フィルターを何枚も重ねた

これは誰の人生劇場

 

夢は覚めるけど

舞台は幕を開けたまま

お芝居を続けている

 

普段よりも数倍美しいのに

夢だと分かって口を噤む

どうして?

夢の中にまで現実はあるようだ

みんなあんなに空を飛ぶのに

僕にだけ羽は無い

 

自由になるのも楽じゃない

怖いことばかり降り注ぐ

どうしようもないことだけに

結局僕は降伏しがちで

胸を打たれて感動してる

見たままを伝えたい

そう思えば思うほど

傷が増えて

傷は増えて

ああ、でも

乱暴でも、許して。

 

忘れないうちに

忘れないようにするから

夢が今でも

今が夢でも

弄ぶその余興を

誰かに話して嘘にするんだ

面白おかしく語ってやるから

 

ねえ、それなのに遅いよ

至ってまだまだ始まらない

全部がスローで全く草臥れる

この人生は粗末な劇でありながら

しかし席は人に満たされて

野次馬に罵られ

たった一声に救われたりするのに

僕ったらまだセリフも覚えてない

 

嫌になるこんな舞台

ここから飛び降りても

次は観客になって

空っぽのステージに手を叩くだけ

ねえ遅いよ

物覚えが悪くて

焦らしてまで始まらなくても

せめて終わらせないでくれよ

 

 

下手な人生の方が

見世物になるから