①決戦当日 石田順裕vs藤本京太郎 〜新たなる伝説〜 | @TUG_man石田順裕応援ブログ

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世界リアルボクシングドキュメント

石田順裕試合直前

4月30日。決戦当日、午後6時。

2日間降り続いた雨もシトシトと小降りになり止んで来た。つい先ほどまでは土砂降りに近かったのだが、まるで神風が吹き、一瞬にして雨を吹き飛ばしてしまったかのようだ。

後楽園ホールのリングではちょうどアンダーカード第1試合のフライ級6回戦が始まっていた。あるいは戦いの熱気のせいかも知れない。開場したばかりだというのに続々と観客が詰めかけて来ている。

試合看板
それもそのはず『KAMIKAZE3』ダブルメインイベントと銘打たれたこの興行のメインには、あの石田順裕が登場する。しかも対するは日本ヘビー級王者藤本京太郎だ。

日本中のボクシングファンが注目しているドリームマッチ、石田vs京太郎のメインイベントが始まる頃には、会場は超満員に膨れ上がるっているだろう。

今夜、日本で一番強いボクサーが決定する。

勝つのは、海外を主戦場に世界のトップ戦線をひた走って来た、日本が世界に誇るボクシング中量級のパイオニア石田順裕か。

それとも、元K-1ヘビー級王者からボクシングへ転向し、56年ぶりに復活した日本ヘビー級王座を獲得した藤本京太郎か。

藤本京太郎
石田はヘビー級での試合はこれが初めてとなり、しかも4階級も一気に上げての異例のヘビー級挑戦で、その相手が国内王者だ。

しかしそんな不安要素もどこ吹く風か、先日の記者会見で「そんな未知数な部分も楽しみたい」と自身の心境を語っていた。

この男のメンタルはどこまで図太いのだろうか。さすが世界中のリングに殴り込みをかけた男だ。底知れぬ強さを持っている。


食事増量記事
およそ5ヶ月前に、石田順裕の第X章〝ヘビー級挑戦〟を聞いたときは、誰しもが半信半疑だっただろう。

この頃、石田の体重は減量しないナチュラルな状態でおよそ81kgだった。ミドル級リミットの72.5kgまでは10kgほどの減量を要するが、ヘビー級へはその真逆、10kg以上の増量が必要となる。本当にそんな事が可能なのだろうか。

ボクシングは全17階級あり、47.6Kg~90.7Kg間を数kg単位で細かく区切っている。

とある階級の世界チャンピオンが、複数階級制覇を狙って一階級上げただけで、全く通用せず惨敗を喫する。そんな光景をこれまで何度目の当たりにしたことか。

ときに普段の階級が違う者同士の対戦はキャッチウエイトで戦い、どの体重にするか100g単位で熾烈な交渉合戦が繰り広げられる。ボクシングではそれほど1kg2kgの体重は大きく、体格差は勝敗を大きく左右する。

それがボクシング界で長年語られる〝階級の壁〟というものだ。

だからボクサーは過酷な減量に耐えてまで、少しでも体格的に優位に立とうとする。

それゆえ増量する際は1階級づつが通例で、一気に2階級上げることを〝飛び級〟と呼び、ひと際に困難な挑戦だとされていた。

ウエイト増量記事
〝10kgも筋肉を付けて体重を増やすにはとても期間が短すぎます。ただ石田選手は普段から体重を落とすことをしていた身体なので、その分体重が増える要素があるかも知れません。難しい挑戦ですが、やれるでしょう〟

ウエイト専門のトレーナーは『ヘビー級プロジェクト』発足当初、インタビューで増量計画に対しこう答えていた。

試合は4月30日と決まっている。もう数ヶ月しかない。普通に考えれば1年かけてやっとどうか、という課題だという。それをここまで短期間で成し遂げようというのは、筋力トレーニング専門のプロから見ても異例の試みだ。

石田順裕の過酷な増量生活が始まった。

食事風景
麻衣夫人が作る一日5食もの手料理を、筋力トレーニングで血と肉へ変えて行こうする。しかし、純度の高い筋肉はそう簡単には増えてはくれない。こんなに食べているのに、少しでも食べる量を減らしたり体を動かしたりするとすぐに体重が落ちてしまう。

目一杯食べて増えて、思いっきり動いて減って、一日終わって体重計へ乗るとプラスマイナスゼロ、という日々が続く。

少しずつ、少しずつ、辛抱強く体重を増やしていく。やがて体重増加停滞期の山を越え、そこからは順調に増え始めて来た。

そうしてベースとなる筋肉が出来たら、お次は身体に実践の動きをしみ込ませていかなければならない。


ダイスケトレーナー
ロスでは、ラスベガスのリングを共に戦った戦友ダイスケトレーナーと合流し、1ヶ月間のスパーリング合宿を行った。

10年前、ロスへ初めて来たときは、世界でやれる自信をつけたが、今回は重量級でやれる自信をつけに来た。ミドル級のスピードを保ったまま動けるヘビー級の完成を目指す。

まだ一致していない頭のイメージと身体の動きを一つにしていく。感覚で生ずる少しのズレを実戦のスパーで矯正していく。

チーム一丸となった肉体改造は徐々に成果を現して来た。驚くべきパワーが自身の身に宿ったという感触をつかむのだ。

やがて〝ISHIDAがヘビーでやるらしい〟というウワサはアメリカにも広まり、世界クルーザー級王者デニス・レベデフの専属スパーパートナーを務めるようにもなった。

これが世界の重量級の圧力とハードパンチか。大丈夫だ、やれる自信がついた。これでギリギリ間に合ったか。


ウエイトトレーニング
「俺の無茶苦茶な挑戦にお付き合い頂いたこと、本当にありがとうございます。4.30は、無謀な挑戦でないことを証明します」

石田順裕は現在38歳。今年の8月には39歳を迎える。ここ数年、ボクサーの選手寿命は飛躍的に伸びて来ているが、それでも通常語られるピーク年齢は30代前半だろう。

石田はその常識を打ち破るがごとく、30代後半になってから次々と海外ビッグマッチを実現させ、現役最年長日本人ボクサーにして数々の伝説を作った男だ。


35歳。ラスベガスのMGMグランド・ガーデンアリーナのリングへ上がり、当時無敗のカークランドを1RTKOで倒した男。

36歳。アメリカの2大ボクシング中継SHOWTIMEメインイベントを2階級制覇王者パニッシャーと戦い、ロシアで当時ミドル最強の呼び声も高かったピログとWBO世界戦を戦った男。

37歳。モナコで100年ぶりの世界戦を、あのミドル級最強王者ゴロフキンと戦った男。

年齢を重ねる毎に強くなり、いつまでも奇跡を期待させる男。


それが海外でその実力を認められた世界のISHIDAだ。


石田順裕
「最近あれ〝レジェンド〟って言葉流行ってるでしょう?日本ボクシング界のレジェンド。僕はそういう存在になりたい」

海外でも、49歳という高齢にしていまだ世界の頂点に君臨し続けるレジェンドがいる。またミドルから階級を上げて世界ヘビー級王座のベルトを獲得したレジェンドもいる。そんなアホな、という嘘のような本当のお話、伝説のストーリーだ。

「最後にアホなことがやりたい。中途半端じゃない。絶対に誰も真似できないような、とびっきりアホなことがやりたい」

石田の言うアホなこととは、そういう過去に例を見ない、尋常なレベルでは到底不可能な偉業を成し遂げたいということだ。

オレも生ける伝説になりたい。

その後も語り継がれるような伝説をつくりたい。

元はスーパーウェルター級だった石田順裕が、体重上限のないヘビー級へ上げ、日本王者京太郎と対戦する〟

38歳という年齢の壁。

4階級という階級の壁。

それら全てを越えてマッチメークの壁をもブチ破った。

レジェンド石田が、また新たな伝説へと挑戦する。


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石田順裕vs藤本京太郎