「保育園で紙芝居ですか?」
「ぜひお願いします」
紙芝居おじさんに声をかけたのは保育園の園長だった。
「延長保育で、泣きだす子どもが多くて困っているんです」
紙芝居おじさんは快く引き受けた。

紙芝居おじさんの太鼓に、園児たちが集まってきた。
「さぁさぁ紙芝居の始まりだ。桃太郎と金太郎のバトルだよー」
園児たちは目をキラキラ輝かせている。紙芝居おじさんの物語は創作なのだ。
「さぁ金太郎がマサカリをビュンと振り回す!桃太郎はピョンと交わして攻撃だ!さぁバトルの勝敗はいかに!」紙芝居おじさんは太鼓をドンドン叩いて盛り上げる。こうなると桃太郎と金太郎を応援する園児たちが分かれ、応援合戦となった。場面が変わるたびに園児たちの声が響いた。
「桃太郎ガンバレー!」
「金太郎ガンバレー!」

紙芝居おじさんは、まるで自分を応援されているようだった。園児たちの純粋な声が心に響いて、紙芝居の絵が少し曇った。