漬実が立ち上がって言った。「日が暮れるわ、そろそろ帰らないと」

ジーソはクッチに尋ねた。「クッチさんはネズミを見たことはありますか?」

クッチは身をすくめた。「もちろんありますよ、でも得意じゃない。かじられることもあるって聞いたもの、怖いー」

ジーソは真剣な顔で言った。「夜になるとネズミは活動を始めます。ここはネズミの餌が豊富だから、ネズミは主たちの赤ん坊くらい大きいのです。



このゴミの島、通称ドリームランドは、ドブネズミランドとも言われています。夜間の独り歩きは絶対にダメですよ。」

クッチはオオッー!と身をのけぞらし、「ストローほどの太さの触覚を持つゴキブリもいるねー」と思ったけれど、口には出さなかった。

ジーソと別れ、クッチは冷蔵庫を後にして、漬実の住む場所に向かうことにした。ゴミの山が延々と続くドリームランド。

どこまでも広がるゴミの山。そこを飛び回るハエの大群が、まるでエンジンの轟音のように羽音を響かせている。

突然、突風が吹き荒れ、クッチはよろめき、漬実にもたれかかった。「大丈夫ですか、クッチさん?」漬実が心配そうに声をかける。

クッチは顔をしかめ、ハンカチで口を押さえた。異臭が鼻腔を刺激し、吐き気がこみ上げてくる。「く…臭い…もう…無理かも…」クッチは足元もおぼつかなく、膝をついた。

漬実も立ち止まり、近くにあった穴の空いたコンポストに手をかけた。「少し休憩しましょう。これに登れば、少しは風が抜けるかもしれません。」




続く。