キュレルムの話しは続きます。
「血気盛んな売ーるー村の若者たちは村長の仇討だと騒いだのですが、売ーるー民を導いてくれているワンパチ一族の血を引くワンパチン子が彼らを鎮めてくれています」
彼は「なんでー、そんな必要ないよ。村長を一突きにされて、火あぶりの刑にまでなって、黙ってるなんて、売ーるー村人の名が廃るよ」と、口をはさみました。
「いえいえ、事はそう、単純でもないのです。ボンビーコインに手を出し、破産した村人もいて、彼らが逆恨みで村長を殺めたのかも知れません。
殿中にはわずかな人数しかおらず、村再建を請け負った偽リープが居たかどうかもハッキリしません。噂先行で、事実はヤミカラスよりも深い闇の中。事は性急に行われたのです」とキュレルムはクマシュンのような鼻水をすすりました。
イルマンは顎に手をやり「うーん、確かに、村長は喜び勇んで金を受け取っていた感じでもなかった、かと言って、ブランド物はホシガリスだったようだし、善意の倍売ーるーの申し出を断れない弱さもあったウパ」と言いました。
彼も心配顔で「じゃあ、仇討よりも犯人探しが先決なのかな?」と続きをキュレルムに促しました。
キュレルムは床に目を落として「そうですね。でも、村人たちは自分たちの身内と戦うよりは偽リープ犯人説を信じ、彼らとの戦いを選ぶでしょう。身内を疑ったり殺し合うのは辛いですから」と寂しそうにしました。
続く。