ゼウスはドン・キホーテ銀河店に来ていた。

惑星コレクターのゼウスは、常連客だった。ここには星の種もある。
「いらっしゃいませ!これはゼウスさま」
「新星の種まだ入荷してないの?」
「以前お買い上げになった衛星の種なら、いいのが入りましたよ」
「ほう、衛星か見せてくれ」
「こちらの月でございます」
ゼウスは月を手に取ってみた。
「月か。このクレーターのデザインが好きなんだよ。よし買った」
「お支払いは一括で?」
「月払いでお願いするよ」

ゼウスは太陽系のガーデンを眺めながら、胸元から手帳を取り出して開いた。
そこにはビッグバンの予定表が図式で書かれていた。
「種をどこへ植えるかだ」
無闇に種を植えると、銀河系の生態が歪んで、大切に育てた星がブラックホールに吸い込まれてしまうからだ。
「まず古びた月と欲望で灰色に汚れた地球をいつ始末するかだな。地球よ」

ゼウスに睨まれた地球は青くなった。