水戸黄門のテーマ曲が流れてくると、角さんは思わず歌を口ずさみ、在りし日のお爺さんと自分の姿を思い出しました。
お爺さんは、「玉ちゃんや、わしゃ、もう、玉ちゃんに水をくれることも出来なくなるかもしれん、
そしたら玉ちゃんはどうなってしまうか心配で寝られない夜があるんだよ」と言って、霧吹きでシュッと、玉ちゃんに水を吹きかけました。
玉ちゃんは天真爛漫、何も分からず「お爺さん、今日のお水は冷たくて気持ち良いよ、シュッシュッして」と、駄々っ子のように言いました。
お爺さんは、ものも言えないのに玉ちゃんの気持ちが分かる気がして玉ちゃんが可愛くて仕方ありませんでした。
お爺さんは笑って、玉ちゃんにシュッシュッと水をかけました。
青空と気持ちの良い風の吹いた日でした。でもそれが玉ちゃんとお爺さんが会った最後の日となりました。
角さんは「泣くのが嫌なら歩こうよ」と、消え入りそうな声で歌いました。銅ーミラーレスは、角さんの頭を撫でながら「お爺さんが亡くなったショックで、記憶を失っていたんですよ。
でも、あなたのサボテンエキスはあなたを守るために、あなたに御老公の幻を見せたのでしょう。
あなたにとって異世界であるボケモン界で、あなたは本当に独りぼっちになってしまって、御老公の幻を見なければ生きていけるはずなどなかったのです。」言いました。
ノクさんは角さんの手を握り「角さん、角さんのナゲキは当然だよ。泣くのが嫌ならなんて今は強がりいわないで、思いを吐き出してしまえば良いよ」と、泣いて言いました。
銅ーミラーレスは、「ノクさん、角さんは少しキラフロルな状態だったから、あなたも苦労されましたね」と言いました。
ノクさんは大きく首を振って、「トンデモナイ! 角さんには大恩があります。砂漠の真ん中に突然舞い降りてしまってフアンテな私に親切にしてくださいました。
もし、角さんの水…エキスですか? がなければ今、こうして私は存在していなかったでしょう。角さんの体液のお陰で私は常にヨーテリーでご機嫌でした」
続く。