「三国志6・7」北方謙三 / ようやく。
袁紹だの孫策だの、これまで多角的な視点を提供してきた主要人物が順々に表舞台を去っていき、以降物語は周瑜を一方の軸に置き、かの「赤壁の戦い」へと収斂していく。
分散から集中へ、視点が絞られたおかげで小説の密度もグッと高まり、ようやく楽しめるレベルに到達した。
我ながら、ずいぶんと耐えたものだ。
また、こちらも有名なエピソードである「三顧の礼」が描かれ、いよいよ劉備陣営に諸葛亮孔明が合流する。
ナイーブに描かれる孔明の浮世離れした姿と屈折は、なかなかに妙味があってよい。
特に逡巡を振り捨て、俗世に身を投じることを決意するくだりなどはよくできている。
孔明のような人物を書くのは難しいところがあるのだが、今後、作者が彼をどう料理していくのかに注目していきたい。
個人的には泥臭い孔明像を見てみたいのだが……。
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オススメ度★★★