私が子供の頃、田植えの時期になると田圃の畦や用水路には、野生の芹が青々と沢山の芽を出してて、夕方田植え作業を終える前に夕餉の支度の為に私は母より一足先に帰るんです、そんな時に用水路の成長が良い田芹を摘んで帰りました。


そしてご飯や味噌汁を炊きながら、摘んで来た田芹を洗って茹でてオヒタシを造りました。
我が家は父が戦争で招集され朝鮮で戦死し、母は再婚もせずに産まれたばかりの弟や2歳上の私と3人の母子家庭で生きて来ました。
そんな訳で私が学童前の物心就いた頃から母の手伝いをしていました。
ちっちゃいモミジのような手で弟を見守りながら、一丁前に手伝いをしていたんです。


夕方薄暗くなり始めた頃に母は田植えから帰って来て、並んだ貧しいお膳の上を見て「おぉ…偉いな、オカズが増えたな…美味そうだ」って褒めてくれました。