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ずんぐりむっくりは丸まっていた背中をピンと伸ばし、窓の外の目に染みる青葉を見た。まだ、弟の人生をホールアウトさせてなるものかと思った。



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ずんぐりむっくり


本当だなぁ、俺は口ばっかりでなんにもしていないし、してやれることなんてないんだよ。お前、他に言いたいことはないか?


俺にできることはお前の言うことを聞くくらいなんだから腹に溜め込んでいるものは吐き出しちまえ。


俺はなにを聞いてもお前の言葉を信じるだけだ。


薄っペラ男は、ハッとして頭を振った。


薄っペラ男


兄さん御免なさい。僕があの時、大人しく待っていたら兄さんの人生は違っていたよね。


火傷なんてしないで済んだ、兄さんが学校嫌いにもならなかった…兄さんの人生を台無しにしたのは僕だ。


僕は僕は、このことを謝らないでは死ねないと思ってた…なのになのに、酷いことを言って…本当に御免なさい…

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俺が聞かなければお前が生きていられるなら俺は、なんにも聞いちゃいないさ。心臓が一時、


止まったんだから幻聴、幻覚なんだと思うだけ。俺に家族、ましてやカワイイ弟が居たなんてことはなかったよ。


それに俺の顔の傷なんて俺だって分からないくらい薄いじゃないか…お前、あの時の記憶が強烈過ぎたんだ…可愛そうに…


それが今もお前を苦しめている…そんな事にさえ気が付かないで


俺は好き勝手してお前を苦しめている…謝らなければならないのは俺だよ。ゴメン…


弟の目にまた大粒の涙が浮かんでいる。身体は大きくなったけれど、今、死の恐怖に怯えて泣いているのは紛れもなくあの日の弟。


死なせはしない、俺が助けると思うと腹の底から力が湧いてくるのをずんぐりむっくりは感じた。


そして弟の肩を強く抱き、任せとけ、任せとけと言った。


マックロファージ巡査は好中球ジュニアと大食作業をしていた。すると肺胞内に爽やかな一陣の風が吹いた。彼は空を仰ぎ見た。


いつもは動きの鈍い肺胞壁がスーパーボールのように楽しげに弾んだ。ああ、なんて気持ちの良い日だろうと、


このことをとくりくりに話したくなった。彼は通じることのないテレパシーをくりくりに送った。


それぞれの仕事をしていた樹状巡査部長、B大佐、監査官、ずんぐりむっくりの細胞民全てが新しい風を感じて晴れやかな気持ちとなり、力、漲った。


ずんぐりむっくりのくしゃみで開け放たれた病室の窓枠に打ち付けられた米子とくりくりは態勢を立て直し、


米子は打ちつけた腰をさすりながら帰るわよ!!とくりくりに噛みついた。くりくりは米子を前足でガッシリ挟んで清々しい青空の下、飛び立った。


しかしすぐに米子の重みで低空飛行となりヨロヨロと素子の待つ喫茶シビアへと向った。


薄っペラ男の瀕死の細胞民たちは最後の力を振り絞りずんぐりむっくりの細胞民たちを応援していたことは誰も知らない。


終わり