あの日、火事騒ぎのあった日。夕方に広場でお袋と口喧嘩したんで、夜の村をぶらぶら歩き回ることにしたんだ。


日が沈んで、静まり返った村を歩きながら、頭の中を整理しようとしたんだが、一向に落ち着かねぇ。

深夜になっちまって、家に帰ってみると、お袋はすでに寝込んでやがった。室内には、糠味噌みたいな、なんともいえない臭いが充満してて、気分が悪くなったぜ。

くそったれ、飯も食わずに寝やがって…俺は腹の虫が収まらず、台所の冷飯をかっくらって、


風呂から上がって一息ついていると、突然ボンッと母親の寝室から音が聞こえた。振り返ると、あばら家全体がもう火の海さ、

火はさらに燃え上がり、龍のごとく燃え上がり、「何だこりゃ!?」と、俺は叫んだ。

「お袋!?」と、寝室に飛び込もうとしたが、熱気と煙で前が見えない。「くそっ!」「このままじゃ、燃え死ぬ!」

そう悟った俺は、お袋を置き去りにして必死に逃げ出したんだ。一人でさ」便トレーはそう語って泣いた。

続く。