今年は閏年です。

それまでの四年間はどうだった?

四年感しましたか。

僕は、どうでしょう。

とりあえず、寂しいとかは、特にねえかな。

 

 

僕は本当に存在していたのでしょうか。

やり遂げたつもりではあるけれど、何も解放された気がしません。

いつからなのだろう、こんな感覚になってしまったのは。

今思いついたのですが、僕には目標がありました。

目標?

さあ、知らねえが、自分よりも他人が感動してくれること、というのはどうだろう。

自分で自分を賞賛する以上に、反響があったら、すぐに心臓をくすぐられたみたいに単純な気持ちになれるだろ。

そうしてそのうち、本当に嬉しくなってくるよ、レモンを絞ったみたいにじんわりとこの酸っぱいのが染み出して、溢れて仕方なくなるんだ。

きっと、あの時の僕は、そうだったんだ。

 

 

逞しいとは言えないこの体を、どれだけ張ることができたんでしょう。

たくさん、無理はしたんです。

あんなに頑張れたのに、打ち上げだとか飲み会だとかにまで行く気力などありませんでした。

家族が待っているから、というよりも、もう一刻も早く眠りたい……。

疲れ切った体にそれ相応の処置を施せば、きっと実感が湧いてくるに違いない。

 

 

風呂の湯が冷めていく。

誰もいなけりゃ、ずっとこのままだ。

肌の水滴が姿を消す。

この微温湯と一体化できそうでできないのは、何故。

……見れば分かんだろ、こんなに溶けてるのに。

人の形を保つのは面倒臭いよ、液体のように収まるところに収まればいい、でも、そう言い聞かせても、固体の僕は沈んでいくだけ。

結局は僕に押し上げられるこのお湯にさえ、虚しく思う。

ふやけて、萎える。

何事にも僕は、浸りすぎなのだ。

 

そう言えば、冷蔵庫も無駄に大きい。

少し物怖じするほどには、僕よりも存在感があるようだ。

最近は酒も飲まなくてね、つまらなくて申し訳ありません。

家に帰ると誰かが待ってくれているのは、良いもの?……さあ、僕は当分独りがいいし、そう思うということは、誰かと暮らしても空っぽの部屋が恋しくなるということだから、うん、君のことか、興味はねえから、持ち帰るとかはないよ。

そう、酒を飲まないってのは、そういうことさ。

だけど僕は、この無駄に幅をとるでけえ冷蔵庫の前で、一体誰に言い訳をしているのでしょう?

 

善も悪もあった。

逃げた?

逃げなかった。

勝ち負けなど興味はないか。

いや、口は滑ってもそんなはずはない。

ずっと胸の内が浮かばれないでいるのは、僕がまだのんびり呼吸をしているからだ。

いつか湖で溺れただろう、あの慌ただしさ、最高だったじゃないか、死ぬと直感したあの時全てが、僕が生きているということだったんです。

苦しみから逃れることこそが、生きる希望?

悲しみは寧ろ心地良い、痛みも嫌いになれない、でも、苦しいという衝動的で永続的なあの感覚はどうしても辛い、生きていることを忘れる程のあの絶望から、どうしても僕は遠ざかっていたい、だけれども嗚呼、それこそが……!……

 

 

厳しい人間に心を病むのが羨ましいくらいに、無気力な人間不信。

それでも他人を愛し、自分を愛し、世界を拒まずに、恐れずに、喉を通す。

難しいことだよ、とてつもなく、僕には関係ないと背を向けていたいものです。

それでも少し顔を上げるだけで、誰かが簡単に共有しに来てくれるだろ?

個人個人がお持ちの、自分の価値観てやつを。

あっという間だよ、インターネットみたいに、そう、Wi-Fiのパスワードを共有するみたく(笑)

 

僕のも貸すから、君のも貸して。

もう、年が明けてから一ヶ月経っちまうんだ。

すでに後悔してんだ、今年は閏年なのに、くだらねえことで悩むな、僕の誕生日なんてどっちでもよかったのに、なんなら二つあってもいいだろうに、どうしてわざわざ、どちらか一つにしてしまうんだ、その時、僕には選ぶ権利は無かったっていうのです?

調節、調節!

足りなかったら増やせば良いよ、でもさ、引き算の方が人生効率良くて、正しくないものばっかり、もううんざり、生まれた時から本当にそればっかりだったよ。

誤算?

そう。

理由なら得意です。

答えを出すのはもっと得意です。

だって最初は、僕以外の全員が既に知っていやがったから。

 

 

もう一度風呂に入ろう。

風邪も引いていたし、本当に、こんなの、洗い流さないと。

そして、また一から考えるんだ。

どうして僕は固体なのかを。

平均を差し置いて、またこれからのために整えましょう。

 

整えましょう。