真珠の養殖場で生まれた男がいた。彼の名は、真珠の樹脂王。真珠の核が十分に成長せず、真珠貝から排出されてしまったため、偽真珠として生きることを余儀なくされた。
樹脂王は、あこや真珠100%使用したパールパウダーをまとうことで、真珠のように見せかけて生きていた。
しかし、肝心なときにはいつも自分は偽物であることを忘れ、調子に乗っては転んでばかりだ。
ある晴れた休日の午後、彼はふと、普段なら足を踏み入れることのない福福百貨店に立ち寄った。
高級ブランドの旗艦店が立ち並ぶ、都会の華やかなランドマーク。
彼は、香水の香りに包まれた優雅な店内を歩き回った。広々としたメイン通路を歩いていると、まるで王様になったような気分になった。
ふと、彼は家で待つ母の顔を思い出した。母は、いつも彼のことを心配してくれる。そんな母に、何かプレゼントをしたいと思った。
続く。