2020/03/10放送

マツコの知らない世界

'全国7500種類以上の袋麺を食べた男'

大和一朗（ヤマトイチロウ）さん（以下、大和）

スタッフ「最近袋麺、お食べになりましたか？」

マツコ「本当のこと言うと、10年くらい前はカップラーメン食ってたまるかっていうくらい袋麺派だったんですけど、だんだん鍋を洗ったりネギを切ったりするのがめんどくさくなってきまして。極力家で鍋を使わないように。炊飯器しか洗わないっていうね。ここまで人間って腐るんだね、ほんと」

マツコ「ご本名？すげえ名前だなあ！」

大和「こんにちは、大和一朗です」

マツコ「こんなに大和一朗が似合わない人いないわね。どうぞどうぞ」

大和「ありがとうございます、失礼します」

マツコ「ご本名？」

大和「はい」

マツコ「わあー、親もびっくりしただろうね」

大和「一応長男なんですけどね」

マツコ「でしょうね」

大和「実は僕インスタントラーメンマニアでございまして」

マツコ「でしょうね。じゃないと7500種類以上は食べません。ちょっと気になるのがあるわ。あたしが知らないのが出てる」

大和「知らないのあります？」

マツコ「こんな日清の『函館しお』とか出てなかったよ」

大和「これラーメン屋さんです」

マツコ「うまいことやりやがって」

大和「今これバカ売れです」

マツコ「『出前一丁』も食いたいな」

大和「出前一丁もおいしいですよね」

マツコ「おいしいよね。なんだろう。なんかごま油がいいんだよね、出前一丁はね。久しぶりに食いたい、袋麺。全種類食いたい。大手さんじゃないやつとかは、なじみがないので。『ポンポコラーメン』とか。...あれ、ない」

大和「何がです？」

マツコ「福岡のやつ」

大和「『マルタイ』？」

マツコ「そうだそうだ。あれ1袋食っちゃってたもんね」

大和「あれ2人前ですよ」

マツコ「2人前くらいだったら。幡ヶ谷のライフでよく買ってたわ。2日に1回はラーメン食ってた」

大和「けっこうヘビーユーザー」

マツコ「あの頃すごかったわよあたし。食べ終わったあと、鍋をお水につけるじゃないですか。水洗いしてそのまま鍋を。延々にそのリピートです。かわいいあたし」

大和「まずはですね、お近くのスーパー・コンビニで買える王道のランキング、こちらちょっと見ていきましょう。はいこちらですね」

マツコ「塩が1位か！みそじゃないのか！」

（1位：サッポロ一番塩ラーメン、2位：サッポロ一番みそラーメン）

大和「ここ変わることあるんですよ、しょっちゅう」

マツコ「あ、もう本当に競ってるんだ。すごいね」

大和「接戦なんです」

マツコ「結局あたしもみそと塩両方食ってるもん。あ、『食ってた』か。もう一回鍋買おうやっぱり」

大和「このへんは普段食べられてると思うんですけども」

マツコ「農心の辛ラーメン、4位まできてるの？」

大和「これ驚異的なんですよ」

マツコ「すごいね」

大和「去年くらいから、辛いものブームも手伝ってか、ランキングのびてます。11番のチキンラーメン具つき、アクマのアサバァ。フリーズドライの具が入ってる」

マツコ「え、けっこうすごい。ちょっと出して。出して。調べたいから。おまえら毎回あたしに物食わすから、弁当も食えないんだからなこのやろー。腹減ってるんだよこっちは今」

大和「あとはこれ知ってます？14位のだし麺、比内地鶏だし醤油ラーメン」

マツコ「知らない。もうやだー。あたしどれだけ袋麺売り場を見てなかったかよね。カップ麺売り場しか見てないのよね」

大和「これちょっとお高いんですけど。ハイエンドのラーメンとしてスーパーとかで売ってます」

マツコ「けっこうすごいお出汁？」

大和「香りがすごいんですよ」

マツコ「出してよ。ちょっとずつ出せばいいだろうよ。そこで笑ってるんだったら作りにいってくれない？どんどん作っていただいて」

スタッフ「フーディさんは関係ないです」

マツコ「八つ当たりねこれね」

大和「実はですね、マツコさんに僕がどうしても伝えたいことが。こちらです。僕がどうしても伝えたいこと、インスタントラーメンの中で一番おいしいのは袋麺」

マツコ「これはね、各メーカーの方には本当に申し訳ないんですけど。もちろんカップ麺だけじゃなく袋麺もみなさん出されてますからね。いいよね、言っちゃってね。あたしもそう思います」

大和「ありがとうございます」

マツコ「焼きそばはカップのほうが絶対おいしいと思う。だけどラーメンはあたし絶対袋麺がおいしいと思う」

大和「それで番組終わっちゃうんですけれども」

マツコ「じゃあそういう回もあっていいと思う。大丈夫です。このあとただあたしがひたすらたべてる画をずっと映してるっていうね」

大和「一応おいしい理由をいいですか？」

マツコ「やります」

大和「おいしい理由、実は3つありまして。袋麺のほうが、カップ麺よりも小麦粉の量が多いので、袋麺のほうがコシがあるんですよ、カップ麺に比べて」

マツコ「あとね、モチモチ、プルプルっていうね」

大和「すごい。本当に食べていらっしゃるんですね」

マツコ「もう3、4年食ってないんですけどね」

大和「それともうひとつ。袋麺のほうが鍋で炊くと麺が踊るじゃないですか。対流効果っていうんですけど、グルグル麺が回って、熱が均等にわたって、麺にコシがでるんです。逆に、カップ麺っていうのは、3分の間にお湯の温度がどんどん下がっていくので、カップも小さいのでどうしても全体的な均等っていうのは難しい」

マツコ「そうだよね、カップ麺は止まってるんだもんね」

大和「あと、袋麺はシンプルで勝負している」

マツコ「具がないっていうのはすごいよね」

大和「そうなんです。温度も大事なんですけれども、シンプルで対抗しているというのが。カップ麺だと具材があるんですけれども、袋麺は具材がないので、やっぱりおいしくないと売れないです、袋麺は。だからカップ麺よりも実はシンプルでおいしいのは袋麺なんです」

マツコ「あたしはカップ麺も大好きですよ」

大和「ここで袋麺最大の魅力をご説明させていただきたい。こちらです。僕が思う袋麺最大の魅力、口の中で広がる緻密に設計された香り」

マツコ「香り？」

大和「香りが一番大事」

マツコ「あ、そう。あんまり意識したことなかったな、香りの差は」

大和「実はこれこそメーカーが計算に計算しつくした。緻密な計算を繰り返して作られているっていうのはこの香りなんです。実際に、袋麺とカップ麺、どれくらい香りが違うか、食べ比べていただきたいと思います」

マツコ「元声優さんじゃないてすよね？」

大和「普通のごく一般人です」

マツコ「違いますよね？あ、きたきた」

大和「みなさんおなじみの」

（サッポロ一番みそラーメン）

マツコ「あー、久しぶりだね～。まずはこっちから？」

大和「そうですね、まずはこちらから」

マツコ「これもかなり良い香りでしたよ今」

大和「特に香りを嗅いでみてください。香りが大事なので」

マツコ「良い香りですよ」

大和「ご試食してください」

マツコ「うん」

大和「ま、これはカップ麺。じゃあこちらは袋麺。まず香りを嗅いでいただいて」

マツコ「うーん、やっぱり違うよね。違うのよ。わかってるのよ。もうほらこうやって食わすから。また覚えちゃったじゃないのよ。せっかくいい意味で忘れてたのに。全然違う。やっぱり本当のお味噌の香りがする。本当にお味噌を溶かしたみたいな香りがする。懐かしい。おいしい」

大和「1968年に生まれたサッポロ一番味噌ラーメン、そのあとにできたのがカップ麺で。袋麺のほうが本家なんですよ」

マツコ「こんなこと言ってしまっていいかわからないけど、常にこの存在があるのよ。だから常に『あー、惜しい』っていうね。『ここまで来たのか』とは思うんだけど。『あー、惜しい』がずっと続くのよ。こいつがいる限り」

大和「分家はどこまでいっても本家に近づけようとするんですけど、本家にはならない」

マツコ「そこまで言うことないんじゃない？世の中の分家の人が今泣いてるよ。うちはどうせ分家ですよって」

《大和さん衝撃の半生、香りにいきついた理由》

大和「なぜ僕がここまで香りにこだわっているかっていうのを、ご説明させていただきます。7500種類以上のインスタント袋麺を食べた男、大和一朗、51歳」

マツコ「え？51なの？童貞みたいな顔してる」

大和「51でございます」

マツコ「まさかの51で」

大和「幼少期は両親が共働きだったため、夕食はインスタントラーメン中心の食生活だったんです」

マツコ「...そんなに静かになることなくない？ね、こんな健康に育ってるんだから、インスタントラーメンすばらしいじゃないですか」

大和「弟もいたものですから、どうしてもインスタントラーメンくらいしか作れなくて」

マツコ「いやいやもう、十分ですよ。愛情が大事なんですから」

大和「インスタントラーメン中心の食生活で、しばらくそれでずーっといく。高校の18歳の時に、バイクで通学中に交通事故に遭遇しちゃうんです」

マツコ「やっぱりどうも不幸な感じが拭えないわね。なんだろうねこれね」

大和「そして生死をさまよった結果、記憶喪失」

マツコ「ええっ？」

大和「それでもう全然親の顔も自分の名前も忘れている状態」

マツコ「え、そこまでのだったの？」

大和「そうなんですよ。もう気がついたら全然わからなくなってて」

マツコ「TBSで特番やってるんで、ちょっと出ません？記憶喪失の方が出てきて、テレビで親族の方とか探す番組」

大和「ありますね」

マツコ「やります？」

大和「親族はいるので」

マツコ「あ、もう？」

大和「名前はわかってる」

マツコ「よかった、よかった」

大和「出所もわかってる」

マツコ「そうよね、寝屋川って言ってるもんね。そりゃそうだ」

大和「入院中は本当にわからなくて。でも出される食事は全部覚えてるんです。病院食は全部。メニューも先々のまで全部覚えていたんです。ドクターが『もしかしたら味と記憶って関係があるから、おいしいものとか自分の好きなものとか食べたら記憶戻るんちゃうか？』って。それで松葉づえつきながら売店をさまようんですけれども、実際最初に手に取ったのが、どうもカップ麺だったらしいんですよ」

マツコ「それはだから記憶にはないけど、体が覚えてたんだ？」

大和「そうなんですよ。売店で売ってるもの自体も、なにかわかってない状態の中で、初めて手に取ったのが」

マツコ「えっ？カップ麺がなにかもわかってないの？」

大和「わからない状態なんです」

マツコ「この顔で？坂崎さんの弟みたいな。あっそう」

大和「実際に食べてみると、不思議と懐かしく温かい気持ちになっちゃったんです。好きなものだったんでしょうね。退院後自分の部屋に帰ると、インスタントラーメンだらけだったんですよね。自分が本当にインスタントラーメンが好きだったことにその時気づいたんです」

マツコ「へえー」

大和「こうして1日1麺生活を始めたんです」

マツコ「まだその時にはそれがなんだかよくわかってなかったんでしょ？」

大和「わかってないです」

マツコ「だから作り方とかもわかってないよね？」

大和「そうですね、だいぶひどい状態だったんですけど。それでもなんとなくやっていくうちに、香りで幼少期の頃の記憶を取り戻した」

マツコ「種類は何だったの？」

大和「よく覚えているのはチキンラーメンなんです」

マツコ「チキンラーメンなんだ」

大和「チキンラーメンを嗅いだ瞬間に、幼少の記憶が戻った」

マツコ「まあチキンラーメンってなかなか独特な匂いだもんね」

大和「たぶん子どもの頃しっかり食べていたっていうのも後で思い出したので、記憶とくっついてたってことなんでしょうね」

マツコ「あたしチキンラーメン煮るのが好きなんですよ」

大和「あれ汁少なめになっちゃいますからね」

マツコ「スープ麺みたいな感じ。しかも味濃いめが好きだからさ、お湯少なめだからさ」

大和「それで煮るんでしょ？かなりグツグツになっていません？」

マツコ「いや、いいの。ちょっとジャンクな感じにして食べるのよ全部。だから太ったんだね」

大和「でももともと濃い口が好きっていう可能性もありますよ、遺伝的にも」

マツコ「じゃあ遺伝ごとデブなんだね」

大和「うーん...」

マツコ「何困ってるんだよ。いいよ、気を遣わないでくださいよ」

《スーパー・コンビニで買える香り高き最強袋麺》

大和「さきほどもご紹介しましたが、とにかく各社力をいれてるのが香り。麺やスープに香り付けで隠し味をいれたり、香りが引き立つために麺の形や幅なんかを緻密に設計してマイナーチェンジをどんどん繰り返している。サッポロ一番さんは、45周年の時にみそをリニューアルしてて、7種類から8種類にブレンド変えたんですよ。ちょっとずつ進化してる」

マツコ「たぶんだから若い人にも、次の世代にも食べてもらえるように」

大和「そうなんですよ。日清のラーメン屋さんはショウガを風味をアップして、さわやかな感じにしてるんですよ」

マツコ「なるほど」

大和「やっぱりトレンドがあるんですよ」

マツコ「さわやかはキライ」

大和「特に香りをリニューアルを繰り返しているやつが実はいて。こちらなんです」

香りのリニューアルを繰り返す袋麺、「マルちゃん正麺旨塩味」

2012年発売

2014年香味油で風味づけ

2017年炒めた野菜の風味をプラス

マツコ「ちょっと辛抱が足らなくないですか？ものすごいハイペースですよね？」

大和「2012年に塩味発売なんですが、2年後にはもうリニューアルしちゃうんですよね。魚介の旨味を足して香味油と香辛料で風味づけをして香りがぐっと良くなったんです。さらに3年後に、これポイントなんですけど、ショウガ、ニンニク、黒コショウ入れて、炒め野菜の風味をプラスしてる」

マツコ「もはや塩味じゃないんじゃないかっていうね。あ！旨塩味に変わってる。たぶんメーカーさんもこの愚かなツッコミを予想してたんだろうね」

大和「でも本当に風味が良くなって、香りもすごいアップしてるんです」

マツコ「こんなにリニューアル繰り返してると、たいへんじゃない？ま、しょうがないよね。そうやって次の世代にもまた食べてもらって、だからこんなロングセラーになってるんだもんね。ちょっとずつ時代に合わせてるから」

大和「そうですね。数々あるスーパー・コンビニの中でも香りが最強の袋麺がありまして。こちらです」

香味野菜と味噌の香りがたまらない

くらしモア「みそラーメン」

5食入り228円

大和「知ってます？」

マツコ「どこで売ってるんですか？」

大和「小さなスーパーさんの寄り合いみたいなのがあるんですよ。ニチウリクループっていう。中小です」

マツコ「そこのプライベートブランド？」

大和「プライベートブランドって割に今けっこう出てまして、ここに6個くらい固めてあるの、これもみんなプライベートブランドなんですよ、スーパーの。まずお安くするってことも大事ですし、もうひとつは来られてるスーパーの方々に向けてなので味付けもそれぞれ違うんです」

マツコ「だってあたし知らなかったもん」

大和「でもねこれ、香りが良いんです。ぜひ香り嗅いでいただいていいですか？」

マツコ「日清が作ってるんだ？」

大和「そうなんですよ。日清さんが作ってて、くらしモアさんがお願いして作ってらっしゃる」

マツコ「日清の自社ブランドよりも香りがすごいんだ？日清さん、なんでそんな他のところで売るやつがんばっちゃったんだろう。あ、でも本当にすごい」

大和「すごいでしょ。ショウガ・ニンニクの風味」

マツコ「これちょっと濃いめに作ってくれたの？」

スタッフ「いや、普通だと思います」

マツコ「普通？じゃあやっぱりちょっと濃いわ」

大和「香りが特徴的なんですけれども」

マツコ「ああ。全体的にからみつく感じとかも、すべてがちょっと濃いめだわ。ちょっと焦げた感じと、油を感じる」

大和「そのとおりです。油にもうまみがあるということですね」

マツコ「これおいしいですよ」

大和「ちょっとね、これ見てください。値段が228円。5食入りなので」

マツコ「やすっ」

大和「1個50円切ってるんです」

マツコ「一気に5食食えるね」

《麺の違いで楽しむ！最強ご当地袋麺トップ3》

大和「香りに注目すると、さらにすごい一大ジャンルが実はまだあるんですよ。ご当地袋麺こそ香り高き最強袋麺」

マツコ「まあまた自分の店に呼ぼうと思って」

大和「いやいや、そんな毛頭もない」

マツコ「いわゆるインターネットとかで買えるようなものも多いわけでしょ？」

大和「そうです。生産者から直接買えるものもたくさんありますし、道の駅でしか売ってないようなものもあります。ざっと見積もっても全国で1000種類くらいあるんじゃないかな」

マツコ「どういうところが作ってるの？生産は」

大和「生産は各地方の製麺屋さん。そうめんとかうどんとか、もともと作ってるところ」

マツコ「なるほど。だから必ずしもラーメン屋さんってわけでもないのね」

大和「そうです。もともと長きにわたってそうめん作ってる会社が、ここ半世紀くらいでラーメン作っていたりとかっていうのはあります。地方の食材を使うから、バリエーションがエグいんですよ。あと地元の職人さんが作るので、手作りのクオリティがめちゃくちゃ半端ないんですよね」

マツコ「だから下手したら手延べくらいな感じがあるわけね」

大和「あります。一本一本手作りのラーメンもあります。日本地図に乗せて、主だったものをポンポンと置いてみたんですけれども。ご覧になられたことありますか？」

マツコ「あ、『スガキヤ』さんのはある」

大和「名古屋の。実はスガキヤさんって店舗もあるんですけど」

マツコ「むしろ愛知だと店舗ですもんね、メインは」

大和「店舗と袋麺はほぼ同じ味なんですよ。これはもう崩さないんですって。最も店舗に近い再現ラーメンはスガキヤさん」

マツコ「個人的に気になるのは、見たことはないんですけど、『マヨら～めん』。なにこれ、どういうこと？スープがマヨなんですか？麺がマヨなんですか？」

大和「スープがマヨ」

マツコ「うわー、デブ殺し」

大和「しかもね、ラード揚げ麺で」

マツコ「うわあ。やだ。作って。これだけ。これだけ作りゃいいだろうよ」

スタッフ「ご用意します」

マツコ「あとオススメどれ？こんなかだったらオススメどれ？」

大和「この味噌もすっきりしてておいしいですね。東京なんですけど、八丈島のラーメン『島とうがらし味噌ラーメン』」

マツコ「八丈ね。だから島とうがらしなのね」

大和「そうなんですよ。沖縄産のよりもこっちの島とうがらしのほうが、より辛いらしいんですよ。しかも地元の味噌使ってるんですよ。これもおいしい」

マツコ「手延べ」

大和「はい、お目が高い。そうなんです。沖縄の『琉球美人』。これ沖縄の手延べの、いわゆる『うちなーそば』なんですけども。あっさりしてますけど、非常においしいです」

マツコ「あ、これ沖縄そばなんだ。『フルフルらーめん』も気になりますよね。シルクパウダー入り」

大和「シルクって、実は食べられるんですよ」

マツコ「飲んだりとか、美容ドリンクとかでありますもんね」

大和「だから非常に体に優しいラーメンですね。あとカニもおいしいです。『毛がに味北海道ラーメン』。これ僕思い出があって、大学の時に物産展で買って食べたらすごくおいしくて。その日のうちにバイクで北海道まで行ってもう一回買いました」

マツコ「へえー。異常者ですね。なかなかですねそれは」

大和「すみません」

ナレーション「マツコが手に取ったのは、大阪『マヨら～めん』と、熊本『赤龍ラーメン』。果たしてその香りとお味は？」

マツコ「これ何？あ、もうできたの？」

大和「ラードで揚げた麺と、豚骨ベースで。ちゃんぽんお好きだったら絶対ハマる。香りちょっと嗅いでみてください」

マツコ「あ、マヨ～！」

大和「ドンズバのマヨなんです」

マツコ「超マヨ。これうまい。お酢をたらしたちゃんぽんみたいな味がする」

大和「口当たりもすごくよくて」

マツコ「洋風な感じもあるのよ。なんかのポタージュスープに麺を入れたみたいな」

大和「すごい。そこまでわかります？」

マツコ「え？」

大和「実は、このラーメン僕が作ったんです」

マツコ「何この屈辱感。あんた意地悪な男ね～。今の今まで黙って。え、もう結婚する？ねえ。味覚超合ってるじゃん。マジか」

大和「製作者冥利につきますね」

マツコ「これ大阪だっけ？」

大和「大阪なんですよ」

マツコ「売って～。東京でも売って」

大和「こちらですね、赤龍。熊本の市外でやってる日の出製粉さんっていうところなんです。これは九州でも珍しいんです。香りどうですか？」

マツコ「めっちゃ好きこれ。めっちゃ好き。なにこれ。うまっ」

大和「香り自体は抑えられてるんですけども、あとで口の中で広がる香りがすごく良いんですよ。特に味噌豚骨ですので、やっぱり味噌の香りと豚骨のうまみ」

マツコ「鍋のあとのラーメン。これうまい。マヨら～めんピンチ」

大和「えっ。やばい」

大和「ご当地袋麺、大きく分けると2種類の袋麺が楽しめるというところなんですね。波麺のほうは、スープとはからみにくいんですけれども、出汁自体は濃厚な場合が多いですね。それに対して、棒麺のほうはスープにからみやすくて、どちらかというと口当たりいいスープのほうが多いですね」

マツコ「なんだろうな、棒麺のほうが郷愁を誘う。食べた時の。波麺はモダンな感じがする」

ナレーション「同じ即席麺でも、全く特徴が異なる波麺と棒麺。ここからは大和さんが厳選した、香り高き最強ご当地袋麺ランキングトップ3を発表。まずは波麺編。第三位。秋田・八郎めんの『北斎ラーメン』。こちらは北斎美術館のお土産品としても販売されている、昆布醤油ベースのご当地袋麺。香りのポイントはこの極細波麺。一般的な麺とは違い、じっくり低温ミストで熟成。そのため小麦の香りが損なわれず、モチモチとした食感が楽しめる」

大和「濃厚な醤油スープの非常に香りが抜群なんですけども、昆布のうまみ、それと醤油の香り、もう最高です。煮干し、小麦、昆布、三者三様タッグを組んでこのスープを作ってます」

ナレーション「第二位は福岡・栗木商店『韓国風大辛ラーメン』。こちらも香りのポイントはこの波麺。国産ラードで揚げることで、ほのかに甘みのある香ばしい香りを演出」

大和「肉と野菜のうまみ。ここ本当に麺がおいしいんです。もうここでしか作れないですね。波麺の第一位なんですが、こちら」

濃厚な磯の香りが食欲を掻き立てる

北海道・みなみかわ製麺

「オホーツクの塩」

マツコ「卑怯よね。オホーツクって出されちゃうとハードルあがったわよ」

大和「オホーツクのサロマ湖ってご存知？」

マツコ「もちろん知ってますよ」

大和「サロマ湖の塩汲み上げて、自家製の塩で炊きあげるんですよ。かなり手がこんでます。カラマツの木で炊いて」

マツコ「クリオネとか混ざってない？...そんなわけないじゃない」

大和「きっちり除いていると思います。こうやって低温乾燥でしっかりと熟成させる。3日間寝かせて作りますので、麺もおいしい。小麦の香りがまた良いんですよ」

マツコ「今、相当ハードルあがってますよ。さっき食べたやつもなかなか全部おいしかったですからね。これ塩なんだ。ちょっと醤油っぽい色してるね」

大和「基本はベースは完全な塩です。ちょっと香りを嗅いでいただいて」

マツコ「やだこれちょっと。これはもう袋麺じゃないです。ダメです。これはランク外です。袋麺じゃないですから。ジャンクさみたいなものが微塵もない。すごいね」

大和「そうなんです。これたぶんお店で出されてもわからない。どうでしょう？」

マツコ「なんかね、ケチをつけようと思っても無駄なものが一切なくてね。必要なものを最低限混ぜた感じの味。このスープすごいですよ」

大和「塩ってどうしても素材感が出やすいので、シンプルに作るっていうのが基本なんです。そうするとやはり素材感が出ちゃいますね」

マツコ「これやっばいね。麺もすごい。良い意味で最後何も残らないの。残り香パンチみたいなものがないのよ。ふわーってなくなるの」

大和「シンプルに作って素材を選ぶと口当たりが良いし、ほとんど雑味がないんです」

マツコ「マヨら～めんなんて今思うと雑味だらけですよ。...冗談、冗談ですよ」

大和「わかります、わかります」

マツコ「わかるよね？あと、あの出汁の使い方としては、あれで鍋ができる。足りないぶんちょっと他のお出汁足して鍋やって、最後あの麺を入れればいいのよ。鍋のシメにあの麺を使って。これはちょっとなかなか厳しいんじゃないですか。これ出されちゃうと」

大和「え？」

マツコ「もうだって今残っているの、マヨら～めんの雑味しか残ってない」

大和「まだ残ってますか」

大和「次、棒麺のトップ3も見てもらってもいいですか？」

マツコ「楽しみよ。これ全然おもむきが変わってくる気がする」

大和「そうですね、棒麺はまた全然違うんですよね」

ナレーション「香りが楽しめる、最強ご当地袋麺トップ3、続いては棒麺編。第三位は福岡・長尾製麺の『ラーメン仮面』。長尾製麺は水でおいしいことで知られる、福岡県うきは市で、創業200年以上の老舗。香りのポイントは、製麺所近くの井戸で練り上げた、自家製棒麺」

大和「ここは僕の麺トップ10に入るくらい、完全な手作業です。職人が手作業で一本一本乾燥させて、小麦の香りをとにかく閉じ込めて。これ職人技が光ります」

ナレーション「この濃厚なチキン豚骨スープとよくからむことで、豊潤な香りが口の中で一気に広がる」

大和「ここも秘密の井戸持ってて、井戸の水がおいしいんですよ」

ナレーション「第二位は、山口・池本食品の『岩国蓮根麺』。香りのポイントは岩国市の名産、岩国レンコンを練り込んだ極太棒麺。岩国レンコンは通常よりも粘りけがあり、ほのかな甘みが特徴。キリッとした醤油豚骨がレンコンの甘みをいっそう際立たせる」

大和「魚介系の醤油豚骨と合わすと、すごくおいしいですね。麺があっさりしてる」

マツコ「でも今のあの紹介Vを見たら、『即席麺』って言い方はやめます。これはよくない。袋麺にします」

大和「ありがとうございます」

マツコ「ついつい即席麺って言っちゃうんだけどね。昔の人間だから」

大和「言っていただいてもいいんですけれども」

マツコ「即席ではない。あれは作るのが即席なだけで」

大和「そうなんですよ。すごい時間かけて作るので。たいへんなんですけど、そのぶんうまみがぐっと詰まって、香りがいい感じになるんです」

マツコ「ただね、やっぱりさっきのオホーツクの塩ラーメンが相当だった。これ順番間違えたんじゃない？」

大和「じゃあ次棒麺の第一位いってみましょうかね」

昭和の懐かしい香りを再現

山形・みうら食品

「鳥中華」

マツコ「出た、山形。ラーメン大国」

大和「ご存知ですか？特にその中でもみうら食品さんの鳥中華はおいしい」

マツコ「名前がうまそうだもん。オホーツクの塩とかね。なにがマヨら～めんだよ。...冗談だよ。これ見た目ヤバいもん。見てこれ。ヤバいもん」

大和「香りから嗅いでいただいていいです？」

マツコ「これもうお店の香り」

大和「そのとおりなんですよ。鳥の香りがまたすごいんですよ」

マツコ「あー、もうお店」

大和「完全お店クオリティなんです。決して鳥臭さではなくて、鳥の香りなんですよ。そのあとから来る醤油の香りもまたすばらしです」

マツコ「ヤバいですね。なにこの麺。もうインスタントとは思えない。なにこの麺。もう食べない。なんで？」

大和「とりこになりますよ、これ」

マツコ「なにこの麺。簡単に言うとね、中華麺とかよりはちょっとあっさりしてるのよ。うどんと中華麺の中間みたいな」

大和「人によっては稲庭系の感じもするっておっしゃる方もおられます。和風だしのベースを持ってるので」

マツコ「いや～、うまいっすね～」

大和「これはどこか懐かしい味」

マツコ「ヤバいね、これ」

大和「今実は鶏のラーメンって流行ってまして、団塊の世代・団塊の世代ジュニアが懐かしい味っていいますと、鶏ガラベースになるんですね。ちょっと見ていただくとわかるんですが、老舗もこういった」

福岡・鳥志商店「麺と匠鶏味」

秋田・ウマミー「比内地鶏白湯ラーメン」

大分・マルタイ「鶏ガラ醤油ラーメン」

マツコ「マルタイも出してるんだ。福岡の鳥志商店ってのもいいわね。鳥の志よ」

大和「鳥越俊太郎さんのいとこさんがやってらしたのかな、確か」

マツコ「いいね、あの秋田のウマミー。おいしそう」

大和「比内地鶏をしっきりと煮詰めたラーメンなんです」

マツコ「すごいわね。豪華ね。また腹が鳴り出したもん。あんなに食ってるのに」

大和「実はパッケージも集めてまして」

マツコ「うわー。病気。人によってはゴミですからね。うわうわうわうわ。だってこれもうゴミ箱だもん」

大和「いやいや、貴重ですよ」

マツコ「貴重なんですか？」

大和「もう今手に入らないんですよ」

マツコ「これで何個？」

大和「これで2000くらいですね」

マツコ「お持ちなのはどれくらい持ってるの？」

大和「正確には数えたことないですけど、5000くらいあるんじゃないかなと」

マツコ「うわー。5000袋のゴミが家に。...冗談です、冗談ですから」

大和「実は量が多かったので、パッケージファイルにまとめてきたんですよ」

マツコ「ありがたいです。これだとちょっとゴミ感が。こうなってるとコレクション感が。はっ！初代チキンラーメン」

大和「よくわかりましたね」

マツコ「わかりますよ」

大和「なかなか初代って残ってなくて」

マツコ「いや、これはすごいですよ。これはおいくらぐらいだった？」

大和「これは寄付していただいた」

マツコ「この人はなんで持ってたんだろう？」

大和「思い出に持ってたんだと思います」

マツコ「あ！『楊婦人』」

大和「あれ？ご存知ですか？」

マツコ「これは憧れの袋麺ですよ」

大和「そうなんですよ。これがいわゆる高級麺ブームの火付け役だったんですね」

マツコ「高いから、親も買わないっていうね」

大和「そうなんですよ。高かったんですよ当時非常に。倍以上してましたから」

マツコ「『うまかっちゃん』。これだからあれよね。たぶん初めて豚骨ラーメンと向き合った日よね。東京の人は当時豚骨ラーメンなんて無かったからさ」

大和「そうなんですよ。だから『九州ラーメン』と上に書いてある」

マツコ「九州の味ラーメンってどういうことなんでしょうね。今考えるとね」

大和「当時は九州では豚骨自体が当たり前だったので」

マツコ「でも東京の人にはとっても不親切ですよね」

大和「ご当地ものってそういう不親切さが、また魅力なんですよね。いろいろコレクションした結果、あることに気づきました。それがこちらです。ご当地袋麺のパッケージは、時代を映し出す鏡。これがおもしろいところで、非常に特徴的なパッケージを今回お持ちしたんです。僕のコレクションの中から。例えばこちら。浜田食品の『オリンピックラーメン』。これ東京オリンピック開催を前に、日本はカラー化ブーム。テレビとかカラー化がどんどんしていく中で、袋麺も単色からよりカラフルなパッケージになりました」

マツコ「今だったら即提訴でしょうね。いい時代でございます」

大和「非常にゆるい時代だったと思いますけども」

マツコ「あ、なるほどだからこれは新幹線」

大和「そうなんですよ。錦屋製麺所の『ひかりらーめん』。早いといえば即席麺、インスタントラーメンっていうところで、さまざまな袋麺がひかり号に乗っかっていった。のっかりラーメンですねこれは」

マツコ「だからほぼ同時期よねこれは」

大和「あとこれもおもしろいですよ。『こくろうラーメン』」

マツコ「『こくろう』って、あの国労？」

大和「国鉄労働組合のラーメン」

マツコ「えー？別に国労さんがお願いして作ったわけじゃないんですよね？」

大和「いや、国鉄の労働組合さんがお願いして作った。国鉄からJRに変わる時に、活動資金のためにラーメン売ってたんですよ。ですので販売者が」

マツコ「本当だ。『国鉄労働組合札幌地方本部事業本部』って書いてある。あとこのSLを選んでるのがね。まだ夕張炭鉱全盛期のね」

大和「一番華やかしい頃をもう一度っていうところで作ったのがこのラーメン。こういうご当地ものっていうのは、パッケージがおもしろい」

《女子にバカウケ！今しか食べられない絶品袋麺》

大和「好きな袋麺のことなんですけど、問題点があるんですよ、袋麺」

マツコ「なによ」

大和「データ出してもらえますか。これ見てください」

（生産量の推移／カップ麺・袋麺）

マツコ「あー、あたしのせいだ。あたしみたいなやつが多いのよきっと」

大和「そうなんですよ」

マツコ「わかってるんだけど、ついつい仕事疲れてラーメン売り場の前に立った時に、カップに手が伸びちゃうんだよ」

大和「そうですよね、簡便ですぐ食べられるっていったらカップ麺。これ倍くらい差があいちゃって」

マツコ「しかもけっこう前だね、逆転されたの」

大和「バブル期あたりで変わって、逆転現象が起こる。あとご当地麺のもうひとつの問題点は後継者不足なんです」

マツコ「全産業そうだね。日本はなくなるんじゃないの、このままだと」

大和「実は今月なくなっちゃう、生産を終えちゃうメーカーさん」

マツコ「あら、やだ。どちらの？」

大和「残念なんですけど、114年の歴史に幕を閉じた最強ご当地袋麺。福岡・小林製麺工業『とまとラーメン』。これうちでもみなさんよくお買い求めになられるんです」

マツコ「じゃあすごい人気あるんだ」

大和「めちゃくちゃ人気あったんですけど、残念ながら職人さんがやめられるっていうことで。歴史の長い幕を閉じられる」

マツコ「職人さんがいなくなるとなるともはや」

大和「作れないんですよね」

マツコ「これオンエアの頃には無くなってるのか。やだ」

大和「もう在庫だけになっちゃいますね。香りがね」

マツコ「あらやだこれ。やだ。やだ。今の味がする」

大和「地元の農協さんと、地元の小林さんが、共同で作っているラーメンなんです」

マツコ「だから女子超好きよ。あのね、みなさんが想像している以上にトマトというか、イタリアン。もう香りも、ちょっとお出汁の香りするけど、でも本当にトマトソースの香りを嗅いでいるみたいだし。スープの味もミネストローネに近いし。食べたあとも、あれ？今トマトパスタ食べた？っていうくらいトマト」

大和「リゾットにするとおいしいんですよ。お米と粉チーズかけると」

マツコ「粉チーズ合うと思う。あたしは卵入れたい。オムライス的なね」

大和「卵もすごく合います」

マツコ「無くなっちゃうんだ、これ」

大和「そう、残念ながら在庫限りっていうことになりますね」

マツコ「そのへんのトマトラーメン売りにしているところより、完成度がすごい」

大和「本日は袋麺のめくるめく世界でしたけど。いかがだったでしょうか」

マツコ「すばらしかったんですけど、もちろん一位の2つは感動を通り越して、これは本当に袋麺として売っているのかっていう疑問しか残らないくらいすごかった。あたしマヨら～めん本当においしかった」

大和「本当ですか？うれしい」

マツコ「袋麺の可能性みたいなのをマヨで感じた」

大和「ありがとうございます」

マツコ「どうしよう、今日。今から行くか、東雲のイオン」

～完～

「インスタント袋麺の世界」