イルマンたちは、前日に引き続き、イルカショーとパチンコショーを開催しました。しかし、ワンパチンコは姿を現しませんでした。

彼らは一夜漬けとはいえ、ワンパチンコを捕獲する方法も勉強し、打ち合わせていたので、たいそう落胆しました。

その中でも、特にガックシしていたのは、彼。彼は、ワンパチンコは、魚やエビなどの高級食材が好きだと言っていたのを思い出し、

前日の売上をクスネ、ガケけガニ(正式な重さ79キログラム正味100グラム)やら、ホタテを買って、カニ鍋を作って匂いを振りまきました。


しかし、彼はカニ鍋の匂いに負けて、ついつい食べ始めてしまいました。だからカニ鍋の匂いは、観客たちを誘い寄せてしまっただけで、ワンパチンコは姿を現しません。

彼は、皆からお目玉を食らい、自らも鍋を独り占めしたことを恥じました。が、すぐに忘れて、マーイーカと思いました。また、彼は、会場付近にアッチコッチに落とし穴を掘りまくりました。


その落とし穴は、イルマンたちや観客が落ちてしまう危険なもので、彼は、またもやイルマンたちから怒られました。

イルマンたちは、ショーを終えトボトボと控え室に戻り、

「今日はワンパチンコが姿を現さなかったね」村長はイルカスーツを脱ぎながら言いました。

「残念でした。一夜漬けで確保術を勉強した甲斐がありませんでしたね。でも、売上は上々です!」と、バイウールーは笑顔を見せました。

イルマンは、彼に目をやり「売上の管理はお願いします。勝手にカニを買って、一人で食べてしまう食いしん坊がいますから」と、笑いました。

彼は「でも、諦めないよ!ワンパチンコは、きっとどこかにいるはずだもん、彼女、松坂牛も好きだっていってた!」と、舌なめずりし、また、お小言を喰らいました。

その時、バイウールーのスマホが静かに鳴りました。

続く。