傷心。
何度傷つけば、僕は分かるのだろう。
でも、やっと少しだけ、どうしようもなく期待してしまうことは辞められそうだ。
あいつの『駄目』は信用してはいけないんだ。
駄目だと分かっていてやっていた僕も悪いけれど。
もう何度目かは知れたことじゃないが、何というか、はっきりと、別々な気がしたんだ。
僕とあいつは別々。
同じ男同士でも、仮に異性でも、どうやったってもう、相入れることはない筈だったのに、それなのにこんなところまでダラダラ続けてきてしまって。
後悔。
悔やむことはない。
悔いは、無い。
後ろめたくなる程、お互いを知ったわけでも無いし、付かず離れず、でもやはり浅はかだったに違いない。
ただずっと、タブーを犯していた気分だった。
良い心地はしていなかった。
友達でもなく、親友でもなく、家族でもなく、ほらずっと、共犯者だったでしょう?
そういう繋がりでしかなかったから、愛じゃなくて、悪友と呼ぶには接点がなさ過ぎる、余りにも少ない情報量で、それでも此処まで途切れさせることはできなかったから。
聞いてる?
もう、離れることしか、無いよ。
やることなんて、それ以外一切無いんだって。
大丈夫でしょ?
最初から最後までずっとこんな感じで、僕とお前は全く締まりがないよね。
訣別。
どういう意味か、説明しなくても分かるだろう。
僕の方が、言い聞かせるように何度も意味を繰り返したものだ。
なあ、『きっぱり』しようぜ。
突き放すわけじゃないよ、割り切るの。
不思議だよね、曖昧なのに、こんな風に惜しまれたりするものだから。
今更、感謝の言葉も、別れの言葉も思い付かない。
これまでも特別話をしてこなかったし、だったら本当に、近くにいるか、遠くにいるか、それだけの関係じゃないですか。
ああでも、今となっては、その手にも触れちゃいけない気がする。
僕に触れるか触れないかで空を切ったその腕を、取らずにおいたの、正解だったと思う。
だからこんなの、もういらない。