2022/11/15放送
マツコの知らない世界
https://www.tbs.co.jp/matsuko-sekai/
'日本の昭和ポップスで世界を沸かせる韓国人DJ'
Night Tempo(ナイトテンポ)さん(以下、NT)
NT「こんにちは」
マツコ「独特」
NT「こんにちはです」
マツコ「スーツ着てるの?」
NT「当時のスーツ」
マツコ「え、それ昔の、本当に昔のやつなんだ?」
NT「はい。シャッター街で買いました」
マツコ「『シャッター街で買いました』って。肩パッド入ってる系よね?」
NT「意外と中に肩あります。自分の肩もちょっとあって、まあこれでちょっと目立つような」
マツコ「なにちょっと肩幅自慢を入れたのよ」
ナレーション「日本のみならず、世界中で昭和ポップスで沸かせるDJ、Night Tempo。彼の名前が一躍世界中で知られるきっかけとなったのがこの曲。2018年ネットにあげた竹内まりや『PLASTIC LOVE』の再編集版。これがたちまち世界中で話題となり、動画の再生回数はなんと2000万回超え。以降、彼の手によってさまざまな曲が時を超え、再脚光を浴びることに。例えば渡辺真知子の1978年の第ヒット曲『かもめが翔んだ日』も、Night Tempoの手にかかると縦ノリの踊れるナンバーに。他にも1986年に大ヒットした渡辺美里の『My Revolution』もこんな感じに。さらにヒロシ&キーボーの『3年目の浮気』のようなバリバリの歌謡曲もNight TempoがRe-editすると、若者が踊れるディスコソングに早変わり。2019年からは80年代の名曲を現代にアップデートする昭和グルーヴシリーズをリリース。今世界が注目する存在なのだ」
マツコ「すごい時代になったよね。あたしたちですら忘れている曲を、外国の人が見つけてくれてさ。何きっかけだったのよ?」
NT「お父さんがいろいろ海外の物を仕入れてきて。中山美穂さんの『CATCH ME』っていう曲で。角松敏生さんがプロデュースした曲なんですけど」
マツコ「みぽりんきっかけなんだ」
NT「はい。でもハマったのはWinkから」
マツコ「でもWinkだってさ、リアルタイムではないんじゃない?」
NT「ちょっと遅れたリアルタイム」
マツコ「『遅れたリアルタイム』」
NT「そこは理由があって」
マツコ「理由あるの?難しい。遅れたリアルタイム?」
NT「韓国はカセットとか、そういった80年代のものが、90年代に入ってからすごく流行ったんですよ」
マツコ「あんたおませさんだったのね。5歳のときからそういうの聴いてたの?」
NT「ものとかはいろいろ」
マツコ「賢そうな顔してるよね」
NT「そうですか?」
マツコ「ほらほら。もう3歳のときに、もうなんかわからないけどカエルを握っている。あれはなんか韓国だと有名な置物」
NT「幸せを連れてくるっていう」
マツコ「だからきっとあれお父さんとかお母さんが『カエル持ちなさい』って言ったのよ」
NT「確か小学校、引っ越しするときに捨てたと思うんです。元々プログラマーなんですけど」
マツコ「そうなんだ。じゃあもうお手の物。簡単なのね、音楽のリミックスするくらいね」
NT「パソコンでできることはだいたいできるとは思います」
マツコ「今だからそれができるようになったから、本当に間口が広がったよね。音楽のハードルが。だいぶ下がったよね、昔よりね。昔は楽器ひけたりとかしないと作れなかったわけじゃん」
NT「パソコンでできる趣味がなにがあるかなと思って。あ、音楽作れるわって思って」
マツコ「ちょっとやってみようかな、くらいだったんだ、最初は」
NT「そこもバックグラウンドがあるんですけど、中学生のときに音楽がやりたくて、お母さんに『音楽学んでみたいです』とかって言ったら殴られました」
マツコ「急展開なんですけど」
NT「だからまあプログラマーという」
マツコ「なるほど」
ナレーション「転機が訪れたのは5年前。趣味で作った竹内まりや『PLASTIC LOVE』のRe-edit版が彼の人生を一変させる」
NT「ネットにアップしてみたら、それを誰かが勝手にYouTubeに僕がエディットしたものをあげて。それが伸びて、けっこう自分の手に負えないくらいの状態になって。ああじゃあ僕は自分の道を探さなきゃならないって思っていて。ちょうどいい歳だったので。31歳。自分の人生1回振り返ってみたんですけど、この歳で変えないと、永遠に自分がやりたいことできないなと思っていて。会社退社して、ちゃんとした仕事としてリリースして。けっこう海外でも聴いてくれたりしていて。ああやってよかったと思いました」
マツコ「どこで見つけるの?ああいうの」
NT「情報の元は日本のWikipediaです」
マツコ「でもそんなすごい情報がいっぱいある中からさ、『いいな』と思うものも見つけなきゃいけないわけだ」
NT「はい」
マツコ「それってさ、全部チェックできる?」
NT「そこが僕はやはりプログラマーだから、1日20時間くらい座れるんです」
マツコ「あたしさっきからずっと、ちょっとごめんなさい、笑っちゃってたんだけど、あの好きなアーティストの中にダフト・パンクが一人だけ入っているのよ。さっきからツボなのよね。角松敏生、ダフト・パンク、菊池桃子、って並び見たことないわよ」
NT「『One More Time』という曲がすごく流れていて、ずっと聴いていました」
マツコ「『One More Time』ってあれだよね、松本零士さんがPV、アニメ書いたやつだよね」
NT「はい。そこからは音楽的にもビジュアル的にもいろいろ影響されたり。あと菊池桃子さんもビジュアル」
マツコ「ビジュアルなの?」
NT「映画とかビジュアルが。空を飛んだり、宇宙人と連絡したり」
マツコ「それだけ話すと菊池桃子さんがおかしな人みたいになっていて。映画の中の話ですからね、みなさんね」
NT「映画の中の話です」
(映画「テラ戦士Ψ BOY」)
マツコ「映画の中の話ですよ。杏里さんとかなんてさ、本当にあのときの日本だから、ああいう曲できたんだよね。あたし『気ままにREFLECTION』って曲が好きなの。めっちゃ好きで。南の島かなんかに行って、不貞をはたらくっていう歌なんだけどね。それを『気ままにREFLECTION』っていうね。歌詞とかもさ、なんて言ったらいいのかな、なんか壮大なんだよね。みんな海外旅行とかに行き始めてさ、夢や希望が詰まっている人が聴くからさ。異国がいっぱいでてくるのよ。なんか不必要に。明菜ちゃんなんてすぐ中東に行っちゃうのよ。もう本当油断しているとすぐ中東の歌を歌うのよ。砂漠の歌を歌うのよすぐに」
《なぜ外国人に愛される?昭和ポップス人気の秘密》
NT「カセットテープとか、昭和レトロのグッズとか、いろんなものが好きで。例えばこういった時計とか。これもちゃんと自分で直してこうやってつけたら入るんですよ」
マツコ「懐かしい。なんかデジタル時計ブームってあったのよ。もうあんたたち知らないだろうけど、若い子」
NT「僕は今集めています」
マツコ「今でもけっこういい状態で残っていると、プレミアついちゃったりしてない?」
NT「その前に買い始めたので」
マツコ「うわ、早い。早いのねあんたね」
ナレーション「昭和レトログッズであふれる韓国の自宅をご紹介」
NT「どうも、Night Tempoです。今から僕の韓国の自宅を紹介します。部屋の中はこんな感じです。こちらは置時計なんですけど、ずっと光っていてきれいです。こちらは僕が大好きな菊池桃子さんの写真集です。Winkさんの写真集。よく神保町に行って買ったりしています。インスピレーションをもらうために、いろんなコンサートのビデオテープとか映画とか、いろいろ持っています。こちらの映画は奥に入れて大きいポスターを部屋に飾っています。僕はカセットテープが大好きで、いろんな種類のカセットテープを集めています。日本のものは合わせて700本くらいあると思います。同じカセットテープを何個も買う理由は、カセットテープは1回切れちゃうと元の音にならないので。竹内まりやさんの『ヴァラエティ』は11本持っています。カセットテープ以外に集めているものは、当時のデジタル時計です。たぶん全部合わせて300個くらいはあると思います。一番好きなのはゲームを遊べるものです。最近よく聴いているものはスペクトラムさんのアルバムです」
♪トマト・イッパツ
マツコ「すごいタイトルだな」
NT「こうやって音楽をかけて、いろいろアイデアを思い出したりしています」
マツコ「でもまさに今ああいう音きてるでしょ、また。ソウルっぽい音。今のっていわゆる向こうのChicだったりとか、EARTH WIND&FIREとか、あっちのリスペクトオマージュじゃない、あれって。ああいうことしている人いっぱいいたのよ。だからたぶん、なんていうのかな、音楽に対して日本人ってめちゃくちゃ貪欲だったと思うんだよね、あの頃。もう世界中のありとあらゆる良い音楽を知りたくて、それをすぐ吸収してああやって学びたくて。なんであんなにむさぼるように音楽を聴いてたんだろう」
NT「でもすごいですよね、当時ネットもないのに情報を」
マツコ「いやだから変な話、すごいあたしよくやっていたのが、FMラジオを聴いてるじゃん。DJの曲紹介も終わっちゃってて、途中から聴いた曲とかで、気になったやつとかを何時何分ってメモっておくのよ。そうするとたぶんそういう問い合わせが当然のようにあったんだよね、当時って。そういう窓口がいて、全然いやがらずに『昨日の夜10時58分ですね。了解しました』って言って、すぐに『だれだれの何って曲です』って教えてくれるのよ。知らない曲をそれで知って、買いにいって、そこからまたその人を知ることで、そのジャンルの他のミュージシャン知ったりとか。なんか意外とネットなくてもなんかいろいろ広がってったよ」
NT「実は今日、これですよ」
マツコ「そんなにいっぱい持ち運ばなかったから、そんなケース持ってなかった」
NT「本当にこうたくさんいいものがあって」
マツコ「ちょっと見つけちゃったんだけど、荻野目ちゃんの『VERGE OF LOVE』」
NT「日本語版です」
マツコ「日本語版よ。当時荻野目ちゃんがアメリカでレコーディングして、向こうでCD出したのよ。すごい良いアルバムなのよ。でもあまりにも高度なことをしすぎて、日本ではこれ売れなかったのよ」
NT「でも香港のダンスチャートに上がった」
マツコ「香港のダンスチャート?」
NT「僕これ香港で買いましたよ」
マツコ「そうなの?あたし荻野目ちゃん好きだったんだよね。今もね、すてきですけど」
NT「僕の幼い頃は、まだカセットテープを聴いてたんですよ」
マツコ「いやみんなさ、もちろん知ってると思うけど、自分で編集するの。テープに1曲ずつお気に入りの曲やって。だからその好きな曲がきれいにおさまるように、例えば4分12秒、『こっち4分12秒、でもこれ3分50秒しかあまりがない』っていって。違う曲で3分50秒でおさまりがいいやつとかをもってきて、自分で編集するのよ。あれ取っとけばよかったって今思ってるの、あの編集したやつ」
NT「オークションにたくさんあります」
マツコ「いやいや、自分のやつだよ」
ナレーション「Night Tempoの海外ライブでは、日本語のわからない外国人が昭和ポップスに熱狂。彼らはなぜ30年以上前の異国の曲に惹かれるのか?ライブで共演したDJにも話を聞いてみると」
DJ Vantageさん「日本の80年代の音楽にはソウルがある。もちろん洋楽の影響を受けているけど、別で日本のルーツがあるからアメリカの80年代とはちょっと違う。もっとエモーショナルなんだよね」
ナレーション「さらに日本に住む80’s Japanese POPSマニアにも話を聞いてみると」
ニック・ラスコムさん「僕がすごいと思うのは、この時代の日本の音楽のレベルの高さ。ミュージシャンの演奏もすばらしいし、曲のアレンジ、ストリングス、全てがぜいたくでお金がかかっている。でも日本の80年代の音楽は日本の中だけに閉じ込められていたから、まだまだ知らないすばらしい曲がたくさんあって、まるで宝探しみたいなんだ」
NT「『なんで日本の曲が好き?』って聞くと、住んだこともないけどなぜかなつかしさを感じるっていうことで。実際に僕もけっこう同じ。まあ同意します」
マツコ「でもね、なつかさしさはあたしたち向こうの人の気持ちわからないけど、さみしさはわかる。圧倒的に日本の歌ってさみしい。あれなんだろうね。感情的なものがすごく日本の歌は、良く言うと‘さみしい’‘悲しい’だけど、悪く言うとしみったれてる。湿気を感じる。カラッとしてないのよ。それはねすごい日本の歌って独特だなあって思う」
NT「イントロも昔の日本の音楽って、本当にイントロ、価値じゃないですか」
マツコ「ていうか、あたしだから今の音楽をあんまり聴かない理由のひとつも、イントロも間奏もないじゃない」
NT「忙しいですよね」
マツコ「そう。なんかもちろんだからラップがはいったりとか、メロディーが2番変わったりとか。変化はがんばってつけてるけど、ギターソロとか入ってないと、たいして変わらないじゃん。1曲通しての物語としては。なんか物足りないのよね」
NT「トイレ行って、すっきりしてない気分」
マツコ「そういうことにしておこう。あーあ、またでもこれ言いすぎるとまたほら、オワコンオカマがノスタルジーで語ってるってまた言われるから、やめよう」
NT「でも‘ノスタルジー’って言われてもいいと思います、逆に今は。みんなが『ノスタルジー良いわ』を言っているので」
マツコ「あらやだ」
NT「今は大丈夫です。自分が自分に偏見を持っていると、厳しすぎるんじゃないかな?」
ナレーション「日本と海外、両方でライブをおこなっているNight Tempo。そんな彼はある違いに気づいたという」
NT「自分がDJとして現場でやってみて、日本と海外、やはりウケる曲がかなり違ったりするんです」
マツコ「そうだね。あたしまりやさんすごい好きだけど、おしゃれな曲だなとは思っていたけど、『PLASTIC LOVE』って。でも『好きな曲は?』って言われたら、あの当時のまりやさんだったら『SEPTEMBER』とかのほうが好きだから。すごいこっちなんだっていうのがすごい思った」
NT「例えば、日本でDJするときに『みずいろの雨』とかまあみんなで歌えるから、だいたい当時すごく売れていた曲」
マツコ「八神純子さんで海外でウケる曲?」
NT「今もう大人気ですよ」
マツコ「ヒントは?」
NT「かっこいい。でも全部かっこいいですよね」
マツコ「じゃあ当てられないよ」
ナレーション「このように、日本人がライブで盛り上がるのは、往年の大ヒット曲。そのため、若者から60代まで幅広い年齢層がライブに来るという」
マツコ「細川たかしさん急に入ってくるのがすごいわね」
NT「今回初めてやってみました、演歌。みんなで歌えたり、サビを歌えたりするじゃないですか。でもこれは日本のノリ方と欧米のノリ方が全然違って。日本ではもうみなさんこう立って、こうやって『♪君は1000%』言うんじゃないですか。向こうではもう踊りまくってるから、歌うヒマがないんです」
マツコ「だから歌うメインっていうよりは、ノリやすい楽曲が好まれるってこと?」
NT「ノリやすいし、やはり雰囲気に酔う」
ナレーション「というわけで、選曲の違いに注目して、アメリカライブの模様をご覧ください。開始前から大行列。彼らのお目当てはNight Tempo。いざNight Tempo登場。超満員の会場に届けられる最初のナンバーは?荻野目洋子が88年にリリースしたアルバム収録曲『Eye Spy The Night』。さらに、シンガーソングライター濱田金吾のアルバム曲で、海外のTikTokで使われ大流行した『街のドルフィン』」
マツコ「たぶん日本だとそんなにヒットしてないもんね」
ナレーション「さらにその後も、ユーミンのツアーのバックコーラスも務めた秋元薫の『Dress Down』や、数々の海外チャートでトップ10入りした大貫妙子の『4:00A.M.』。そして、中原めいこのアルバム収録曲『FANTASY』など、日本のライブとは選曲がかなり違うのだ」
NT「なにが差なのかなっていろいろ考えてみたんですけど」
マツコ「なんだろうね、『淋しい熱帯魚』が海外の人が盛り上がる意味がちょっとわからないわよね」
NT「自分なりに経験から出した結果、これがたぶん正解ではないと思います。でも自分はこう思いました。海外でウケる曲の条件っていうことで、テンポが速すぎない」
マツコ「だから『悲しみがとまらない』くらいがいいのね。『きままにREFLECTION』は速すぎるのね」
NT「しかも『悲しみがとまらない』は僕はエディットをして、BPMを下げています」
マツコ「あれより下げているの?」
NT「はい。128くらいに下げています。原曲はもっと速いんですけど。歌詞もそんな多くない。向こうは歌詞を知らないから、例えば『PLASTIC LOVE』とか、ここに並んでいる曲はゆるくグルーヴを感じれる歌声でも、でもバババっていったら聴きづらかったりするんですよね。一番いいポイントとかに英語がちょっと入っていて。例えば『Dress Down』っていう曲は、『♪Dress Down』ってパートがあったり。『Lady Sushine』『♪Oh lady sunshine』ってときにみんなそこだけ言うんですよ。例えば、『♪stay with me』っていったらもう『♪stay with me』だけを歌ったり。一言だけで記憶に残るから、またその曲を聴きたくなるとか。こういった現場にいても、自分が知っている単語が入ってるだけで盛り上がるっていうのもけっこうあったりします」
マツコ「だから‘躍らせなきゃいけない’が基本なのよね。向こうでウケるためにはさ。そうなるとあたしも『青い珊瑚礁』では踊れないもん」
《難解!だけど奥深い…。日本の歌詞の世界観》
ナレーション「外国人にとって意味を理解するのが難しい日本語の歌詞。Night Tempoいわく、日本語がわかるようになるにつれ、逆にある悩みが生まれたという」
NT「今は日本語をけっこう理解できるようにちょっとはなったんですけど、歌詞を知らなかったときと今歌詞を少しでもわかるようになってからの温度差。良いところもあったり、悪いところもあるんですけど。良いところは内容はわかる。でも悪いところはここに自由にエディットしちゃってもいいのかっていうのがちょっと心配になって」
マツコ「でもそれはいいと思うよ。その言葉の意味に気を遣いながらやる必要はないと思うよ。音として、だからだってほら、人気出たわけだしさ」
NT「でもそこで元々から好きだった方たちからは『なんで自分が好きな曲をこうするの?』とか言ったりする方、たくさんいるじゃないですか」
マツコ「まあ、いいんじゃない?ほっとけば。とにかく今はもうネットの使い方を世界中の人が今勉強している最中じゃない。だから無くなっていく気がするんだよね、あのクソみたいなわざわざ文句とか書き込みにくる人とかさ。あれもういいかげんになくなっていくと思うんだよね、そろそろ」
NT「でも大丈夫です。僕元々ホワイトハッカーやってたので。そういった人たちの7割くらいは調べて、いざとなったら訴える準備をしている」
ナレーション「そんな彼には歌詞の意味を知ってびっくりした、80年代アイドルの曲があるという」
NT「Winkの『淋しい熱帯魚』っていう曲」
マツコ「あのとき絶頂期だよ本当にもう」
NT「曲だけ聴くとユーロビートだったり、いい感じの曲じゃないですか。聴いてると歌詞をわからなかったときは、山でドリフトしたくなる」
マツコ「ドリフトをしたくなるの?ドライブはわかるけど」
NT「想像だけで」
マツコ「想像ね」
NT「運転は苦手です」
マツコ「実際はドリフト。なかなかドリフト得意って人いないからね」
NT「実際の歌詞をわかったら」
マツコ「まさかそういう歌詞だとは思わなかったんだ。明るいような曲だと思ったんだ?」
NT「だって始まりから『♪パンパンパンパン』出たら、すぐ車のシフトを入れたい」
マツコ「まあね。まああとやっぱりユーロビートって〇〇でかかることでも有名ですからね、やっぱりね」
NT「そうですか?」
マツコ「そうらしいよ」
NT「経験がないです」
マツコ「ええ?」
NT「あと明菜さんの」
マツコ「渋いね」
(「OH NO,OH YES!」中森明菜)
NT「声と曲調だけで聴くと普通に外国人としては、女性の美しいメロディーにグルーヴィーなムードを感じれるんですけど。歌詞はこれですよね」
マツコ「あのね、あと当時の特徴としてね、不倫の歌がめちゃくちゃ多いのよ、日本って。相当不倫願望の強い国だったんだと思う。なんかああいうのって、余裕がないと出てこないんだなっていうのは今の歌とか見てると。まあでも世界的にそうなのかな。なんか、歌詞とか現実的な歌詞が多くなったよね。前めちゃくちゃな歌詞あったじゃない、いっぱい」
NT「言葉遊びとかですよね」
マツコ「そうそう。日本の歌詞ってすごい独特だったと思うのよ、昔。感情表現が。『I love you』だけじゃないじゃない。今日本の歌ってけっこうめちゃくちゃシンプルな歌詞をみんな使っているけど」
NT「昔、例えば角松さんの歌詞とか見ると、『I love you』もあるけど、『君をさらって』っていう言葉を入れたりするんですよ。危ないんじゃないですか?今は」
マツコ「いやいや、今もそれは大丈夫だと思うけど。まあでもそうよね、大丈夫か大丈夫じゃないかは別にして、あんまりそういうクサい表現というかさ、かっこつけた感じのはあんまり歌詞に使わないよね、最近ね。本当昔の歌って1回聴いただけではちょっと理解ができないというか、っていう歌詞が多かった気がする」
NT「そこで僕は外国人なので、理解」
マツコ「がんばっていっぱい勉強したのね、それを理解するために」
NT「がんばりました」
マツコ「いや、大変だよね、それは」
NT「日本もそういうものあると思うんですけど、韓国もまさに今が」
マツコ「不倫願望の歌が多いの?」
NT「例えば韓国の朝ドラマを見ると本当に不倫ばっかりなんですよ」
マツコ「やっぱり景気がいいときって、不倫したがるのかな、人間って」
NT「いきなり奥さんのお母さんが会社に来て、キムチでビンタ。殴るんですよ」
(「みんなキムチ」)
NT「キムチでなんで殴ったかというと、それはキムチの広告です」
マツコ「すごい。やっぱり韓国進んでいるわね。でもキムチ、どこのキムチかわからないじゃねえかよ、本当に」
NT「そこが、ちゃんと出して。パッケージを」
マツコ「え?開けるところからやるの?」
NT「そうですね」
マツコ「すごいな本当。そうやって稼げ、もう日本も。こうバッて牛乳引っかけるじゃない。『おいしい牛乳』って見せたあとに、バーッてこうね。ちょっとおもしろいな。なんて呼んだらいいの?いや、ナイトはだって」
NT「ちょっと中二病っぽいですよね」
マツコ「中二病っぽいか?ナイト」
NT「ナイトくんっていったら」
マツコ「ああ、まあテンポちゃんのほうがなんかいい。シャレてる。ナイトちゃんはちょっと痛々しいもん」
NT「手袋をかけて」
マツコ「『手袋をかけて』?」
NT「B級映画に出そうな」
マツコ「そっち系ね。なんだ。あたし新堂真理子かと思ったわ。『スチュワーデス物語』知らないよな。堀ちえみさんわかるだろ?」
NT「最近Instagramフォローしました」
番組スタッフ「実はですね、今日『Night Tempoさんにお会いしたい』って方が来られています。入っていただいてもよろしいですか?じゃあすみません、ちょっとお願いします」
菊池さん「こんばんは、菊池桃子です。こんばんは」
マツコ「ちょっと!桃子!」
菊池さん「来ました。すみません、突然。お邪魔します」
マツコ「いやいやいや。ちょっとねえ。本当になに?知らなかったんでしょ?」
NT「びっくりしました」
菊池さん「すみません」
NT「いえいえ、ありがとうございます」
マツコ「こう見えて本当は照れ屋なので。本当は今バクバクしています、心臓」
菊池さん「いえいえ、そんなことないと思います」
NT「今ラ・ムーのカセットテープにどうやってサインもらおうかっていうのを考えています」
マツコ「今日ラ・ムー入ってないのか?あったじゃねえか!おまえこれ」
菊池さん「ありましたね」
マツコ「ねえ、全然変わってないね。あたしが子どものころ見ていた菊池さんと。いやだから、声もかわいいままだし、しゃべり方とか」
菊池さん「『変わってない』も問題ですけど」
マツコ「何言ってるの。今みんな変わりたくなくてしょうがない中で、こんなナチュラルに変わらないでいられるって。かわいいだろ?」
(NTうなずく)
ナレーション「1984年、『青春のいじわる』で歌手デビューした菊池桃子。記念すべき『ザ・ベストテン』初登場シーンがこちら」
NT「僕、菊池桃子さんの映像の中で『Say Yes!』が1位になったときに、桃子さんが真ん中にいて、みんな周りにいて。その映像が一番好きなんですよ」
菊池さん「私もすごくあれはびっくりしたし、うれしかったの」
NT「気持ちが落ちたときに観てます」
菊池さん「ええ?あれで元気になれる?」
マツコ「盛り上がっちゃってる。ていうか、本当変わらないね、桃子さん」
菊池さん「いえまあいろいろ」
マツコ「いろいろありましたけど」
菊池さん「いろいろ変わってますけど」
マツコ「いろいろあったのは存じ上げてますが。すごいかわいいね、今も」
菊池さん「雰囲気がですか?」
マツコ「いやいや、すごい。びっくりするね」
ナレーション「4枚目のシングル『卒業』からは、なんと7作連続でオリコンチャートの1位を獲得。そして歌だけでなく、映画にも主演(『アイドルを探せ!』)。1988年に転機が。ラ・ムーを結成。R&Bの要素を取り入れるなど、新境地を開拓。実はそんなラ・ムーの楽曲がここ最近、世界的なシティ・ポップブームの中、再び脚光を浴びているんです」
マツコ「テンポちゃんのやつもそうだけど、原曲も今聴き返すとすごいわ。さっきもそういう話してたんですけど、やっぱりあの頃って日本ってすごいアイドルだったのに、それに挑戦させる。今だったら怖いというか、想像すらしないと思うのよ。あれができちゃうって、相当この芸能界も含めて日本っていろんなチャレンジをする国だったんだなって。今ラ・ムーとか画期的よ。桃子さんの両脇でけっこう高身長なサイバーな恰好した黒人女性が2人いて、なんかなんていうんだろう、ちょっとソウルっぽいのよね」
菊池さん「なんか遊び心が減ってきたのか、リスクを取らなくなってきたのか」
マツコ「まあラ・ムーは遊びすぎですけどね、あれは。あれもう度肝抜かれましたもん。子どもながらに」
菊池さん「スタッフはほぼいっしょだったので、新しい段階にいけることがもううれしくてしかたなかったです」
ナレーション「そんなラ・ムーの曲にいち早く注目したNight Tempoは、Re-edit版をライブで流すなど、世界中に発信。彼が手掛けた昭和グルーヴのコメント欄には、海外からの書き込みがびっしり。その歌声はさまざまな国で愛されているんです」
マツコ「『モモコが復活してうれしい』って、スペインの人が言ってるってどういうこと?昔から見てたってこと?あのスペインの人」
菊池さん「なんだろう、本当にNight Tempoさんに感謝していて、私自分の声にコンプレックスをもってたんですよ、ずっと」
マツコ「その声がいいんじゃない。でもあれだけものまねとかされたらイヤになるよね、もうね」
菊池さん「ものまねもよくされたし、どこか自分の声を笑われてるんじゃないかって思っていて。あと自分の歌唱力も、あまり声量がなくて。小さいころから歌のレッスンをしてたとかっていうわけでもないから。いつかお礼をちゃんと言わなきゃと思っていて。外国の方がSNSで3、4年くらい前からかな、メッセージをくれるようになって。『あなたの声が好きです』、『あなとの声を毎日聴いています』。自分でずっと嫌いだったはずの声を肯定してもらっているってことがすごいうれしくて。それを広げてくれたのって、世界に、やはりNight Tempoさんの功績ってすごく大きいので。もういつか会ったら、ちゃんとありがとうって言わなきゃいけないと思ってました」
NT「もともと良いものは、いずれ評価される。でもそれがみんなちょっと遅かったっていうのが言えると思います」
マツコ「でも当時からやっぱり、桃子さんのすごいチャームポイントのひとつだっていう認識をしている人のほうが多い。だから中にはなんか揶揄する人とかもいただろうけど。いや、だからやっぱり声が唯一無二の人って強いよね。歌っているときの声が。やっぱり桃子さんに似てる声っていない気がするもん」
NT「ないです」
菊池さん「そうですか?」
マツコ「なんだこのやろう、おまえ。急に『俺の女です』みたいな。なんだおまえ、このやろう」
菊池さん「なんかね、すごい不思議なんですよ。最初外国の方のフォロワーさんっていう。他に年代が動いたことが最初に気づいて。急に20代が増えたんですね、10代、20代が。そのとき、『あれ?うちの子どもたち友達多いのか?』って思ったの、最初」
ナレーション「そんな桃子さん、Night Tempoにどうしても聞きたいことがあるそうで」
菊池さん「私、アイドル時代のほぼ全ての楽曲を、作曲家の林哲司先生が作ってくださっていて」
マツコ「あたしね、林哲司さんすごい好きなの」
菊池さん「ありがとうございます」
マツコ「本当だから桃子の曲もいいし」
菊池さん「私も個人的になんていうんでしょう、林哲司ファンなんですけども。とにかくいろんな方に曲を書いているんだけれども。Night Tempoさんがどうしてその中でも私の歌を使ってくださるのかなっていうことを、先生といっしょによく話すんですね」
マツコ「林哲司さんといっしょに話をしているの?」
菊池さん「シンガーの方たちって、自分の個性を出すために、自分でアレンジをしてちょっと譜面よりも早く音をとったりとか、アレンジを加えてっていうことをするけど。私は譜面の通りにしか歌えないんですよ。だから必死に忠実に歌おうとしたから、音楽のデジタル処理をするときに、波形処理がしやすいのかなって。一回Night Tempoさんに会ったら」
マツコ「絶対そんな理由じゃないと思います。絶対違うと思います。あたし予想いいですか?もちろん音楽的なものも、ラ・ムーとかおもしろくて、それで最初は好きになったんだろうけど、本当に桃子さんのことがタイプなんだと思う」
NT「バレました?」
菊池さん「なるほど」
NT「最初は本当に桃子さんについているビジュアル。いろんな作品とか、映画もファッションとかも、いろんなものがあるんですが、そこについていたプロダクションがすごい好きだったんです。それを見ていると、なりますよね。落ちますよ」
マツコ「なっちゃったのね」
菊池さん「うれしいなあ。やっぱり長くやってきてよかったって、幸せを感じる瞬間」
マツコ「あたしたちさ、本当にそれが当たり前のように見せられてたけど、今こうやって大人になってから見返すと、すごいね、当時の人って」
NT「レベルが」
マツコ「やっぱりすごいわ。なんでだろう?なんでこんなに出てこなくなったの?安室ちゃんとかあゆとかぐらいが最後だよね。女の子が一人でいろんなもの背負って戦っている姿見せてたのって。いやだからさなんか、やっぱり今見るとすごいな。もうああいうのをどうにか見れるようにできないの?いろいろ事務所と話したりするの大変だろうけど。アーカイブ見れるようにしろよ早く。きれいな映像で。してほしいよな」
NT「僕はビデオ持っているので大丈夫です」
マツコ「ったく。おまえこのやろう」
菊池さん「すごいな」
マツコ「冗談冗談、ホワイトハッカーだから。ホワイトだから」
NT「あともし文句を言う人がいたらおっしゃってください」
菊池さん「退治してくれるの?」
NT「僕もともとホワイトハッカーもやっていたので」
ナレーション「最後にNight Tempoが今後の夢を語る」
NT「昔から夢があって、僕がある程度いい感じのプロデューサーになったら、ラ・ムー2.0をやりたい」
マツコ「ラ・ムーを再結成してってこと?えっと、あのおねえさんたち見つかる?おねえさんたちは違くてもいいのね」
NT「今の時代はパソコンで全部できるじゃないですか」
菊池さん「そういうことか」
マツコ「なるほど」
NT「桃子さんがラ・ムーで出て、僕が他の役。裏で全部パソコンで」
マツコ「ちょっとおまえついでに聞く割りにはずいぶん図々しいわね。いや、どうですか?ラ・ムー2020やりたいらしいです」
菊池さん「それをラ・ムーと呼ぶかはまた、よくわからない。大人の事情でね。権利とかわからないんですけど。なんだろう、Night Tempoさんに声を預けたら、相当おもしろいものを作ってくれるだろうなって思ったことがあって。例えば『あいうえお』をひたすら自分で録音したものとかを渡す。なんかそういうことをしたらなんかとてつもない新しいものを作ってくれそうな気がして」
NT「ボーカロイドですよね」
菊池さん「ボーカロイド」
マツコ「意外と話広がったぞ」
~完~