私は六花亭のお菓子やケーキを食べて育った。
当時の六花亭は千秋庵だった。
千秋庵は函館で創業された老舗である。
しかし、帯広千秋庵はオリジナル商品の開発を盛んに行い、千秋庵と対立。

1977年に六花亭と名を変え、千秋庵と決別したのである。
柳月は1947年創業。
帯広千秋庵は戦前創業だが、六花亭となった事により、柳月は六花亭より古いという事になる。
私が子供の頃は六花亭、柳月、竹屋が帯広の御三家と呼ばれていた。
しかし、六花亭の存在が圧倒的だった。
だが、私は柳月のケーキやソフトクリームが大好きだった。
大学生の頃は帰省する度に駅前の柳月でコーヒーを飲みながらショートケーキを味わったものである。

数年前に帰省した際に家にあった最中を食べた。

六花亭のひとつ鍋に似ているが、小さいので紛い物かと思ったら、これが今のひとつ鍋だという。
気付かれないように少しづつ小さくしたのだろうが30年振りに食べた私を騙す事は出来なかった。

これだけ小さくなると別のお菓子である。
餡の中に餅が入っているのだが、そのバランスが全く違う。
私は呆れ果ててしまった。
ひとつ鍋は六花亭を代表する銘菓である。
値上げしてでもオリジナルを守るのが老舗なのではないのか。
更には六花亭はカーリングのLS北見の流行語「そだねー」を商標登録しようとした。
六花亭は北見と何の関係もない。
商人のさもしさ丸出しである。
正に帯広の恥。
私は顔から火が出る思いをした。
結局は北見工大の生協が登録してあったので事なきを得たが、六花亭の看板に傷が付いた事は間違いない。
あの地元の文化や教育に貢献して来た六花亭が、こんな無様な姿を晒した事は残念でならない。
創業家以外から初めて抜擢された社長が功を焦ったのだろう。


ここ数年、帰省する度に感じるのは柳月の躍進である。

実家の近くのスーパーに柳月の支店があるのだが繁盛している。
私が子供の頃は柳月と六花亭は比較にならない位、差があったのだが、今では六花亭に肉薄して来たように見える。

六花亭の和菓子やケーキは濃厚。


それに比べると柳月のケーキやソフトクリームは甘さ控えめでライトである。

今の時代に合っているのかもしれない。

今や私は完全な柳月派である。


六花亭のシュークリームやエクレアで育ったのだが、今では柳月のショートケーキやモンブランが旨くて仕方がない。
このままでは商売至上主義の六花亭は柳月に抜かれるのではないか。
正にウサギと亀。
最近の六花亭の惨状には目を覆いたくなる。