つけちゃん、

 

リサイクルショップに行ってきた。

 

なぜって、リサイクルショップの和装コーナーを目当てに行ってきたの。

 

そこには、長ーい一列の両脇に、着物や帯、和装小物が所せましと並んでいた。

 

特に着物!

 

留袖から普段着まで、ズララララーーーーーッ!!と吊るされているのだ!

 

しかも「これってとても高価なお着物なのでは…」と、つけちゃんごときが見てもわかるような品物も中にはあるのだ!

 

「こ、これだけあれば選び放題じゃんねー!」と、鼻息荒くして早速物色をはじめるつけちゃん。

 

あ、これ可愛い!わ、こっちの色もいいなー♡ありゃあ、この柄ってば素敵!

 

心躍るつけちゃん!

 

踊りまくるつけちゃん!

 

もちろんお値段も可愛く、「きゃー!いくらでも買えちゃうー!」とテンション上がりまくりのつけちゃん!

 

…とその時…

 

「あ、そうだそうだ、えーと。。」

 

着物部の部長であるK夫人からLINEに送られていた「着物を買う時の注意事項」をかろうじて思い出したつけちゃん。

 

それは、

 

”着物を買う時に失敗しないサイズ・寸法選びのポイント”

 

なるもので、つけちゃんはきちんとそれを参考にして、自分の身体に合う寸法を測ってメモしてK夫人のアドバイス通り、メジャーを持参してリサイクルショップに参上していたのだった!

 

きちんと真面目に部活動するつけちゃん!

 

エライッ!

 

つけちゃんてば、やればできんじゃん!

 

イエーイ!!!

 

心の中の誰か知らん人にハイタッチしつつ、おおいに自分をほめたたえながらメモとメジャーと取り出し、目星をつけた着物の寸法を測りだすつけちゃん。

 

えーと、まずは身丈っていう着物の総丈を測りますね~、こっからここまで…えっとぉ~…

 

「?ん?」

 

なんとも不思議な小さな数字だ、メジャーがずれちゃったのかしらん?えっと、もう一回…

 

「!?」

 

えっと…何度測っても同じ数字だ…こ、これは…なぜこのような小さな数字が?…

 

つけちゃん、一斉にくるくると思考を働かせ、他の吊るされている着物を目視して衝撃の事実を発見した。

 

み、短い!

 

着物の丈が、やたらと短い!!!

 

たくさん裾上げをしてるのか?と思って見てみるけれど、そんなに極端に上げている様子もない。

 

つ、つまり…

 

ここに置いてある着物は、ほぼ丈が短いということに気づいたつけちゃん!

 

おそらくご年配の方が使わなくなった着物を売ったものが多く、ひと昔前の日本人の身丈でつくられている着物ばかりなのだと察したつけちゃん!

 

ぼんやりと少し気の遠くなるつけちゃん…

 

いや、そうはゆってもつけちゃんの背丈に合う着物が全くないワケはないだろう、だってつけちゃんは現代女性の平均中の平均「161センチ」という身長なのだ、着物丈は身長+5センチ、つまり166センチの長さを探せばよい…いくらなんでも全くないワケは…ないはず…だ…

 

気を取り直して、とにかく片っ端からメジャーで測りまくるつけちゃん。

 

これも短い、これも短い、これも、これも、これも、短い、短い、短い……ああ、短いーーーっ!

 

目星をつけた着物たちは全てあっけなく選考から外れ、もう柄も色も素材も関係なく、とにかく身丈166センチのモノを見つけることが目的となった。

 

とにかく練習用でもいいから、一着でも欲しいのだ…

 

そしてなんとか身丈が163~165センチのものを3着ほど選抜した。

 

長ーーーい列に吊るされた何十着の着物の中から、たったの3着とは…

 

しかもここからまた「裄(ゆき)」という腕の長さを確認しなければならない。

 

そうしないと、袖がちんちくりんになってしまう。

 

実はここからがつけちゃんの本当の闘いだということは、つけちゃん自分で最初からわかっていた。

 

なぜならつけちゃん、身長のわりに腕がやたらと長いのだ…

 

浴衣も、中学、高校の制服も、

 

「アンタは腕がやたらと長いから、既成のものじゃ間に合わへん。ちゃんと採寸して仕立ててもらわんと…」

 

と、いつも母が言っていたことを覚えているのだ。。

 

たった3着の中にあるのだろうか、つけちゃんに合った裄の着物が…

 

覚悟して測ってみると…ダメだ、短い…うわ、相当短い…二着があっけなく合わないことが判明した。

 

最後の一着、これがダメならもう今日はあきらめよう…測りはじめてからすでに1時間以上たっている…悔しいけれど仕方がない…

 

測ってみたら…

 

なんと、つけちゃんと同じ長さの裄だった。

 

「合った…!」

 

その着物は赤い柄ものの普段使いのものだった。

 

最後の3着の中では、実は一番気に入ったものだった。

 

「あなたを連れて帰らせてください、よろしくね」

 

そう心でつぶやいて、その赤い着物に合わせた帯を選びはじめたつけちゃん。すると、

 

「ひゃー!なにここ!?宝の山やんかぁ!?」

 

と歓喜の声をあげながら小柄なご年配の女性が二人、和装コーナーにやってきた。

 

「ほとんど寸法合うわぁ!なんぼでもあるやん!ひゃー、うれし!」

 

そういってお二人で楽し気にファッションショーがはじまった。

 

つけちゃん、生まれてこのかた自分の身長に不満を持ったことなど一度もなかった。

 

が、しかし、そのときばかりはそのお二人の女性の身長がうらやましくて仕方なかった。

 

とても可愛らしい笑顔で、「お年始にこれ着よかなぁ」なんて言いながら、素敵な柄の着物を体に合わせてお互いに見せ合っていた。

 

「こんなん届かへんわ、どないして取ったらええの?」と聞こえてきたので見ると、どうやら吊るしてある着物を取りたくても取れないらしい、つけちゃんが「これですか?」と言って取って渡してさしあげたら、うれしそうな顔して「ごめんねぇ、ついでにあれも取ってくれる?」と上手にお願いされて、なんやかんや喋りながらつけちゃんも一緒にそのご婦人たちの着物を選んだりした。

 

「若い人はええね、どんな着物も似合うね」

 

ご婦人たちはそう言ってくれたけど、

 

「いえ、せっかくこんなに着物があっても、残念なことにほとんど丈が合わないんです」

 

と答えたつけちゃん、ちょっぴり寂しい。。

 

日本人女性ってえらい大きくなっちゃったんだなぁ…としみじみ思うつけちゃん。

 

自分に起こっている欧米化にはじめて気づいたつけちゃん、そのことを着物を通じて思い知らされたのだった。

 

可愛らしいご婦人たち、どうぞよいお年を!

 

大きくなっちゃった日本人女性のつけちゃんも、よいお年するね!

 

 

 

測定した数値のあまりのかわいらしさに

 

呆然としつつも

 

その理由を見つけるために思いを巡らすつけちゃん。