さやみる どっちも♀の百合小説です。



「あーうっさ。」

私は山本彩。高校2年。

両親は仲が悪く、毎日喧嘩している
2階の私の部屋まで聞こえる
それを小学2年の弟に聞かせないようにどれほど気を使っているか、コイツらはまるで分かってない

「いってきます」

家に向かって言っているような意味ない挨拶をして学校へ向かう


靴箱に着いたら名前も知らない女子達に囲まれる

「なぁ彩~♡今日カラオケ来てくれへんっ?ありさ、彩に来て欲しいなって…」

「無理やからそういうの、悪い」

「彩~毎日女子いっぱいでええなぁ~俺にも分けろよ~」

朝から女子の話しかしないコイツは、私の親友、愛梨。コイツも私と同じく男っぽい性格や

「くれてやるわ
手出すなら程々にしとけよ」

「いつもあざ~っす!モッテモテのさ、や、か、ちゃ、ん♡」

「うざい」

「せっかくのお顔が恐いよ彩ちゃん♡」


ダルいだけの授業が終わり、昼休みになった
私は毎日1人で屋上に行く
もちろん着いても1人や
ここから見える景色はどこも冷めている
みんな友達ごっことやらをしていて、常に誰かと一緒にいないとダメらしい

「ほんと…アホや…わ…」


気が付くと空は淡いオレンジ色に染まっていた。私は寝ていたようだ

「午後の授業…ま…行く意味なし、か」

そのまま帰ることにした
先生から好かれていない私は出席してもそうでなくても何も言われへん
それが私に対する評価や
私はなんとも思わへん
好かれて愛想尽かすんも面倒やし

「たーぶーん~それは恋なんだろう~か~夕暮れが近付く度に~」

「「お~もい~だせない~記憶に~」」

「誰や」

帰り道私は、夕暮れと歌詞に入っているこの曲を口ずさみながら歩くのが日課になってきている
今日はハモリ付きや

「あっ…ごめんなさい…私も大好きなんですよ♡この曲♡」

「そ…」

趣味が古臭く、親世代のバンドしか聴かない私の歌う曲はもちろん同い年で知っている人は極わずかやろう

ハモってきた彼女はどういう経緯でこの曲を聴き、好きだと感じたのか、私は少し興味を持っていたけど女子が苦手な私は心にとどめておいた
逆に興味持たれて面倒なことになりたくないしな

彼女に少し会釈をして去ろうと思った時

「あっ…待ってください…あの…これっ…」

彼女の手には手紙らしきものが
ラブレターか

「悪いな、こういうのは…」

「違うんです!私じゃなくって!私の友達なんですけど、山本くんの事が好きで…自分やと渡せない恐い気持ち分かるから…受け取ってくれませんか…?」

彼女は真っ直ぐ私を見ていた
本当にその友達が大切なんやろう
私は手紙を受け取ることにした

「良かった…山本くんの話私もよくみんなから聞くんですけど、カッコいいって…」

「ち、ちょい待ってや、」

「なんですか?」

「…山本くん、言うたな。」

「はい……カッコいいって話…?」

「ちゃうちゃう!私女やから!」

「え?…ぇえええ!?そーなん!!みんな彩ちゃんって呼ぶからなんでやろなーとは思っててんけど…」

「いや制服見れば分かるやろ…アホや…(笑)」

「ごめんなさい……彩ちゃん…」

「ええよええよ//暗いし気ぃ付けて帰り?それと…ありがとな、」

「ぜんっぜん!お話できたのと、女の子って知れて良かったです♡」

「じゃ」

「おやすみなさい彩ちゃん!♡」


はぁ…久々に笑ろたな…
手紙…どうすっか…


彩ちゃん、か…///


結局その手紙は読まずに引き出しにしまっておいた