道を知る | ついつい空をゆく

ついつい空をゆく

2009年10月04日(日) から日々思った事を書いています。

ネット友達の日記に転記されていたものを更に転記させて頂きました。
塚越寛伊那食品工業会長のインタビュー記事です。
「会社の道とは何かといえば、一人でも多くの社員を幸せにすること。」など随所で感銘を受けました。

まだ私は人生真ん中あたりですが、働いている時に充実感を得られ、特に人の喜びや幸せにそれがつながると、トンでもなく自分自身も幸せになります。
このインタビュー記事を読んで、タロサ(麻生太郎)の演説の中で、「働く」という行為は、西洋の神話では「罰」だが、日本では神代の時から、天照大神が機織りするなど働く描写があり、「喜び」というとらえ方をしている。
というような話しを聞いて感動したのを思い出しました。
人によって価値観は違いますが、日本人、特に私は働くのが好きらしい。
「仕事」の中に喜びを見出すタイプのようです。
そうでない人でも「働く」行為は、人の人生の中心になる事が多いわけで、この会社のような企業がもっと増えるといいな~。

伊那食品工業のホームページの中で、二宮尊徳の言葉があり、これも胸を打ちました。

  「道徳なき経済は犯罪であり、経済なき道徳は寝言である」

そういえば、私が小学校の頃は校門入ってすぐの所に二宮尊徳の銅像があったなぁ。

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以下引用


『社員を、社会を、幸せにする それが企業のあるべき「道」』 塚越寛 

寒天メーカートップとはいえ、うちは年商170億円で利益が20億円の会社。規模としては大したことない会社なのに、世間から注目してもらえるのは、理念がずっと変わってないからじゃないかな。そこに大きな価値があるんだ。

 ちなみに、伊那食品工業の社是は「いい会社をつくりましょう」。「良(よ)い」ではなくて、ひらがなの「いい」。みんなが日常会話の中で「いい会社だね」って言ってくださるような会社にしようってこと。

「良い会社」というと、売上高だの利益だの株価だの、経営上の数字で優秀な会社というイメージでしょう。そうじゃなくて、うちが目指すのは「いい」。

 この「いい会社をつくりましょう」を社是にして、もう30年経つ。会社はどうあるべきかをいつも言うわけよ。あるべき姿、「道」だね。会社の道とは何かといえば、一人でも多くの社員を幸せにすること。

だから人件費はコストじゃないんだよ。より多くの報酬をあげて幸せにする、そのための手段なんだ。実際に給料もボーナスも毎年上げてますよ。一度も減ったことはない。もちろんリストラもずっとなし。

 そして社会に迷惑をかけないようにすること。この、絶対人に迷惑をかけないってことには、一本筋を通してる。だからうちの社員は、朝、車で出勤するときは渋滞を招く右折は禁止。スーパーで買い物するときなんかは、年寄りや体の不自由なほかのお客のために、なるべく入り口から遠い所に駐車するようにしてる。

 仕入先に振り込むときも、送金料を引かないのは昔から。先方に収入印紙を張らせるような為替手形も出さない。「印紙代だけで年間50万円削減できた」なんて、ケチってほくそ笑むような会社が今も多いけど、そういう経営、うちはしないんだ。人に迷惑かけるようなことはしない。

 毎年少しずつ、よくなる会社でありたいし、社員にも、毎年少しずつ、幸せになってほしい。それを実現したいから、会社も少しずつ成長させて、堅実な経営をしてきたい。

 私の自慢の一つは、経営者として自分を律するために自分に課した心得10カ条を全部実行してること。自分に95点はつけてやれると思う。

1、専門以外に幅広く知識を持ち、業界情報は世界的視野で集める。2、バランスを取りながらつねに変革を志す。3、永続こそ企業の価値。急成長を戒め、研究開発の種まきをつねに進める。4、企業の真の目的は雇用機会を創り、快適で豊かな社会を創ること。成長も利益もそのための手段である……、とね。


『不景気の時ほど投資をする カネは回してこそ社会のため』

 創業半年後のこの会社に来て再建に取りかかり、以後、40年間連続増収増益で来ました。急成長は追わず、毎年少しずつ積み重ねる形でね。ところが2005年に寒天ブームが巻き起こった。その反動で09年12月期まで、今度は3期連続で減収減益を余儀なくされました。

 ブームが来た時、増産することに対し実は私自身は反対だった。けれど社員が「ぜひやりましょう、自分たちにやらせてくれ」と言ってくる。経営者には雇用って義務があるわけだ。

雇用したらその人を守らないかん義務があるわけよ。うちは一度も首切りしたことない。首切らないためには急成長したらいかんのよ。急成長すると必ず悪い事態に陥る。でも結局みんなの声に押され、初めて24時間スリーシフトをやったんだよ、俺の大嫌いな。

そうしたら3カ月くらいしてみんなクタビレてきたのがわかった。それで、これじゃまずいと思って、「もういい」と、やめろと。もっともブームのほうも同じ頃に終息していったから、在庫の山や返品の山は抱えずに済んだ。

 でも減収減益が続いた間も、給料は減らさなかったし、ボーナスも減らさなかったよ。08年の創業50周年は盛大にお祝いしたし、ヨーロッパ旅行へ全員で行ったしね。ブーム後の混乱が修正されれば、いずれまた上向きに戻れるという自信があったから。

そしてようやく今、会社は落ち着いてきたところ。ブームでハネ上がる前のなだらかな右肩上がりの延長線上に戻った。必ず戻れると信じてたから、全然慌てなかった。

 無理はしないのがうちの信条。この20年、経費節減なんか言ったことないよ。もちろん無人の部屋に明かりは無駄だけど、人が働いてる所では大いに明るくしろ、暖房を大いに使えっていうの。1日でいちばん長い時間過ごす場所を快適にすることは必要経費だから。そんなとこまでケチって儲けるようじゃ、経営者の腕がよっぽど悪いんだって。

 今年はうちは投資が目白押し。投資といっても生産性を上げる投資じゃなくて、社員が快適に働けるようにするための投資。不景気のときに投資したってしょうがないから投資しない、って世間は言うけど、違うんだよ。

そういう時には福利厚生や景観、環境とか街づくりとかって、やることいっぱいある。内部留保はどこもあるんだよ。それをため込まず、どんどん投資しておカネを回す。カネは回さなきゃ意味がない。会社っていうのはそうすべきもんだ。今も昔もそうだけど、うちは不景気の時ほど投資をするのよ。

『食品はそれぞれの国の文化 儲けるための輸出はどうか?』

 取引先ともウィン・ウィンの関係が大事。ビジネスとは何かといえば、「この会社が好き」というファンをいかに増やすかだと思ってる。会社は本来、社会の営みの中で人を幸せにするためのもの。その中でいちばん身近な人は社員でしょ。

この会社はこの町の人を幸せにする、あの会社はあの町の人を幸せにする、そういうのが日本中にあるといい。取引先が儲かれば、そこの人が幸せになる。だから取引先からは正しい値段で買えばいい。

 そういう意味では、スーパーとはあまり取引がない。身の丈に合わない商売はしないっていうのもあるけど、スーパーさんっていうのは、商品を育てるっていう気構えがないから。

自分で育てるんじゃなく、テレビで宣伝して売れるようになったものを並べときゃいい。まじめに地場産業おこしをやってる中小企業がいっぱいあるのに、そういうのを大事にしないから。かつて、あるコンビニチェーンに「うちで扱ってもらいたいなら、最初は1円で持って来い」って言われたことがある。あるいは半値で、とか日常茶飯事だった。

 寒天雑炊といういい新商品ができたんだ。あられ状の寒天でけっこう難しいの。でもそれもスーパーでは売らないんです、ブランド化できないから。有名とブランドとは違う。本当のブランドっていうのは、値引きせずに売れる品なんだよ。

値引きして売るのなら、じゃあ定価ってそもそも何だ、っていうことになる。定価っていうのは、その会社が正常な企業活動をするために必要な価格なんだよ。それは本来守られるべきでしょ。あらかじめ高い定価つけといて、売るときは何割引きなんていうのは欺瞞だよ。

だからうちは値引きはしない。そのかわり適正価格をつける、正常な企業活動ができる価格をね。量産しないし生産量も少ないから、自分で売ればいい。

 伊那食品は輸出はしません。それはその国の人の領域を侵すことだから。食品という産業はその国の人がやるべきものだ。その国の文化まで侵すようなことやっちゃいかんのよ。儲けるために行くっていうのはおかしいんだよ。

海外に四つあるうちの協力工場にはしょっちゅう、需要開発しなさいよって話して、そのためのノウハウもどんどん教えてる。日本だけに市場を限れば、当然伸び率は悪いよ。でも食品は日本だけでも70兆円市場。うちの売上高はたった170億円。寒天は健康にいいから、それを訴えていけばみんなが幸せになる。成長余地がありすぎちゃって天井が見えないよ。

『「百年カレンダー」と教育勅語 いかに生きるか社員に伝える』

 海外社員旅行は1969年から1年おきに実施しています。今も会社が1人9万円出して、各自月2000円ずつ積み立てる。十数班に分かれて、9~11月までの間、どこかの班がどこかに行ってるわけ。ニュージーランドに行った連中なんて、全行程レンタカーとレンタバイクで550キロメートル移動したって。

 各班1週間以内、どこへ行ってもいいけど、一つ条件として、基本は滞在型の旅にしろって言ってある。荷物は置いて、自分で計画して自分で行動しなさいと。いっぱい調べてそれが勉強になり、知識も視野も広がるじゃない。社員一人ひとりの成長の総和が会社の成長なわけよ。売上高が会社の成長じゃないんだよ。

 留守中の仕事はみんなが補う。抜けるほうは「よろしく頼む」、送るほうは気持ちよく「行ってらっしゃい」って言うような関係が生まれるわけ。それが「伊那食ファミリー」の意識を高めてる。うちは誰もが忙しい場所へすぐ入る。研究員だって役員だって、レストランが忙しければ自然と手伝いに行くもん。

 社員には別に、笑顔を作りなさいとか、こんな言葉をかけなさいとか何も指示してないけど、お客さんに喜んでもらおうと自然体で接してるね。掃除も毎朝全員でやる。空気が違うよ、うちの朝は。寒いのにみんな一生懸命。本当に頭が下がる。だから福利厚生こそ最重要。今も立派な社宅をもう一つ建ててるところ。

 「百年カレンダー」というのを作ってるの。1枚の紙に並ぶ暦の中に必ず社員全員の命日がある。人生には限りがあって、生きてるうちにやれるだけのことやらなきゃ損だ、本当に幸せになりたいなら、人の役に立って喜んでもらえるようなことをしろと。そう社員に教育をします。

 研修では「教育勅語」も使う。人間として当たり前のこと、日本人のバックボーンだよ。親孝行しろ、兄弟は仲よく、友達は信じ合えとか、人格を磨いて社会に貢献せよとか。戦後民主主義教育で否定する人もいるけど、いいこと書いてあるんだよ。

 それから二宮尊徳の「遠くをはかる者は富み 近くをはかる者は貧す」の言葉を社内に掲げてる。目先の損得を考えるなと言われても、簡単なことじゃない。だからひたすら言い続けて、社員に浸透していくことを願ってる。

百年カレンダーを見ると、俺の命日なんか残念ながら、もう上から2段目のどこかにある。一日一日がもったいない。だから会社の永続を考えて、俺が会社を去る前に、できる範囲で世の中のためになればいいと思ってやってる。


つかこし・ひろし
伊那食品工業会長。もともと農家の冬の副業で相場商品だった寒天に、社員の1割を研究開発に充て付加価値を付けてきた。著書に『いい会社をつくりましょう』『リストラなしの「年輪経営」』ほか。1937年生まれ。10代後半の3年間、結核の病に伏した。

以上終わり

東洋経済から転載
http://www.toyokeizai.net/life/column/detail/AC/fe130b10c5ec81ea3f46794024b57b4a/

かんてんぱぱ
http://www.kantenpp.co.jp/index.html

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