ヨハン・ペレスvsスティーブ・フォーブス 10回戦 | @TUG_man石田順裕応援ブログ

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世界リアルボクシングドキュメント



さあ待ちに待った2013年海外中量級の一発目はベネズエラのハードパンチャーヨハンペレス(15勝12KO1敗1分)の復帰戦だ。



父リノペレスをヘッドコーチに置きボクシング一家で生まれ育ったヨハンがグローブを取ったのは亡き兄リノペレスジュニアの意志を受け継いでのものだ。また獰猛なファイトで世界を驚かせたエドウィンバレロとは旧友でスパーリングパートナーでもあった。

拳に込める想いは堅く重い。180cmの長身に加え長いリーチ。通常であればアウトボックスに最適なヨハンだがファイタースタイルを選択した。

アマ100勝17敗の実績を残しプロ入り。ペレスは攻撃的なファイトを武器に勝ち上がり2011年WBA世界スーパーライト級暫定王座を手にした。

しかし昨年7月、メキシコのハードパンチャーパブロセサールカノとのパンチャー対決に敗れると一気にランキングを36位にまで落としてしまう。王座を明け渡した相手カノが正規王者マリナッジとの統一戦に敗れてしまった影響もあっただろう。

つまり一言で言うと〝もう絶対に負けられない〟



ペレスの這い上がりマッチの前に立ちふさがるのはスティーブフォーブス35歳。リング上の酸いも甘いも経験しているベテランだ。IBFのスーパーフェザー級王者として君臨していたのは2000年の話。現在世界ランク227位。13年もの長きに渡りメインのリングに上がり続けて来た男である。

2006年にバンドレイジ(現IBFスーパーウエルター級王者)を判定で下したのを最後に勝ち星からは遠のくが対戦相手がこの上なく濃い。2008年にはデラホーヤ、アンドレベルトと立て続けにビッグマッチを行っている。

ここ最近ではカリムメイフィールド、ジェシーバルガスとトップホープ相手に連戦し今回のヨハンペレス戦へと辿り着いた。

現在3連敗中。バンドレイジ戦以降11戦して3勝8敗とレコード上はふるわないが相手が誰であろうとゲームをメイクできるボクシングマスターだ。結果をシビアに問われるプロの世界で内容で勝負し生き残った。

〝オレをなめてると痛い目見るぜ〟危険な香りが記録から伝わって来る。



試合開始。ペレス身長で大きく上回る。ガードを堅めリズムを取るとワンツーを伸ばし返しの左フックをボディーに決めた。フォーブス左右のフックでこれに応戦。ペレスのアゴを跳ね上げた。序盤から激しい攻防だ。

ペレスKO狙いか。倒しにいっている。だが焦っているわけではない。これがペレスのファイタースタイルだ。フォーブスそれに動じずベルトラインより低くダック。身長差を逆に利用するようにしてその攻撃をさばき逆にヒットを重ねて行く。巧い。



距離の奪い合い。リーチのあるペレスの間合いをフォーブスが力強い左右のロングフックで引かせ一気に詰めて来た。と接近しそのままロープに押し込み左右ショートのラッシュ。

ペレスそれではとフォーブスが出てくる前にストレート、ロングフックを軸に攻勢をかける。と左フックのカウンターが飛んで来た。ならば今度はロープに押し込みラッシュをやり返してやる。とクリンチされ手が出せない。

〝これをされたら嫌だろう、こうされたら何もできんだろう〟

ペレスとて29歳、けっして若造の年ではない。アマでは100勝を上げ、ありとあらゆるパターンが頭に、テクニックが腕に染み付いている。しかしそれでもフォーブスの大きな手のひらで踊らされているかのような感覚。フォーブスの技にやられている。



序盤はフォーブスが優勢に試合を進めた。しかし身長差をゼロにするため手数を倍出しプレスをかけ続けた。これは体力の消耗が激しい戦い方だ。フォーブス中盤をどう作るか。またペレスにとってはここからどう盛り返すかが鍵となる。

ここでペレス、フォーブスとも出した答えは同じだった。



真っ向勝負。


リング中央で距離を測り合いきっかけを探る。肩でフェイント、ジャブで牽制。どちらかがにじり寄れば一方はじりりと引く。ペレス左フックボディーから右フック返し、フォーブスこれに左フックを合わせる。



打ち勝ったのはペレスだ。ここでパワーの差が出た。技巧派のフォーブスに対しペレスは生粋の倒し屋だ。

それでもフォーブスは仕掛ける。やや強引にでもワンツーから接近してショートフック連打、そしてクリンチ。ロープを背にする場面でも果敢に打ち返して行く。



見応えのあるラウンドが続く。あっという間にラスト2ラウンドだ。双方どちらが明確に勝っているとも言えない競った内容。9ラウンドはペレスから打って出た。ここで負ければ大きく後退どころではない。ベネズエラに帰る事にもなりかねない。

10ラウンドもプレスをかけたのはペレスだ。フォーブスは下がりながらもカウンターを狙う。いや効いているのかも知れない。激しい打ち合いだ。ラスト10秒フォーブスがペレスの懐に潜り込み左右ショートフック連打。

ここで終了のゴング。

さあ判定だ。これは分らない。壮絶なデットヒート。序盤は明確にフォーブス。中盤から終盤はややペレスラウンドが続いたといった感じか。

96-94、一人のジャッジはドローを告げた。そして97-93。2-0でペレスの手が挙がった。


這い上がりに成功したペレス。そして敗れたもののフォーブスの健闘が光った。魂と魂のぶつかり合い、ボクシングの醍醐味が詰った熱い戦いだった。




2013.1.12 Johan Perez vs Steve Forbes