[政治] 殺処分の現実 | ついつい空をゆく

ついつい空をゆく

2009年10月04日(日) から日々思った事を書いています。

■ひじりさんの日記より

「何十人と獣医師がきたけどよ、かき集められた経験の浅い獣医師達は、母豚を怖がってまともに注射も打てんちゃが。急所は首筋の血管なのによ、柵の外から身を乗り出して、お尻に打とうとするわ、バカじゃねーか!豚だって生きちょっし痛いから、ひょいとお尻を動かして逃げるわな。
しょうがねーかいよ、俺が柵に入って豚の首をガシッと押さえつけてやる始末。危険っちゃけど仕方ないわ。

首筋に注射を打つやり方を教えたっちゃけど、ダメじゃわ…
もう豚の首は、突き刺した注射のあとだらけ、痛々しいわ。豚はギャーギャー暴れるわ。
ちくしょーーちくしょーーー!!!もっと安らかに死なせてやってくれよ。
獣医師の免許をもっちょるやつしか殺したらいかんかいよ。手が出せん…かわいそうでよ。

もちろん、ベテランのやつは上手いし速くてよ、感心するんよ。でもな、みんな目に涙を浮かべながら作業してくれてるし、手を合わせてくれる人もいる。命を救うための獣医師がよ、今まで、命を助けるために動物に声をかけ、一生懸命働いてきた獣医師がよ…
この注射を打ったら、こいつが死ぬってわかりながら、注射を打ち込むんよ。そりゃあ、人としてつらいし、心が痛いわなぁ。歯を食いしばるしかないのかよ!

俺はさ、元々出荷の為の豚ならなんとかあきらめがつくんよ。出荷だと思えばいいちゃかい。

でも、母豚はよ、俺がこの農場勤めだしてから、ずっと面倒見てきたっと、性格もよくわかる。顔見りゃ名前も、出産した回数も、病気した時、エサをいっぱい食って喜んだ時。悪ん坊や、甘えん坊、気性の荒い奴、優しい奴、み~んな分かる。共に生活してきた家族やっちゃかい。

口蹄疫に感染してしまって痛々しい症状がでてる奴は、鼻や口の水疱がやぶけて痛いもんやからエサが食えんなっちょる。それでも腹はへるかい、エサを探すわな。豚は鼻が命じゃ。人間でいえば手のようなもんで、エサを探すのに鼻で探すんよ…痛いやろうに。まともにエサが食えんかい、俺が手で食べさせてやった。
鼻も口元も蹄も乳首も痛々しいのに、俺を見つめる目は優しくてよ。なんだか、向こうがごめんよ~言ってるみたいや。ありがとう言ってるのかな。

注射を打たれる姿に耐えられんで離れたところから見てたら、獣医師の腕を振りほどいてこっちに走ってくっとよ。

蹄が炎症起こして血を流してるもんは、痛いから立ち上がれんでずっと横になってギャーギャー言ってる。でも立ち上がらせて殺処分するところまで連れて行かんと。重いかいよ。まず鎮痛剤打つっちゃわ。

したら、痛みがとれるもんやかい、ヒョイと立ち上がる。でも蹄からも血が出て、腐りよっかい、蹄がとれていくとど…赤くなった蹄だけが地面に転がってるんやど…
それでも、蹄がなくなった足で俺の所に駆け寄ってくる。はやくなんとかしちゃれよーーーー!!!!

ある程度の大きさのやつは、電気で殺すっちゃわぁ。でっかい火ばさみみたいなもんで、まず頭を挟んでな、スイッチを入れると高圧電流が流れて、失神する。そしてそのあとに胸のところを挟んで、心臓に電流を流すとガタガタガタとしびれて心臓を止めて殺すとど…かわいそうやんけ。
さっきまで、元気で、震えて泣きよったやつが。突然静かに死体となるんよ。

たださ、時々、その動かなくなった豚を運んでたり、穴の中に落としたときに、生き返って動き出すやつがおるんよ。気絶してただけなんやろうな。哀れでなぁ、また殺さにゃいかん…

まだまだ元気な奴らはさ、どんどん穴の中に落としていく、みんなで板を使って追いやって穴に落としていく。
一番下に落とされた豚たちは、熱さと重さで圧死していくけどよ。後から後から落とされた豚は必死でジャンプして穴から必死に飛び出ようとするんよ。その生きようとする動物の必死さにまた泣けてくっちゃがぁ。
その上からブルーシートをかぶせてよ、コンパネの板を上に置いて、飛び出してこんように、俺たち人間が上に乗るっちゃわぁ。それでん、下から…ドンッ!ドンッ!って必死にぶつかってくっとよ。

ブルーシートの隙間からホースを入れて、中にガスを流し込むんよ…

すると、だんだん静かになってきてよ、しばらくするとシーンとなるんよ、ちくしょーーーー!

作業員たちがあちこちで殺処分をしていってる。地獄を描いてる絵があるわぁ。鬼が人間をいたぶってる絵よ。あのまんまって感じ。
豚舎の中が、ギャーギャーって今まで聞いたこともない泣き声があちこちから聞こえるかいよ。赤ちゃん子豚が不安な様子でジッとしちょっちゃわ。病気に感染したやつは蹄から血を流して痛いしおっぱいが飲めんかいコロッコロッ死んでいく。

それでも、豚舎が違ってたりで感染してない元気なやつもいっぱいおる。敷地が一緒やかいて、経営者が一緒だってだけで、殺さにゃいかんとか…
本当にこのこたちも殺さにゃいかんとか!

周りの異常な雰囲気を感じちょっちゃろうね。ひょいっと両手で掴みあげるわ、すると、体をぐっと堅くして、不安げに体をブルブル震わせとるとが手のひらから伝わってくるとよ。

ごめんなぁ、ごめんなぁ、俺が泣き出してよぉ
その身体に注射針がさされて、静かに、ぐったりと手の中で重みだけを感じる物体となる。さっきまで堅かった子豚の力がぬけて、何の力も入らない柔らかい物になるんよ。

もうどんだけの涙が流れでたかわからん。

あと、残ってた豚舎はウィンドレスの豚舎じゃかい…せめて、安らかにと思うてかいよ、帰ってくる時…空気を送りこむファンのスイッチを切ってきた。

家に帰ってよ、風呂に入ってよ、飯はよう食えんかい、焼酎飲みながらテレビ見てるとよ、俺いつの間にかボロボロボロ泣いてるっちゃわ。今頃、眠るように死んでってるんだろうなぁ…

お前よ。豚は言葉がしゃべれんけんどよ。もしもよ、お前の子供をよ、『なんで?』って言われながらよ、国の指示やかい言うて…手の中で…殺せるか?」