焼き場に立つ少年 | つきしろの街のブログ

つきしろの街のブログ

ブログの説明を入力します。





8月9日


70回目の「原爆の日


報道写真家  ジョー・オダネル  撮影


焼き場に立つ少年」  (1945年 長崎の爆心地にて)








佐世保から長崎に入った


私は、小高い丘の上から下を眺めていました。


すると、白いマスクをかけた男達が目に入りました。


男達は、60センチ程の深さに


えぐった穴のそばで作業をしていました。


荷車に山積みにした死体を


石灰の燃える穴の中に次々と入れていたのです。






10歳くらいの少年が


歩いてくるのが目に留まりました。


おんぶひもをたすきにかけて


幼子を背中に背負っています。


弟や妹をおんぶしたまま、広っぱで遊んでいる


子供の姿は、当時の日本でよく目にする光景でした。


しかし、この少年の様子は、はっきりと違っています。


重大な目的を持って


この焼き場にやって来たという


強い意思が感じられました。


しかも裸足です。


少年は、焼き場のふちまで来ると


硬い表情で


目を凝らして立ち尽くしています。








背中の赤ん坊は、ぐっすり眠っているのか


首を後ろにのけぞらせたままです。







少年は焼き場のふちに


5分か10分、立っていたでしょうか。


白いマスクの男達がおもむろに近づき


ゆっくりと


おんぶひもを解き始めました。


この時 私は、背中の幼子が既に


死んでいる事に、初めて気づいたのです。


男達は、幼子の手と足を持つと、ゆっくりと


葬るように、焼き場の熱い灰の上に横たえました。






まず


幼い肉体が火に溶ける、ジューという音がしました。


それから、まばゆい程の炎が、さっと舞い立ちました。


真っ赤な夕日のような炎は


直立不動の少年の


まだ、あどけない頬を、赤く照らしました。


その時です。


炎を食い入るように見つめる少年の唇に


血がにじんでいるのに気付いたのは。


少年が、あまりきつく噛み締めているため


唇の血は流れる事もなく


ただ少年の下唇に、赤くにじんでいました。


夕日のような炎が静まると


少年はくるりときびすを返し


沈黙のまま、焼き場を去っていきました。




3ヶ月前  


YouTubeのおすすめ動画で偶然、観ました。


この写真はなんとも言えないほど


気を引く写真なので


ずっと気になっていましたが


今日は長崎に「原爆が落とされた日」なので


ブログで記事にしてみました。


記事はそのまま引用しています。





※  上の動画は


NHKスペシャル


解かされた封印~米軍カメラマンが見たNAGASAKI