解することができます。
モノの思い残しを解消し、成仏を助けることもできる。そして、彼らの望む供養の方法を見つけることができるのではないでしょうか?」
二人が煮詰まっている所にジーソが割って入ってきた。彼は亡くなった歯ブラシをお守りの前にそっと置き、静かに
「彼の声を聞かせて下さい」と言った。
即効性が肝心な薬味族。ジーソは四の五の言わずに亡くなった歯ブラシの声を聞かせてほしいと思った。
続く。