"やめときなよ"
"幸せになれないよ"
そう何度も友人に言われてきた。
分かっている。
自分が1番分かっている。
貴方にとって都合の良い女だということくらい。
________________
2年前、私がお世話になっている先輩を通じて貴方と出会った。私から見た貴方の最初の印象は年上なのに頭が悪そうで絶対に好きになれないタイプだと思った。この時の私は高校を辞めて仕事していて、楽しいこともなく過ごしていた。だからだろう。何となく暇潰しに貴方に絡んで行ったのが、私のこの恋物語の始まりだったんだと思う。
最初の貴方はやはり私にとって苦手な存在だった。暇潰しに絡んでいるって言うのは私自身も最低だと思うが、話していても面白くないし疲れるだけだった。だけどある日、家が近所という事もあり2人で遊びに行くことになった時、意外と楽しいかも...なんて思ったのだ。頭悪そうだと思っていたが芯はしっかりしていて仕事も真面目にこなしてるみたい。
少しだが私の中の苦手心が無くなった気がした。それと同時に貴方への興味も湧いた。
それから何度か会っては他愛のない話をして笑い合ったり愚痴ったり、ときには真剣な相談をするくらいの関係性になっていった。
訳の分からないところで怒ったり私にモノを買わせてきたりと、人遣いが荒くてムカつく時もあったが、それ以上に貴方と過ごす時間が楽しいって思えるようになったのだ。
"貴方に会いたい"
そう思った瞬間。
私は貴方に恋したのだと気付いた。
想いを伝えると貴方も好きだと言ってくれた。
貴方と私は"恋人同士"になれたのだ。
絶対に好きにならないタイプとか暇潰しとか言ってたのに、恋とは突然にやってくるのだと実感した。
付き合いたての頃は色んな場所に連れてってくれたりしていた。好きとはなかなか言ってくれない人だったけど、行動から私のことを大事にしてくれてるのだと感じていた。
2ヶ月ほど経ってからだろうか。
体の関係もできた。
それからだ。
会いに来てくれたと思ったらヤって終わり。
出掛けてもホテルでヤって終わり。
それの繰り返しになってきた。
私は都合の良い女。ヤらせてくれる女になっているのじゃないかと感じ始めた。
分かってはいるものの拒めない自分がいたのだ。
好きとはつくづく罪なものだ。
都合の良い女でも貴方の側にいたい。
離れたくない。
そう思ってしまうのだから。
あくまで私の事だけれど、今思えば私は過去の幸せに囚われてただけだったのかもしれない。
また付き合った最初の頃のように戻れると。
そう信じていたのだろう。
変わることのない現状。
友人に相談しても皆別れるべきだと言う。
貴方とのこの関係を続けていても幸せになれないし辛くなるのは私なのに、私から別れを告げることなんてできなかった。
好きなのに別れを告げることがどれだけ辛いことか分かるだろうか?
悩んでは泣いて。胸が苦しくなって。
どんどん落ちて行く。
何も考えたくないのに。
都合の良い女であるはずなのに。
貴方は心配して電話をくれる。
なぜなの?貴方の心が分からなくなった。
私が知りたかったのは、
ただ1つだけ。
私の事が好きか。それだけなのに。
ヤるだけの関係になって半年ほど経った。
もう私の心は壊れてしまったのだろう。
気付けば別れを私から告げていたのだ。
別れは本当に一瞬だった。
たった1分も経たない会話で関係が終わるのだから。
貴方が今何を思って生きてるのかなんて私には分からない。楽しかった時間も苦しかった時間も全て事実。
だけどふとたまに貴方のことを想う。
新しい恋を探そうとしても貴方と比べてしまう。
別れてからも貴方との記憶と、貴方への想いは変わらないのかもしれない。
〈都合の良い女でも好きだから離れたくない。〉
そんな誰かの言葉を聞いたことがある。
実際に自分が体験してちゃんと理解する。
恋は幸せでありながら恐ろしいものだと...
私は今日も生きている。
貴女に会いたい。
そんな想いを殺しながら。
____
都合の良い女 ~瑠璃の場合~
END.