鮮やかな絶望だ、乾いた笑みとはこの顔のことか。全く醜いぜ……

 

風の強い日だ。無能な俺には有り難いと言い残そう。

自分の声色を伺う毎日、他人に充てがわれる物差し、うるせぇと取っ払うことすらも忘れた。警報がなっている。もうずっと前から。コンクリートにぶち当たれば分かるのだろうか、もっと冷たい場所があることを。

小さい悲しみを常に気にしていたいんだ、人間。

 

誰もいない午後、四角い窓に切り取られた電線が揺れている。

空はグレー。良い色、分け隔てなくて安心する、鉛色、錆びた匂いを感じていたいのか、視線からほのかに香る過去のなんたるかが……中途半端に抉ってくれる、殺そう。

混ざり合わない感情を貼り付けてよく見えるように広げたい。ただしその作業は俺じゃなくて、あー、そう、誰でもいいや。今夜染めた髪の一本が、ほら透き通るブルー。見つかっても捨てられるのさ。

何が言いたい。

俺、こんな日常で何をぼやく。

しみったれた感情と、カビの生えそうな気持ちと、細かく生きている細胞と、刻まれて行く皮膚と。

残したいものは山ほどあって、前を見たり上を仰いだり、でも何にもピントを合わせたくない。ボヤけていたい。誰も俺なんかを、はっきりさせないで。

 

泣こう、ただただ泣こう。

呪ってもいい。恨んでもいい。幸せを思い描いても、空想しても、いい。

そうやって静かな所へ、階段を下ろうかな。鉄が響く音、心地良く。

深い場所。

気持ちいい場所。

懐かしい記憶が思い起こされそうな、目を閉じたらさあ、真っ白な影を追って。

眠るにはまだ早いけど、そのまま浸かっていよう。……

 

大切なんだよ。

どれもあなたにとっては、さ。

俺を見るふたつの目を見過ごしはしない、大丈夫。

悲しみを辿るにも順番がある。横入りは許さない、絶対に。一番はいない。どれにもやりゃしない。

許さない。苦痛が何を貫こうとも、これが全てではないから、低い音、聞こえるように分からせる時が。

ああ、あぁ。

話し声、笑い声。君を待っているのだろう、早く行ってやれ、俺が一生ここで朝に気がつくまで、夜に忘れるまで、歌いたくなくなるまで、口を失うまで、手紙を書き続ける。

 

無様だろ?やめらんねぇよ。……