つけちゃん、
今日 さよならした。
ある白い棚とさよならした。
今日、粗大ごみの日だったので出したの。
その白い棚というのは、
つけちゃんが18歳の大学生の時に買った、組み立て式の木製の棚だった。
まだその頃は、
そういう組み立て式ラックみたいなのは出始めだった。
お取り寄せで1ヶ月くらいかかってさ、届くの楽しみだった。
すごく洗練された、お洒落なイメージだった!
今は コーナンとかにいっぱい売ってあるね。
そのとき下宿したての18歳のつけちゃん、
ドライバーセットも一緒に買って、
4畳半の部屋で汗だくになりながら1人で組み立てた。
で、白いペンキ買ってきて、刷毛でぬりぬりした。
そのとき、素の木の色の棚から 白い棚になった!!
せまい下宿先では、すべてがそこに置かれた。
食器もタオルも電話も雑誌も洗面道具も画材道具も…
不思議なことに、阪神淡路大震災が起こったあの夜明け前、
その棚から物がひとつも落ちなかったのを覚えている。
その後は様々に姿を変えながら、棚は活躍してくれた。
カーテンつけたり、向きを変えて横になったり…
時はすぎ30年たち…白い棚もずいぶんくたびれてきた。
棚は曲がって ところどころ木が擦り切れ、
ぐらぐらするようになってきた。
十分おつとめしてくれた、
と つけちゃん思うようになった。
そしてある日、白い棚を解体して紐でくくった。
その時、手伝ってくれた息子KJが
「ばらばらにする前に、写真撮っといたら?」
というので撮ったけれど、
携帯で撮った画像の中の白い棚は
もうすでにつけちゃんの白い棚ではないように見えた。
地域の粗大ごみセンターに予約の電話をしたとき、
棚のサイズを伝えた。
120㎝よりも大きいですか?と聞かれ、
縦は180㎝、横は110㎝のもので、もう解体してます。と答えると
本来は1200円ですけど、解体しているなら600円でいいです、と言われた。
でも、つけちゃん、どうしてもそこは、
白い棚に、ちゃんとシールつけてあげたかった。
君のサイズは、間違いなく縦180㎝×横110㎝だったね、と。
これ、つけちゃんのどういうプライドかわからんが…
もうすでに小さくなって重なった白い棚に、
1200円分の粗大ごみのシールを貼り付けた。
粗大ごみの日は、今日だった。
朝のうちに収集にきてくれた。
さよなら、つけちゃんの白い棚。
すごくいい棚だった。
ありがとう、白い棚。さよなら。
さよなら、さよなら、さようなら!
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