『船に乗れ! Ⅱ 独奏』(藤谷治 作)を読みました。前々回の記事の続きです。
2年生に進級した主人公・サトルは、両親や祖父、叔父叔母に勧められて、ヨーロッパで2ヶ月間チェロの勉強をします。しかし帰国した彼は大きな事件に直面し、さらにそのことが原因で、謝っても許されないようなことをしてしまいます。
印象に残ったのは、やはり上記した「大きな事件」と「謝っても許されないようなこと」です。が、書いてしまうとネタバレになってしまうので、避けます。まあ「大きな事件」の方は、読んでいてだいたいの予想はつきましたが。
しかしこの小説、音楽学校を舞台にした青春物語なのですが、サトルのクラスの公民を受け持つ金窪先生の倫理・哲学のお話がとても面白いです。
サトルの「なぜ人を殺してはいけないのか?」という問いに先生が出した『人を殺す君を、君は許さないから』(本文引用)という答えは目から鱗でした。
さらにその後、『「ただし、実質的に君は人を殺すことができないよ」「僕が君に、誰も殺させないからだよ」』と続ける金窪先生は、めちゃくちゃかっこいいです。教師の鑑と言っても過言ではないのでは?と思います。
なのにサトル、お前……。
ソクラテスの話も、かいつまんで分かりやすく説明してくれて、今まで全然興味のなかったソクラテスの本を読んでみようかなという気になりました。
色々やらかしたサトルが、3巻でどうなるのか、今から気になります。