村長に案内された宿は、茅葺屋根の古民家的な建物。まるでタイムスリップしたかのような趣のある外観に、期待を膨らませるクッチ。


しかし、いざ室内に入ると、そこはビジネスホテルの一室にリノベーションされていた。

清潔感のあるベッドやユニットバス、テレビやエアコンなど、必要なものは全て揃っていたけれど古民家らしい雰囲気は失せていて、冒険には贅沢すぎるなと感じた。

荷物を部屋に置いたクッチは、村の様子をみようと村の中心にある「ナニがとうとう漏れた滝広場」へ向かった。

大理石の便器形をした大きな噴水の便座部分に村人たちが集い、子供を遊ばせたり、マッタリ会話をしたりしている、一見普通の景色が広がっていた。


しかし、村人たちはピーピー村の落とし紙たちなので、皆、シワが寄っていてペラペラで白い顔をしていた。

その珍しい光景に、クッチは旅の醍醐味ねと思い、広場を歩きながら、村人たちとの会話を試みた。

「こんにちは、この噴水は面白い形をしているんですね」村人たちはクッチを見上げ、口々に答えた。

「これは紀元前3,000年頃に作られた二品最古の噴水ですよ。昔、この周囲にはハニヤス神殿もあったそうですが今はありません。

ですがこれを見たさに観光客の方がたんといらしてくれて、ありがたいです。しかも今日はお客様感謝デーですから、噴水の色が黄色いでしょう?

レモネードが湧き出る仕組みなので飲んでみて下さい!美味しいですよ」とすすめられた。

クッチは飲尿療法無理!と思いつつも郷に入っては郷に従えと、意を決し近くの柄杓から便器型の噴水に注がれるレモネードを一口飲んでみた。

続く。