ルアーを放り込めばブリやメジロが高確率でhitしてくる程の大爆釣、ルアーをやってる者なら誰もが夢見るような、そんな狐につままれたようなシチュエーションから早一日、味を占めたと言うよりは、むしろ昨日の出来事が本当かどうかを確かめるかのように釣り場に向かい、到着したのが午前6時前。

台風が近づいていると聞いていたが、思いのほか天気は穏やかだ。

現地には既に仲間が陣取っており、早くもメジロが一本上がっていたと言う。


本来の自分ならその一報を聞くや否や、意気揚々と立ち振る舞いそうなものだが、昨日の状況を知ってる自分としては勢いが無いなと感じたくらいだ。

なぜなら、朝からメジロが上がったなど〝いつもと同じ〟だからだ。

早速準備を済ませてルアーをキャスティングするが、ミノーを投げどジグを投げど反応がない。

そんな状況が続く中、堤防の背後に異様な何かを感じた仲間の一人が海を眺めると大声で叫んだ。


「ナブラでてる!!」


昨日と同じように海が暴れ始めた。

ただ、昨日と違う所は距離が遠い。

自分は堤防から移動し、ナブラが届く距離まで駆け寄り、息を切らしながらリップレスミノーをキャストしても魚は見向きもしない。

リップレスミノー に見切りを付け、早急にポップクイーンにルアーチェンジしキャストするも、100m向こうで暴れている連中は興味を示してくれない。

ポッパーの操作には自信があったので手段変えずにこのままやってみようかと思ったが、100m向こうの連中はそれに気づいていないとは思えないので、おそらくこのチョイスは正解ではなかったのだろう。


ナブラが消えてしまう恐怖を感じながらも、ラピードf130を装填し、ロングジャークで様子を伺う。


「ピシャッ」


ラピードの側で、ラピード以外の波紋が立ち、その波紋は小気味良い音を立てる。


「ピシャッピシャッピシャッ」


その音を奏でてる主はどうやら一匹だけではないらしい。

どうやらラピードが答えのようだ。

そしてその答えに応じるべく、自分は刻むように細かいアクションを加え、音を奏でる主が確実にラピードを捕獲するのを待つ。

表面に浮かんでいる筈のラピードが消えてる事を確認し、さらにロッドを少し引いて重みを感じたと同時に鋭くフッキング!


「シャァァァァァァァァァァ!」


ドラグ音が響き渡る。


先ほどのショートバイトからは想像出来ないような、そいつは間違いなくメジロ以上のなにか。


ロッドワークとドラグ調整をしながら少しづつ浮き上がって来るのを待ち、確実にネットインさせる為にじわじわと体力を削る。


太陽の光を浴びて銀色に輝く獲物は浮き上がるほどに輝きを増し、輝きとは裏腹に勢いを失って行く獲物を難なくキャッチ。



おそらく80センチ前後はあるなかなかの巨体。

ここまでのサイズになると一本キャッチするにもなかなか骨が折れる。

あまり時間を掛けるとせっかくやって来てくれたゲストの体力をさらに奪い兼ねないので、一言「ありがとう」と添えて海に戻す。


ラインを結び直し、2ラウンド目を開始。

どうやらラピードが大正解だったようで、今度もまた「ピシャッピシャッピシャッ」と、先ほどと同じようなバイト音を立て、ラピードにアタックを繰り返す。

そして同じく先ほどと同じように刻むようにアクションをし、重みを感じた所でフッキング!


ただ、ロッドに掛かった重みは先ほどのソレとは比較にならなかった。


To Be Continued