8/17土曜日
【IBFライトヘビー級エリミネーター戦】
☆アンドレイ・フォンファラvsガブリエル・カンピリーリョ(9RKO)
8/18日曜日
【WBOライトヘビー級タイトル戦】
☆セルゲイ・コバレフvsネイサン・クレバリー(4RTKO)
【IBFミドル級タイトル戦】
☆ダレン・バーカーvsダニエル・ギール(2-1判定)
【ウエルター級10回戦】
☆トーマス・ドゥローメvsフランシスコ・フィゲロア(8RTKO)
8/20火曜日
【WBCミドル級コンチネンタルアメリカタイトル戦】
☆ダニエル・ジェイコブスvsジョバンニ・ロレンツォ(3RTKO)
【ミドル級6回戦】
☆テレル・ガウシャvsオースティン.マーカム(2RKO)
~ジェイコブスWBC地域王座獲得~ミドル級
ダニエル〝ミラクルマン〟ジェイコブス(25-1,22KOs)の登場だ。このミラクルマンというネーミングは、試合の戦いぶりから来たものではない。それは彼の人生の闘いを表している。
そう、ジェイコブスはガンを克服し復活を遂げた〝奇跡の男〟なのである。
しかし、ガンが治ったと言っても、医師はリング復帰には反対していた。ガンという病気はいつ再発し、どこに転移するか分らない難病だからだ。
そこで医者は、ガン再発防止のため、ジェイコブスに食事制限を言い渡した。赤肉、乳製品、砂糖、白パンなど、あらゆる食品に注意するようにと診断したのだ。
アスリートにとって食事はとても重要だ。食べたものが、血と肉体を形成し、強くなる。そもそもボクシングと言う競技は、満足に食事ができないスポーツである。
それがさらに制限がつくと言うことは、ジェイコブスにとってまた新たな障害だと思われた。ところがこれが、思わぬ結果を呼び込む事となる。
「今じゃ完全なる菜食主義者になったよ。でもこれが身体をシェイプするのにハマったんだ。減量中のトレーニングもエネルギーは常に満タンだし、体重に全く悩まなくなったよ」
まさにミラクルだ。ジェイコブスは、ガンとの闘病から余儀なくされた食事制限で、何と逆にボクサーとして理想的な身体を手に入れたのだった。
さて、さらに強くなったジェイコブス、今夜は復帰を果たして以来、最も危険な相手との一戦だ。
相手のロレンツォは世界戦を数多くこなし、またこれまで一度のノックアウト負けがないタフファイターだ。ジェイコブスのハードパンチは通用するだろうか。判定までもつれる展開も予測された。
第1ラウンド。ロレンツォ勢いよく飛び出した。主役を食ってやろうと意気盛んだ。ロレンツォ左リードが良く伸びる。ジェイコブスもよく反応しているが、まずは先手を取られた形だ。10-9ロレンツォ。
第2ラウンド。このラウンドも開始から積極的にプレスを懸けて行ったのはロレンツォの方だ。ジェイコブスはよく見てかわしている。フットワークを使いながらコンビを振るう。速い。今までで一番スピードに乗っている。
第3ラウンド。またロレンツォから仕掛ける。ジェイコブスも様子見が終わったのか、打ち合いに応じる。右のロングフックから左のショート顔面からボディーにクリンヒット。ロレンツォ効いたか、下がる。
ジェイコブス左右フックの嵐。ロレンツォロープに詰った。ジェイコブスの左フックがロレンツォのアゴ先にカウンターで、さらに返しの右フックがテンプルを打ち抜いた。ロレンツォ顔面からマットへ沈んだ。
モウロウとするロレンツォ。レフリーがあわてて抱きかかえストップ。
3ラウンド2:05。ジェイコブスのハードパンチが火を吹いた。これまでノックアウト負けが一度もなかったロレンツォをTKOで仕留めた。
「私がガンから生還したことに、多くの人々が関心を寄せているのを感じている。同じように苦しんでいる人たちに、インスピレーションを与えたいんだ。一生懸命闘えば、夢は必ず叶うんだってことを伝えたい」
この勝利で26勝1敗23KOとし、空位のWBCコンチネンタルアメリカタイトルを獲得した。これで以前からランキングされていたWBOの他、WBC、WBA、IBFでもトップランクに食い込んで来るだろう。
強敵ロレンツォをKOした勢いのまま、すぐにでもタイトル戦と行きたい所だ。だが話はそう簡単ではない。まずIBFはエリミネーター戦を制してからでないと挑戦できない。
またWBCマルチネス、WBAゴロフキンだが両王者はHBOと契約している。HBOと言えばジェイコブスが所属しているGBPとは絶縁状態だ。この関係でこの2団体への挑戦も難しい。
残るWBO王者クイリン戦は、地元ブルックリン対決として話は絶えない。しかし、なんでも2人は友人同士で、今のところ対戦はあまり乗り気ではないらしい。
手詰まりか。いや一つだけタイトル戦に絡む方法がある。
つい最近、マルチネスが長期休養のためルビオvsチャベスjrでWBCレギュラー王座戦決定戦を行うかも、という話が持ち上がった事があった。
この構想に食い込む、というのは面白いだろう。ハードパンチャーのジェイコブスvsパワフルなメキシカンは想像するだけで壮絶な試合が目に浮かぶ。
ジェイコブスがWBCタイトルを奪取すれば,、この時こそ夢のブルックリン対決が実現するのではないだろうか。
ミドル統一戦でブルックリンが熱く盛り上がる日も近いかも知れない。
2013.8.19 Danny Jacobs vs. Giovanni Lorenzo
~ガウシャ、プロ入り5連勝~ミドル級
またこの日、ジェイコブス戦のアンダーカードにはロンドン五輪米国ミドル代表テレル・ガウシャも登場した。ガウシャはプロ5戦目にして初の6回戦のリングだ。
相手はオースティン・マーカム(5-3,3KOs)若干20歳の選手だ。特にこれと言って怖い所はないが、一発を狙ってアグレッシブに攻めて来るだろう。
第1ラウンド。ガウシャ左ジャブを飛ばす。マーカスも返す。マーカス意外に反応が良く勢いもある。これは侮れないぞ、といった感じ。
マーカスラスト30秒で左右フックを強振し前に出て来た。ガウシャこれを冷静にブロックでしのぎ。左右フックを返すとマーカスロープにめり込むようにしてダウン。ここはゴングに救われた。
第2ラウンド。マーカスまたも打って出るが、全てガウシャのガードの上。ガウシャの左ボディーアッパー炸裂。マーカス大きく後退。さらにガウシャ右ストレート、アッパーでコーナへ詰め、そのままラッシュ。
ズドンズドンとボディーに決まると、マーカス息が出来ないのか、苦しそうにダウン。これでレフリーストップだ。
ガウシャは年内にあと2戦ほど6回戦をこなし、2014年前半は8回戦、そして後半には何かしらローカルタイトルを狙うのではないだろうか。
2013.8.19 Terrell Gausha vs Austin Marcum
~コバレフ脅威の強さで新王者に輝く~Lヘビー級
もう1試合、先週末最も凄惨だった試合をご紹介。WBO王者クレバリーを滅多打ちにして、コバレフが新王者となった一戦だ。
王者クレバリー(26-0,12KOs)はガードが堅くディフェンスに優れ、長いリーチから速く的確なジャブを飛ばし、安定したスタイルを持っている。これを挑戦者コバレフが強打でどうこじ開けるか。
KOならコバレフ(21-0-1,19KOs)全22試合中18試合を3ラウンド以内に終わらせている。
そして判定ならクレバリーだ。勝負は序盤、コバレフの猛攻をクレバリーがどう対処するかにかかっていた。
第1ラウンド。クレバリーは得意の高速ジャブで試合を組み立てて行く。強引にでもコバレフが出て突っかけて来るが、これをフットワークでうまくかわした。
第2ラウンド、スピードに乗るクレバリー。コバレフはジャブをかいくぐって左ボディー。これがズシンとクソ重い。1発で効いたかクレバリー、動きが鈍り始める。
第3ラウンド。前に出てるのはクレバリーだし、ハンドスピードもクレバリーなのに、なぜか次第にボコされて行く。2分過ぎ。コバレフ左クロスから右フック、さらに左フックトリプルと猛ラッシュ。
クレバリー叩き付けられるようにダウン。すぐに立ち上がったが、コバレフ飛び込んで左フック。クレバリー2度目のダウン。
また立ち上がるもボコボコにされるクレバリー。レフリーが手を交差した。ストップかと一瞬思ったがゴングの合図。
クレバリーフラフラになりながらコーナーへ。気合いを入れ直すクレバリー陣営。対してコバレフ陣営はゴーサインを出した。
第4ラウンド。コバレフゴングと同時にラッシュしクレバリーを滅多打ち。一気にフィニッシュへと持って行った。
圧倒的な強さを見せつけWBOライトヘビー級新王者コバレフが誕生した。
立ち上がり1、2ラウンドあたりは、クレバリーがゲームメイクしていたが、コバレフ何というパワーだろうか。ここまでの異常なパンチ力はハメ技に近い気がする。
「この試合が米国HBOで放送されたことは、私とって非常に重要なポイントになります。このタイトルは、私がこれから獲得する数あるベルトコレクションの一つになるでしょう」
新王者コバレフは、いつでも戦う準備は出来ていると語り、早くも統一戦に意欲を燃やしていた。
2013.8.17 Nathan Cleverly vs Sergey Kovalev