一人、眺める夜空とか。 -2ページ目

あけおめ

遅くなりました


絵がやっとこさできました


今年は厄年になるので、


絶対負けませんw



って


気持ちを絵にしてみました


立ち向かいますw



neu

夕闇に融けてと歌うだけなのに・・・

独り言・・・


だから、誰かの心に揺らぎを与えてはならない・・・・


元々分かっていることなのだが


ブログは様々人が読む


知り合いでアレ、


他人でアレ、


ここでの言葉は大きな声となる


でも、


心の言葉は響いてはいけない


呪いとなって苦しめるから


暗示となって縛るから


文章は


言葉は


それを受けた人を操る


曰く


情報操作


知り合いにブログを教える


自分が辛いと書く・・・・


教えた人は心配する・・・


人を操るために


自分の思い通りにしたいが為


欲望のために言葉を使ってはいけない


私は分かっていた


それは策略として


実験として


プロパガンダとして使用することは良いと思う


だが


しかし、


意図せずそうしてしまうと、


分かってしまうと


言葉に詰まる。。。。


ここに思いを標し己の足跡を残せば


人の心を揺らせてしまうのか・・・・


ここは、友達に知られすぎた・・・・


最近は書いて居なかったから


誰も来ないと思っていた・・・・


でも、


ダメだった


ここに苦しいと、悲しいと書けば


誰かを傷つけ


誰かを苦しめる


そんなことしたいわけ無い・・・


苦しみも悲しみも


私にとってはすべて受け入れられる人生。運命。


でも、皆がそうではないらしい


私はいつでも大丈夫なのに


そうは思ってくれないらしい


「人を愛せる私は果てしなく強く


人に愛されない私はあまりにも弱い」


例えそうであっても


私が弱くなっても、誰かを愛していれば、


その思いに偽りが無ければ


強くあれる


弱い私を支えられる


だから


大丈夫


私は私の世界の王


決して揺れず


決して崩れない


意地でも折れない


いつでも笑って強く見せる



あぁ、だとしても


ここにはもう、心は書けない


きっと貴女を揺らしてしまうから





貴女は貴女


私は私







そう、言えるように


そう、歌えるように









私は歌おう


夜の夕闇に


果てなく終わらぬ恋の歌を


決して叶わぬ思いをのせて


世界に愛をと歌えることを幸せと笑うために



夜に響けよ恋の詩よ






きっと、ずっと、やっぱり、一人の夜

今日は一人で泣きました


分かってたつもりだったのに・・・


私が誰からも好きになってもらえないことなんて・・・


でも


私は人を好きにならないと生きていけない・・・


それは、6年間悩んで苦しんで知ったこと分かったこと


私は人を好きにでないと生きていけない




そして、こうして一つ一つ積み上げて見えてくること


私は誰からも愛されない


親からとかそういう意味でなく


私は誰からも愛されないことが分かってくる


嫌われる意味ではなく


愛されない


運命的に必然的に


私は愛されない


それは、仕方なくてどうしようもなくて


私は女神に愛されているからだと、そうであるとしか自分を救えないほど


私は必然的に運命的に絶対的に


愛されることは無い


愛した人は、私以外の人を愛するようになり


愛した人は、私以外の人に救われ


愛した人は、引き離され


これは、必然運命絶対確定


私は人を愛さないと生きていけない


私は人から愛されない、絶対に







今夜は泣こう


でも、之は必然だから思いは胸に


傷は心に


また、私は私らしく笑顔で行きよう、明日からは


今夜は泣こう


運命を必然を絶対を確定を真実を


受け入れるために


明日から、また人のために笑えるように







再アップ企画第三弾「夏の湖月」

「夏の湖月」

      

              
俺は誰だ?


俺は、天野 隆登(アマノ リュウト)。今年で高校を卒業する高校三年生だ。


ここはどこなのだろう?


ここは俺の知らない町。


俺は今歩いている、このどこまでも続く道を


俺はなぜ歩きだしたのだ?


俺はどこかに行きたいのか?・・・―――違う。


俺は誰かに追われているのか?・・―――違う。


嫌、どちらもそうだったのだろうか?


俺は今自分に嘘を言っている、自分を納得させるために、嘘を言っている。


俺は逃げている、


見たくない物を見てしまったから、


知りたくないことを知ってしまったから。





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




 

話は一ヶ月ほど前、夏休みの始まりにまで戻る。



俺たち、男4人は一年のころからの付き合いでいろいろとバカをやってつるんでいた。


この夏も受験前の息抜きと言ってゲーセンや映画、プール、海、街中でたむろってたりしたこともあった。


そんなある日、街中でナンパをしていた。


俺達は丁度、四人の女子のグループを見かけ声をかけると、


相手の四人も結構乗り気でついてきたのだ。


話しているうちに同じ高校に通っていて、しかも同学年の三年だと分かった。


その上同じクラスのやつもいた、聞いてみると相手は分かっていたらしかった。


その後も、俺達は息が合って盛り上がっていた。


その日の終わり、またそいつらと遊ぶ約束をした。


それからは、8人で遊びまわった。


俺達が会わない日は無かった。


そんな中、誰が言い出したかは忘れたが、卒業旅行に行くことになった。



計画もまとまらないまま月日は過ぎた。



そうこうしているうちに、旅行に行く日になった



・・・・・・・・・




集合場所の駅に皆で集まり。


とりあえず取った電車に乗り込んだ。


俺たち、男4人と女子4人の8人でこの夏最後の思いで作りのために、このN県に来たのだ。


もう、夏も終わり、秋の風吹くこの季節に・・・。


まずは、適当に頼んだ旅館を目指した。


まさに、ずさんな計画だった。


これといって何をするというのはなかった。


俺たちはまず旅館にチェックインをして荷物を置いて、いつものように街に繰り出した。


行った所は、ゲーセンやカラオケ、そういったどこでも在って、どこでも出来る事だったが、親もいない、しかも始めて来たところなどの理由でテンションもかなり高くなっていて、いつもより盛り上がっていた。


夕方になって旅館に戻った。


夕飯は旅館のほうに頼んでいたのだ。


俺たちは夕飯の前に風呂に入ってきた。


そして皆で夕飯を食べた。


ここの旅館、値段の割には結構な料理が出ていたような気がする。


その後、俺たち男4人はコンビニに買出しに行った。


今日は皆で宴会をする事になっていた。


もちろん、旅館を取るときに年齢は20歳という事にしている。


そう、飲み会だ!


俺たちは酒やつまみ、スナック類などを買いに来たのだ。


女子たちは何をしているかというと、今は風呂に入っているらしかった。


コンビニの帰りに俺たちはこんな話をしていた。


「お前誰が良い?」


「俺は、あの子かな」


「お前は?」


「とりあえず、あいつはなしだろ~それ意外ならどれでもOK~」


「だよな~」


「俺もかんべん」


「ははは」


こんな感じの他愛も無い軽い話をした。


でも、俺には、一人の好きな女がいた。


その子は、ちょっと強気な男っぽいショートヘアーの子だ。


学校にいた時は、同じクラスだったのだが、うるさい女だ、としか思っていなかった。


でもこの夏会ってから、一緒にいるうちに、結構かわいいところもあるな~と思うことが多くなった。


理由なんて分からない。


好きって気持ちにそんな物は必要ないのだ。


今日俺は告白をするつもりだ、


この旅行の計画が始まった時から決めていたことだ。


旅館に帰ると女子たちは風呂上りのいい感じで待っていた。


化粧もしていた様だ、今夜は起きているつもりのようだった。


そして飲み会が始まった。


一気飲みやゲームをして負けたやつが飲まされるなど、思いつくことはほとんどやったと思う。


そうこうしている内に一時間半ほど経つと皆良い感じに酔っていた。


俺は皆よりも少し酒には強いようだ、これも親父の晩酌に子供のころからつき合わせていたからだ、おかげで計画を遂行することが出来る。


親父に感謝!!


そんなバカなことを考えていた。


その時、目当てのショートカット子がトイレに行くような事を言って外に出た。


この旅館のトイレは部屋ごとについているのではなく、外の廊下の突き当たりのところにあった。


俺は、このタイミングを待っていた。


俺はうまく話をはずして、外に出た。


俺が外に出たとき彼女の姿が見えた、だがその彼女はトイレではなく非常階段のほうに出て行ったのだ。


???


俺は変だな? と思った。


だが、俺はチャンスだと思った、きっと彼女は暑くなった体を外の風で冷やしに出たに違いないと考えた。


俺は非常階段のほうに駆け寄った。


そして、少し扉を開けた。


話し声が聞こえた。


??


俺は気になって少し隙間から覗いてみた。


そこには彼女がいた。


そしてもう一人、男がいた。


俺の友達の一人だった。






・・


・・・


その時、二人は丁度キスをしていた。


俺は扉をそっと閉めた。


そして、歩き出した。


俺は、こんな三文芝居みたいなことあるのか?そう思った。


俺はいつの間にか旅館の外に出ていた。


周りは少し開けた静かな場所だった。


でも俺はここの近くに居たくはなかった。


俺は、慣れ親しんだ町の喧騒を求めて歩き出した。


あの、天を照らし、地は淀む人工の楽園に向かった。


少し歩くと街に出た、まだ夜も浅く、多くの人と多くの店が音を奏でていた。


暇つぶしの遊び場所や、流行のアクセサリーや服なんかもかなり有った。


いつも俺は、いや、俺達はこういった場所にいた。


もちろん、この街は俺達の街じゃない、でも空気は同じだった。


タバコや甘ったるい安い香水の匂い、路地裏から流れ出てくる飲食店の匂い。


何もかも同じだった。


始めのうちは慣れたこの空気は俺を落ち着つかせた。


でも、歩いているうちに思い出しててしまった。


この夏、あいつとやったゲームや取ってやった人形、あいつの欲しいと言っていた服やアクセサリーどこに行ってもあいつの香りがあった。


どこに行ってもそうだった。


この夏のことばかり思い出す。


あいつの事ばかりが俺の心を侵食していく。


ここはいつもの街とは違うはずなのに何もかも同じ匂いがした。


俺はまた逃げ出した。


街を出た俺は、また歩き出した。


もう、俺にはどこかに行きたいという目的はなくなった。


ここは、俺の知らない場所だった。


何の当てもなく俺はあいつらから、遠ざかることだけを考えた。


でも逃げているとは思いたくはなかった。


俺は歩いた。


歩いている俺の頭の中は考えれば考えるほどあいつのことばかりを考えてしまう。


俺は苦しくなった、悔しくなった。


あいつにとって俺はどう写っていたのだろうか?


なぜ、あいつは俺ではなくあんな男を選んだのだろうか?


俺のほうが顔もいいし、性格だって良いに決まっている、欲しがっていた服を買ってやったのも俺だ、他にも俺はあいつの為にいろんなことをしてやった。


なのに、なぜ?


俺のほうが・・・


俺の・・


俺・


・・・・っく







もうかなり道のりを歩いていた。


周りには誰もいなかった。


悔しかった、負けるなんて考えもしなかった。


俺はあいつと付き合えると思っていた。


俺はそれを疑うことなんてなかった、俺に見えていたのは光だけだった。


涙が流れる、悲しい?悔しい?分からない、俺には何もわからない。


もうどんな表情をして良いのかもわからない。


涙が流れる、頬を伝わる感覚と涙が乾いてできる張りとを感じることだけが俺にできることだった、後は何もわからなかった。


涙は流れるに任せ、精神は呆然とし、そして、歩いていた。


歩みも涙も止まることはなかった。


止まらば俺の後ろから何か大きく暗く恐ろしい化け物が覆いかぶさり俺を殺してしまうような気がした。


だから歩いた、止まれなかった、戻ることもできなかった。


このまっすぐな道を進んだ。


ここはもう街ではない、周りには民家が多くなってきて、暗く静かだ。


犬が吠える、どうでもよかった。


少し足に痛みが走る、どうでもよかった。


俺は夢遊病者のようにふらふらと歩いていた、どうでもよかった、でも可笑しかった。


今何時なのか気になった、携帯を見ればわかるのだが、・・・


またあいつのことが頭をよぎった。


もうどうでもよくなった。


今は歩くしかなかった。


今は歩きたかった。


俺は逃げていた。


・・・


・・




気がつくと目の前にはトンネルがあった。


このトンネルは新しく作られたものなのか、中は明るかった。


トンネルの中を少し歩いていると、俺は走りたくなってきた。


俺は走り始めた。


体育祭の時も、俺はアンカーだった、だから俺は走ることに関しては少し自信があった。


かなりの時間歩いていたので足は痛かったが、太ももを高らかに上げ、腕を大きく振り始めると心が高揚し痛みも薄れた。


一歩踏み出すごとに、一呼吸するごとに、風が体を衝き抜けるごとに、痛みを後方に持ち去っていった。


夜風は心地よく、熱を持った体を優しく包み込み俺の背中を後押ししてくれる。


そして、俺は体が軽くなるごとにテンポよく加速してゆく、その足音はトンネル内を反響し心臓の音と共鳴する。


その音の重なりが俺の心を満たす。


思考は途切れ、この音響の世界に身をゆだねる、俺の中から悲しみと悩みは消えていった。


この光に満たされたトンネルの中で、俺は加速していく。


俺はこのトンネルを駆け抜けた。






その瞬間俺を待っていたのは、花畑でも、雪景色でも、まして明るく光る開放の世界でもなかった。


そこにあったのは、暗く俺を覆いつくそうとする、圧迫の闇だった。





俺はまた歩き出した、もう走る気にはならなかった。


周りにはもう民家はなかった。


道だけが続いていた。


さっき走ったのが原因だろう足の痛みが激しくなった。


でも立ち止まることはできなかった。


そこで全部が終わってしまうような気がしてしまったからだ。


足を引きずりながら俺は歩いた。


斜面に何か幾何学的なシルエットが浮かび上がってきた。


俺はそれが何か気になって目を凝らしてみる。


近づくにつれて、だんだんとそれが何かわかってきた。


そこにあったのは墓場だった。


こんな寂しい山の中に忘れられたように立ち並ぶ数々の墓標。


それを見た俺の心の中には死のイメージが浮かび上がった。


その瞬間、体中の毛穴が開き、背中を冷たい汗が流れた。


肺の中に凍るような空気が流れ込む。


背後には何か気配を、肩には何かの重さを感じた。


心霊現象か?


いや違う、これは俺の心が死という思いを連想したことによって、それに身体が答えただけなのだ。


俺の中を思考が巡る、もし今のままの俺が死んだとしてもこんな風に誰も思い出してくれないような寂しい死に様を見せるしかないのだろう。


誰も心から悲しむこともなく、誰も三日後まで悲しみを引きずることもなく日常に戻っていく、その程度死でしかないだろうな。


あの、7人は7人でバカをやって日々を送るんだろうな。


あの男と一緒に、あいつもまた笑っているんだろうな。


ははっはは


俺は笑えた、涙が流れた。


でも笑えた、おかしかった、バカバカしかった。


俺は笑いながら歩いた、墓は見えなくなっていた。





俺は横道を見つけた。


そこはまるで獣道のように草が覆い茂っていた。


この誰かが敷いたアスファルトの道を歩くのは、もう嫌だった俺は俺の道を歩きたいと思った。


だから俺はこの獣道に入っていくことにした。


両側からも木々が迫ってきている、足元は泥で水溜りもあった、今年買ったばかりの靴が汚れた、だが俺は進んだ。


俺は何かに導かれているような感じがした。


まっすぐに道無き道を突き進んでいく。


草を掻き分けて進んだこの先に何があるのか分からなかった。


俺は息が切れ、足は痛かった、草を掻き分けるときに何度か手を切っていた。


もう戻ろうか?俺は何度もそう思った。


でも歩き続けた。






急に俺は開けたところに出た。


小さな池があった、秋の風が吹いている、その風が舞い、水面が揺れる。


冷たい風が頬をなでた。


道はそこで終わっていた。俺はようやく足を止めた。


もう立っているのも嫌だった。


俺は、座り込んでうつむいた。


そして、目を閉じて想いをめぐらした。




俺は気がついた、今、俺は一人だった。


一人で自然の中にいた、今までの俺では考えられないことだった。


俺は今まで町の喧騒の中で仲間たちと過ごしてきた。


俺は人工的な楽しさの無い自然なんて何の価値があるのか分からなかった。


子供の頃も遠足に行ったときも何が楽しくてこんな所に来るのか分からなかった。


汚いし、虫がいるし、疲れる本当に自然なんてろくなことが無い。


俺は仲間で海に行ったときも別に自然を楽しむために行ったのでなく、近場のプールでは味わえない波と金が掛からずに安く済むから俺は海に行っていた。


何よりも仲間と一緒だったからだ。


でも今は誰も一緒にいない、いや、いたくも無い。


俺は仲間、いや人間って物が分からなくなった。


あの男は、酒を買いにコンビニに行った帰りにはそんなそぶりはぜんぜん見せていなかったじゃないか?なのにあの男はあの子と付き合っていた。


俺はもう人間を、そして、何よりあいつらを信じることができなくなった。


だから、今、俺は一人になった。


ここには誰も、本当に誰もいない。


俺は螺旋状の思考を止めて思った、そういえばここはどこだ?


ここが池の周りであることは知っているが、ここはどんなところなのだろうか?


どうでもいい事の様な気がした。


でも、一度考え出したらやはり気になってきた。俺は目を開けて周りを見回した。


静かだった、まずはそう思った。


ここは雑草はまばらに生えており、小さな川が池に流れ込むことによって淀む事も無く水は腐らずに澄んでいた。


きっと魚なども居るのだろうが、今は眠りについているのだろう。


水は静かに透き通っていた。


いや、眠っているのは魚だけではない遠くの山々に広がる針葉樹や広葉樹、そしてそれに住んでいる鳥や動物、虫たちすべては死に床に就くように眠り静まり返っている。


息苦しかった、世界最後の日、それはきっとこんな日なのだろう。


もしかしたら俺ももう死んでいるのかもしれない。


それでもかまわなかった。


俺は誰も信じられなくなった、俺はいなくなっても誰も悲しむことの無い必要の無い人間なんだ。


悔しかった、痛かった。


俺はまたうつむいて、目を閉じた。


今度は何も考えは浮かばなかった。


本当に死んだようだった。


そうしているうちに、俺は息苦しさと共に胸の中に黒く硬い泡が膨れ上がってきた。


そして、感覚はぐらぐらと揺れ動き安定性を失いゆったりと回転を始める。


世界は終極を中心に回り始めたようだった。


それは、螺旋を描きながら暗闇の底に落ちていく様な感じだった。


・・・・


・・・


・・落ちていく。








フワッ   ―――風か?






一瞬の間を開けて打ち据えるような突風が横から俺をなぎ払った。


驚いた俺は思わす夜空を仰いだ。



刻が止まった・・・



俺の中の音が消えた、雲が晴れ月が出ていた。


綺麗な満月だ。


壮観だった。


二つの月が出ていた。


一つは、最も高く虚空に律し、また一つは、最も低く水面下に広がる天空に揺らめく。


強い風脚は大気の淀みを払い凛とした清風を流し込む。


世界は月明かりを浴びて白銀に染まり。


星達は瞬きを残して夜空に吸い込まれる。


そして、俺の存在と意識は世界に溶け込んでいった、それは俺が1より0となり無限に広がっていく感じだった。




時間が流れ、刻が動き出す。






俺は俺に戻った。


この場所に戻ってきた俺は、月の映る水面を覗き込んだ。


水面には俺の姿があった、そして、世界があった。


それだけだった。


でも、それがすべてだった。


感動ではなかった、そんな安い言葉でなかった。


俺には確信だった、揺らぐことは無かった。





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





俺は山を降りた、そしてみんなのところに帰った。


それから俺は受験勉強をやり始めた。


何も考えずにただひたすらに勉強をした。


それを理由にして、俺が仲間たちと遊ぶことは無くなった。


今年俺は晴れて大学生になった。


あの夜以来俺はあの場所には行っていない。


あの時のことは失恋の笑い話として人に話すことはあったが、もう俺には愛だの恋だのといったことはどうでもよかった。


今の俺には、世界はいつもそこにあり、そして、俺はここにいる。それだけが大切なことだった。


俺にとってあの夜は特別な夜だった。


あの夜は俺の生まれた夜であり


そして・・・





俺の死んだ夜なんだ・・・。











再アップ企画第二段「落葉の頃に 落陽に様に」

「落葉の頃に 落陽に様に」



人の世には


「吾輩は猫である、まだ名は無い・・・」


そんな言葉から始まる物語があるらしい


私もまた猫である


そして


彼の猫のように名は無い


私は捨て猫と言うものではない


私は私の親を知らない


だが


私が私であった時から


私は私であるものだ


そんな私は名前は無いが誇りを持っていた


それは


私は他の猫とは違うところだ


他の猫達はただ刹那的に生きているだけだった


そう


その日の食べ物を探すこと


気持ちの良い場所で眠ること


子を作る為にメスを探すこと


他の猫達はその事だけしか知らなかった


他の猫達はその事だけを欲していた


だが私にはそんな愚かさはない


なぜなら私は人と呼ばれるものと等しく


物事を考える頭脳を持っているからだ


私は心を持ち


私は思考をし


私は志を持っていた


いや、神託と言っても良いかも知れない


それはこの刹那的に愚かしく生きている猫達を


進化と言う名の下に


本能と言う束縛から解放し


己の考えを持つ自由を与えることだ


私は私達猫を人にしたかった


それが私の志だ!


私はその志を達成する為には


同志が必要だった


革命は独りでは出来ないからだ


そのために


私は猫達に語った


生きることの意味と


それに対して求めるべきことを


真理と言うものを


本能の愚かさを


思考すること、というものを


だが


猫達は誰も聴こうとはしなかった


猫達にとってはそんな事よりも


夕飯の心配の方が大切なようだ


誰も聞いてはくれない


私は思った


これでは何も変わりはしない・・・・


まずは話を聞かさなければいけないな、


私はどの様にすれば猫が話を聞くか考えた


猫達が必要とするものを与えればいい


そうだ


私は一つの案を思いついた


私は、沢山の食べ物を用意した


そして


彼らを集め


話をした


これは効果が有るようで


毎日のように多くの猫達が話を聞きに来た


しかし


私も食べ物が無限にある訳ではない


食べ物が尽きてしまった


すると


猫達はぱったり来なくなってしまった


猫達は話を聞いていたのではなかった


食べ物を食べたかっただけなのだ


だから


話を聴いている振りをしていたのだ


私は悩んだ


このままでは志を達成することなど出来はしない


そう、


今度は限界の無いもので無ければならない


人の世には権力と言うものがある


私もそれを獲る事にした


猫の世界での権力


それは


強くなり、ボス猫となることだ。


私は強くなることにした


様々な技をつくり


力をつけた


それだけでは確実に勝てるとは言い切れない


私は自慢の頭脳を駆使して


その土地ごとの


特徴を生かした戦い方を編み出した


全てにおいて完璧を尽くし


勝率は99,99%であると私は確信を持った


私は戦った


私は負ける事は無かった


なにせ、完璧な作戦が私には有るからだ


だが、それだけではない


これは人の世に言う聖戦と言う物なのだろう


私には勝利の先に信じ、達する目的があった


くだらない下種な目的しか無い猫達に勝ち目などある訳も無かった


私は全ての猫に勝利し


全ての猫を支配下に置いた


猫達は私に恐怖し私の前に跪いた


そして


私はまた語って聴かせた


生きることの意味と


それに対して求めるべきことを


真理と言うものを


本能の愚かさを


思考すること、というものを


猫達は聞き入っていた


私は満足して話していた


私は猫達に本当に聴いているかどうか


質問をしてみた


ある猫はこう答えた「貴方様のおっしゃるとおりです」


私は分ってくれたと思った


私は嬉しかった


ついに目的を達成する為の同志が出来たのだ


夢の現実は目前だった


それから


幾日も私は話をした


猫達は私の話に聞き入り


私の話が終わるまでまったく動くこと無く真剣に聞いていた


猫達は分ってくれたのだと思った


私は嬉しかった


私はまた別の同志の猫に質問をしてみた


その猫はこう答えた「貴方様のおっしゃるとおりです」


私は少し違和感を感じたでも


その違和感はすぐに消えた


同志なのだから同じ意見であって不思議は無いと思った


私は嬉しかった


心一つとなって同じ目的に向っている仲間がいたことが


ある日


私は私の真理について考えていた


そして


少し迷うところがあった


こんな私でもやはり完璧ではないようだ


時には同志の意見を聞いてみると


新しい発見があるかもしれない


私は同志の猫に君はどう思うか聴いてみた


その猫はこう答えた「貴方様のおっしゃるとおりです」


同じ答えだった


いつもと同じ答えだった


その時私は気が付いた


猫達の目に映っていたのは


恐怖と媚びた表情だけだった


猫達は私の話など聴いていなかったのだ


私は嬉しかったのだ盲目になるほどに


私は落胆した


自分の浅はかさを呪った


だが、何より許せなかったのは


愚かな猫達だ


そして、思った


所詮ただの猫は猫でしかないのだと


私は猫に対し失望と憎しみを感じながら


もう何も求めない事にした


私は群れを


街を


去った


山にこもる事にした


俗世との関わりを絶ちたかったからだ


私は一匹になった


私は一匹で


生活をしながら


絶対真理の探究をすることにした




・・・・・・・・・




私は山の中で独り生活をしていた


その中で私は


真理について何日も悩むこともあった


断食を試みたこともあった


真理に到達したと思うこともあった


それが間違いだと考え直すこともあった


私はそうやって日々を過ごしていた


あれから一年が過ぎただろうか?


そんなある日


私は、ふと思った


何が切っ掛けだったかは覚えてはいない


だが・・・


私はこう思ってしまった


私はこう考えてしまった


私はもしかしたら他のただの猫達と同じなのではないのか?


私日々考える真理とは


他の猫達の日々考える事と何が違うのだろうか?


私は自分の考えはいつも真剣に考えたもので


そこには他の猫達のような惰性は無いと信じていた


だが


他の猫達も今を生きるということに対して真剣であるからこそ


刹那的なのではないのだろうか?


ならば私は何なのだろう?


有るべき姿を棄て


固執すべき生をないがしろにしてまで


思考に走るのは


本当に正しい事だったのだろうか?


猫達を人のようにしようとした事は


意味があるのだろうか?


結局は満腹を求めるような満足感でしかなかったのではないだろうか?


あれほど世界について考えたことも


真理を探究したことも


思考こそが最も価値のあることだと信じたことも


全て


私が私の満足の為だけにやっていただけなのではないだろうか?


と言うことは


私は他の猫達と同じだったのではないだろうか


私が失望した猫と・・・


こう考えてしまった。


そう想ってしまった。


私は何もかも失くしてしまった


私は他の猫達とは違うはずだった


私は特別な私である筈だった


でもそうではなかった


そして、


私は生きている意味を失った


信じたものは路傍の石だったのだ


私は結論を出した


ある一つの行動をしようと思った


最期の一つを


禁忌の一つを


私は人の街を見下ろす場所に行った


街は美しかった


この幾何学模様が好きだった


私は冬という滅びに変わりゆくこの世界の中で


最期に


最期だけは人のように死にたいと思った


私のなりたいと望んだ人のように


例えそれが人の世においても禁忌だったとしても


せめて最期くらいは私でありたかった


そして


街を見下ろす一本の木の枝に


私は縄を括り付けた。




・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・





夕日の綺麗な秋のその日


一枚の木の葉が舞い落ちる


枯れ木に一匹の猫がぶら下がっていた


猫の瞳には涙がたまり


頬に一筋の線を描いた


猫はなぜ泣いたのか?


それは、恐怖によるものではないだろう


きっと最期にこの世界の


消えいる前の灯火の美しさに触れたからだろう


猫の世界、最後の


木の葉舞い散る夕日の時が


あまりにも・・・・