それでもクッチは目を丸くして、食い気味に言った。「それは対立しそうな展開で、二人はロミオとジュリエットみたいな?!」と、興味津々、ジーソを見つめた。


ジーソは難しい顔をして、「そうねぇー、でも、僕らの場合はもはや、お互いに三途の川に来ているでしょう」と答えた。

「例えば生きている時だったら、冷蔵庫のポケットで小競り合い、運良く両者がテーブルに置かれたら、なに食わぬ顔をして相手を床に落としたりして、

争うし、時には協力して美味しくし合ったりして、余計に多く使われて喜び合ったりね、泣いたり笑ったり、それが生きてるって事でしょう?」

ジーソは、遠い目をして、かつての自分たちを重ねるように語った。

でも、ゴミとして捨てられたその時から僕らは三途の川に居るんですよ」と、静かに呟いた。


「分かる!タンスにしまわれてる時なんか、主に連れ出された他のバッグを憎く感じて肝焼き?アッ、ヤキモキするし、連れ出されて金座を歩けば、たかだか鼻の鼻高々だもの。モノが生きてるってそうよね。

クッチは、漬実の涙を拭きながらジーソに尋ねた。「ゴミの島に捨てられたのに、なぜ同じチューブ同士が東西に別れて暮らしてるの?もう冷戦する必要はないと思うんだけど。」

ジーソはお手上げのポーズをして答えた。「僕らは使い切られてゴミの島に捨てられたから、生きたなって納得して諦めもつく。

でも、漬実たちはまだ余っているのにゴミとして捨てられたから、ここにいることに納得が行かないんだ。」

それでお互いにそっぽを向き合ってる。だから、僕たちが付き合っているのもお気に召さないのさ。

僕は平気だけれど、漬実につらい思いはさせられないし」と、肩をうなだれた。

続く。