声を大にして言いたい。
ジェンダーアイデンティティや性的指向は
「変えることはできない」
けど
「変わることはある」
日本語の媒体でよく見かけるのが、
ジェンダーアイデンティティや性的指向は生まれつきなので変わらない、という文言。これは生まれつきなので変えようとしても無理ですよ、という意味なのだろうけど、実際に大人になってからゆらぎの中にある人にとっては否定的にも響く。
そして、ジェンダーアイデンティティも性的指向も、というかアイデンティティというものは周りの環境によっても変わるものです。
例えば日本人で有色人種というアイデンティティを強く持っている人は、日本以外で生活したことのない人では少ないかもしれません。でも海外で生活するとおそらく意識することが変わってくるので、そのアイデンティティが強くなるかもしれません。
性的指向やジェンダーアイデンティティに関しても、男女二元論に当てはまらないアイデンティティを持った人は欧米では世代が若くなるにつれ割合が増えています。日本でも少しずつですが増えています。
これが何を示しているのか、というと、社会規範や身の回りにあるテクノロジーなどもアイデンティティ構築の一部を担っているから、ということ。
「当たり前」が変わると、自己認識も変わってきます。研究によって私たちの多くは生まれて12か月の頃くらいからすでにジェンダー規範が刷り込まれていることがわかっています。だから、規範のない状態で育つというのは実質不可能。にも拘わらず統計に変化が反映されているということは、社会規範は徐々に変わってきている、ということでしょう。
私自身、ジェンダーがわからなくなった時すでに40代だったので、混乱を極めました。これって普通10代の時とかに経験することなんじゃ・・・
悩んで悩んで、最終的に自分が思っていた遅すぎない?っていう自己批判は、
「自分のアイデンティティに遅すぎるも早すぎるもないわー!」
という叫びにかき消され、なんとかこの自己批判は消えていきました。自分の心の中の事で何を基準に遅いとか判断するのか、確かにおかしいですよね。私の事は私が決めるのが当たり前。そんなことを理解するのに、時間がかかってしまいました。
あと、よくあるビフォア・アフターみたいに、前後だけで感じるような簡単なものでもない。一生わからない場合もあるし、はっきりしたと思ったらまた変わったってこともありえます。簡単に言うと、何でもありなんです。
なので、もし悩んでる人がいたら、
「いくつになっても関係ないです。納得するまで気持ちと向き合ってください。」
と言いたい。世界中に同じようにゆらいでいる人たちがいるので、私たちは一人じゃありません。