ツク
が居ないと淋しいね。
と 旦那様が言った。
そうだね。淋しいよね。
と 私も返事をした。
毎朝のツクの散歩は旦那様の仕事だった。
散歩のついでのゴミ捨ても旦那様の仕事だった。
ツクが居なくなってからは
朝、旦那様が起きて。なんとなくテレビを見て。
旦那様がゴミを持って収集所に行く。
そして戻ってくる。
散歩のついでのゴミだしと
ただのゴミだし。
何かが足りなくて淋しくなる。
いや、何か、じゃなくてツクが居ないからなんだけど。
いつもツクとのお散歩の時に、山や田んぼの写真を撮っていたから
ツクが居なくなって そんな風景の写真を全然撮ってないんだよ。
だから ツクに関わる事すべてが私から突然消えた感じ。
ツクが居なくても 山も田んぼもあるのにね。
と 私が言った。
世の中には 色んな種類の淋しさがあって。
何かをなくす淋しさって
喪失感からくる淋しさだから
なんとなく一緒だと思っていた。
でも 違う。
何（誰）をなくしたか、で
淋しさって全然違うものなんだな、、と思った。
でも
淋しいね。
そう言い合えるだけで ホっとするのはなんだろう。
淋しがってばかりいたらダメだよ、とは思えなくて。
なんかね。
不思議な感じ。
きっと今までの私だったら
こんな風に思わなかったような。。。。。
悲しい事 淋しい事を 断ち切るのではなくて
自分に取り込むような感じで
淋しい気持ちを よしよし、となだめるような感覚というか。
ツクはどこにいるんだろうね。
と 旦那様が言った。
どこに居てもお盆になると戻ってくるよ。
と 私が答えた。
迷子にならずにちゃんと戻ってくるかな。。。
と 旦那様が心配した。
きっと申し訳なさそうな顔つきでこっそり戻ってくると思うよ。
そんな話をしていて
もうすぐお盆だなぁ、、、と 思った。
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