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私は生まれも育ちも借家住まい。
そして現在も賃貸マンションに住んでいる。
実家も県営住宅で現在は母がそこに一人暮らし。
だから私は生まれてこの方『持ち家』というものに住んだことがない。
私が生まれたころには、
父も祖父も事業に失敗していて既に自宅を手放していた。
母が父と結婚した頃は関東近郊に大きな家があり、
その家にはお手伝いさんがいて庭でシェパードを飼っていたという。
母はいわゆる『玉の輿』に乗ったと思っていたのに、
父と祖父の事業失敗により夢のような暮らしは数年で終わってしまった。
そのまま上手くいけば私も立派な
『お嬢さま』だったのに人生つくずく上手くいかない。
夢のような暮らしが忘れられなかった母は、
なんとか私を美智子皇后が通っていた有名小学校に入学させたかったらしい(苦笑)
でも以前の豪邸と違い移り住んだ家は下町の小さな借家。
母の淡い願いは呆気なく消えてしまう。
ダンナの実家は商売をしているのでもちろん持ち家。
そしてダンナは長男。
いずれダンナが実家の商売を継いで…
なんてことには幸いならなかったけど、
将来的に義父母が亡くなったら実家を引き継ぎたいということは生前ダンナがよく話していた。
だからなのかダンナは『家を買う』という発想がまるでない人だった。
長女が生まれた頃…
何かの話しの流れで家を買うのか賃貸のままでいるのかという話しになり、
「家なんて買うつもりは今後一切ない!」
とダンナに一生賃貸宣言をされたことがあった。
私も生まれてこのかた借家しか住んだことがなかったから賃貸に抵抗はなかったけど、
やっぱりマイホームへの憧れはある…
「なんでそんなに家を買うのがイヤなの?」
そう聞く私にダンナが答えたのは、
①35年という長いローンを組むのが怖い
35年もの長い間には何があるかわからないし
リスクを背負いたくない
②とにかく東京から離れたくないし(義実家は関東近郊だけど田んぼしかないのでダンナは東京に憧れがあったらしい)
駅から10分以上歩くところには住みたくない
③家を買ったあとに欠陥がわかったり、
ご近所トラブルや子どもが学校でいじめにあった場合でも家を買ってしまったら気軽に引っ越しも出来ない
その点、賃貸なら気軽に住み替えが出来る
④家を買っても結局メンテナンス費用がかかる。賃貸なら全て大家負担
⑤災害のことを考えると怖い
⑥頭金に当てられる費用が捻出できない
こんな答えが返ってきた。
長女が生まれたのが阪神淡路大震災の年…
地震で壊滅的になった街をテレビで観たダンナは、
当時、余計に家を買うのが怖くなってしまったようだった。
それに我が家は元々収入が不安定。
ダンナも事業に失敗したり転職したりで頭金に用意出来るお金がそもそもない。(苦笑)
家を買おうにもローンの審査が通らなかったかもしれない。
審査が通っても全額フルローンなんて恐ろしい。
でも、ダンナが亡くなってしまった今…
『あのとき家を買っていたらローンが免除になったのに…』
と、やっぱり思ってしまう自分がいる…