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時は江戸前幕府時代。まだかき揚げ将軍が実権を握っていた頃の話。

ある村に黄粉餅之介(きなこもちのすけ)と言う野心家の男がいた。

彼はどうにか一旗揚げたいと村で評判の陰陽師を尋ねた。

 

餅之介:先生、私は現在の地位に甘んずることなく、上を目指したいのですが…

 

陰陽師:ほ~、それは感心、そして私のところに助言を求めに来たのも感心。

今日は張り切って、相談に乗りましょう。

 

餅之介:ありがとうございます。実は私、黄粉餅之介の名を全国区にしたいのです。

 

陰陽師:うんうん、それは分かったけど、君さ、名がそもそも平凡だと思うんだ。

名を改名する覚悟はあるかい?

 

餅之介:はい、黄粉餅の私が全国区になるなら改名くらいなんでもありません。

 

陰陽師:うん、分かったよ。じゃさ、君はこれから金山のある麓の川辺に行きなさい。

そして愛想よく、誰にでも自分は金粉餅之介(きんぷんもちのすけ)と名乗るんだよ。

 

餅之介:金山で金粉とは縁起がいい。ああ、いい事が起こりそうです。

先生にご相談して本当に良かった。ありがとうございます。

 

と黄粉改め、金粉餅之介は 金山の麓の川辺で自分を売り込んでいた。

ある日、かき揚げ家康が金山の視察に来ていると聞き早速、金粉餅之介は自分を売り込んだ。

 

かき揚げ家康は金粉餅之介の味の良さと名の縁起の良いのを褒めた。

そして改めて名を安倍川餅之介と名乗らせた。

この時、かき揚げ家康は縁起の良い金粉の名を餅之介から取り上げたのだが、

実は彼、この時、呪術にかけられていた。

 

陰陽師の安倍は呪術安倍魔界曲を奏でて、かき揚げ将軍の正気を失わせ、

その間に安倍の名を刷り込み、安倍の名が後世まで残るように画策していた。

この事実は安倍の力で闇から闇に現在も葬られている。

 

だからこの話もここだけの話と忘れてほしい。

もし、外に漏れた時は安倍魔界曲が何処からともなく流れてくるかもしれない。

その時、あなたの命の保証はないと思っていただきたい。