村長に部屋に通されたゴーゴーとは、部屋の中央に置かれたこたつの上に、食べ散らかしたすき焼き鍋のあるのを見ました。

彼は少し戸惑いました。何故ならここは、さっきまでいた街の片隅の寒く暗く汚い廃工場とは、まったく違う暖かい場所だったからです。

彼はこたつに腰を下ろしました。脇にある石油ストーブ上のヤカンはシュンシュンと湯気を、あげゴーゴーとの体を温めてくれます。

「どうぞ、どうぞ」と、イルカ顔の男が笑いました。

ゴーゴーとは、目の前のすき焼き鍋を見ました。鍋はまだ温かく、牛肉や野菜の香りが漂っていましたが、ほぼ空っぽでした。

コーヒー・カップを手にした性別不明の若者が「残念です!もうちょっと早く来ればよかったのにー」と口を尖らせました。

村長も鍋を片付けながら「バイウールーは、どうしました?二人共、ご飯がまだなら、お金はまだ余っているので、寿司でもウーバーイーツしますか?」と言いました。

「僕はカマスジョー寿司が食べたい!」と彼が叫ぶと、イルマンは「餅を6つも食べたんだからダメだよ。

コーヒーもマホイップ抜きにしてね」と言いました。ゴーゴーとは、このホームドラマのようなのほほんとした雰囲気に、一瞬躊躇しましたが

「皆さん、お寛ぎのところ、申し訳ありませんが、実はバイウールーが亡くなりました」と、声を詰まらせながら言いました。

その言葉に、彼らは息を呑み、村長は、ゴーゴーとの言葉に耳を疑いました。

「バイウールーが亡くなったですと?彼は一度死んで蘇った強い男です。死んだなんて言葉だけで信じられるますか?」と言いました。

続く。