逐一感情をメモしないといけない。

俺みたいなのは。

あの時笑えなかったから、あの時泣けなかったから、あの時怒れなかったから、棒立ちの人生、何でもかんでも力任せな握り潰したような顔だった。

教わりたいわけじゃない。人間だから分かる。

人を辞めたくなったって、どうしたって人以外にはなれないと今も突きつけられているからね。

 

ひどく陽気で、歌い出したくなるような気分だった。

もし誰かに責められているなら、無責任にも大丈夫と言ってやれるような、博打みたいな突拍子もない勇気。

サイコロがおいでって言ってる。

どうせいくら転がしても目も芽も出ないと思っているくせに、裏切らない数字に頼ってしまう。

新しいものに飛びついた友人は、古くなって戻ってきた。

見窄らしい。

ああなりたくはない、そう唱えていた俺の様も、目を当てられたもんじゃないだろう。

サビまできたからすっかり気持ちがひっくり返った。あーあ、歩いている途中でばからしくなるやつだ、月も半分なのを良いことに瞳の位置が定まってくる、半分も出てりゃ良いよなぁ、さぞかし丁寧に退いたんだろうなぁ。……

 

この世界は別に美しくもないのに、許されるならいつまでも見ていたくなる。

何年生きようがさして勉強にならず、俺だってもう煮詰まらないけれども、さあメリーゴーランド、支配人はこの先もその役割を奪われないでいるんだろう?じゃあもう君がロボットだ、ああ実に良かったね。

言葉が、眼差しが、声色が、その海だ。俺はゆっくり、埃を払って撫でている。

 

凪いだ夜が好きならまだ留まる価値はあるよ。何もこの場所だけじゃない、だけどこの場所を失ってもいけない、いつも一通り売れていってしまうさ、君か君か、君のどれかで。

どうでもいよな、おんなじにしか見えない代物なんて、どうでもいいよ。

だけどまあ、少しは愉快な祭りになって、群衆の前に現れてみたかった。

 

袖を捲って、俺の一切れをさらって欲しいものだった。