クッチはこの光景に思わず安堵のため息を漏らした。どんな地獄のような場所でも、精一杯穏やかに暮らそうとしているモノがいる。

その事実が、彼女の心を温かく包み込んだ。この空間は、誰かによって作られた小さな希望。


排ガスに吹かれながらもアスファルトの隙間で咲くタンポポのように、暗闇の中でひっそりと輝いている。

その時、テーブルの下からゴソゴソと音が聞こえた。二つの小さな影が、這い出してくる。一人は赤いキャップを被り、もう一人は緑のキャップを被っている。

二人は手をつなぎ、クッチの前に立ち、ペコリとお辞儀をした。赤いキャップを被ったチューブが口を開いた。


「私は2023年チューブ調味料総選挙6位の福神漬実です。6位くらいでは、中身がたっぷり残っていても捨てられちゃうんです。」と、

ハンカチを噛みしめ涙ぐんだ。

緑のキャップを被ったチューブが慌てて口を開いた。「ああ、すみません!見ず知らずの方にいきなり愚痴を言ってしまって…

僕は2023年チューブ調味料総選挙2位の青ジーソです。あなたが空から降ってきたのを僕らは見ていました。

あなたに蛆と蝿がたかって、悲鳴をあげて気絶していたので、漬実と二人でここに運んだのです。そう言って、ジーソはクッチを心配そうに見つめた。

突然空から降ってきて、蛆と蝿にたかられ、気絶していたカバン。彼女は一体誰なのか、そしてなぜこんな場所にいたのだろうか?とジーソは思った。

続く。