リーサル・ウェポン2/炎の約束(1989) | つぶやキネマ

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大好きな「映画」について「Twitter」風に
140文字以内(ぐらい)という制約を自ら課して、
"つぶやいて"みようと思います...ほとんど
「ぼやキネマ」になりそうですが。

★注意!!! 作品の内容に触れています★


リーサル・ウェポン2/炎の約束(1989)


 ロサンゼルス市警の刑事マーティン・リッグス
(メル・ギブソン)とロジャー・マータフ(ダニー・
グローヴァー)は、ダウンタウンで2台の不審なBM
Wを追跡していた。援軍のパトカーに追いつめられ
た1台に乗っていたふたりの男は飛来した所有者不
明のヘリコプターに飛び乗って逃走したが、リッグ
スとマータフが追跡していたもう1台は横転して店
に突っ込み運転していた男は逃亡、BMWのトラン
クからは大量のクルーガーランド金貨が発見される。
暴走犯たちを操っていたのは南アフリカの領事アー
ジャン・ラッド(ジョス・アックランド)で、腹心の
部下ピーター・ボーステッド(デリック・オコナー)
にマータフの自宅を襲撃させ捜査を止めないと家族
に被害が及ぶと脅迫する。上司の警部エド・マーフ
ィ(スティーブ・カーン)からFBIの重要証人である
会計士のレオ・ゲッツ(ジョー・ペシ)を公聴会まで
護衛するように命じられたリッグスとマータフはレ
オが隠れているホテルの一室を訪ねるが、食事を運
んで来たルームサービスの男がワゴンに隠していた
銃をレオに向けたため、リッグスはレオともみ合っ
ている暗殺犯をワゴンごと窓の外へ突き出し自らも
一緒に眼下のプールに落下する。暗殺犯をプールか
ら逃がしてしまったため、このホテルは危険だと判
断したふたりはレオをマータフの自宅でかくまう事
にする。レオは麻薬密売組織の資金洗浄の仕事をし
ていたが一部を横領していた事が組織にバレてFBI
に自首し たのだが、麻薬の運び屋に組織の山荘に連
れて行かれた事を思い出したレオは、ふたりを崖に
建つ邸宅に案内する。邸宅内に潜入したリッグスは、
大金を梱包していた3人の男たちと格闘の末にふたり
を捕らえ、逃亡したひとりはリッグスの追跡で事故
死してしまう。直後に駆けつけた同僚の刑事たちが
邸宅へ踏み込むが、邸宅の主ラッドが現われ、外交
官特権を振りかざし邸宅内は治外法権で守られてい
るとリッグスや同僚刑事たちを追い出してしまう。
ラッドは外交官特権を悪用して麻薬密売による利益
を上げていて、リッグスとマータフはBMWのトラン
クにあったクルーガーランド金貨はラッド一味の物
と確信するが、マーフィ警部から外交官特権がある
限り逮捕は出来ないと釘を刺される。その日からリ
ッグスは 執拗にラッドの尾行を始め、行く先々に現
われるリッグスにラッドは次の一手に出る。レオを
海辺のトレーラー・ハウスで匿っていたリッグスの
元に同僚のジェリー・コリンズ刑事(グランド・L・
ブッシュ)からマータフと連絡が取れないとの電話が
かかりマータフの自宅へ駆け付ける。マータフはト
イレに爆弾を仕掛けられた20時間も便座から離れら
れなくなっていたが、リッグスと爆弾処理班によっ
て救出される。この一件もラッドの仕業と判断し南
アフリカの領事に向かったリッグスは、移民希望者
に成りすましたマータフとレオが領事館員の監視の
目を逸らしている隙に館内に潜入、ラッドのデスク
からメモを盗むと部屋に入って来たラッドと部下た
ちに銃を向け国外退去するよう言い渡し、壁面の巨
大な水槽 を破壊して逃亡する。リッグスはマーケッ
トで出会ったラッドの秘書のリカ・バンデンハッス
(パッツィ・ケンジット)を海辺のトレーラー・ハウ
スに誘うが、リッグスにメモを盗まれた事を知り怒
ったラッドはボーステッドに命令してふたりの同僚
刑事たちを次々と暗殺、刑事たちの所在が解らない
事で市警はパニックに陥っている中、ラッドのメモ
にあった"アルバ・バーデン"という名前を記憶して
いたマータフはレオと共に自宅へ帰り、家族を撮っ
たビデオに映っていた貨物船にその名前を発見する
が、ラッドの部下たちの襲撃を受けふたりの男を増
築中の部屋の"釘打ち銃"で撃退したものの、レオは
残ったラッドの部下たちに誘拐されてしまう。同じ
頃トレーラー・ハウスでリカと一夜を過ごしていた
リッグスは 、ラッドの部下の乗った2機のヘリコプ
ターに急襲され、リカを床の愛犬サムの出入り口か
ら逃がすと敵の銃を奪って応戦し敵を撃退する。し
かしリカを自宅マンションに送り届けた後、リッグ
スはボーステッドとラッドの部下たちに拉致され4
年前の妻の事故死も麻薬取締官だったリッグスを狙
ったボーステッドの仕業だった事を知らされる...と
いうお話。世界的大ヒットとなった第1作と同じキ
ャストが勢揃いしスタッフも脚本家以外はほぼ同じ
という形で製作された続編であります(注1)。第1作
は、アクションの面白さやリッグスとマータフの会
話の楽しさに比べて、敵の正体が最初から解ってい
たり、秘密組織のくせに正体を隠すよりも警察への
挑戦的な行動をとる等、刑事物としてのストーリー
の面白さが不足気味なのが残念だった。本作ではそ
のあたりの欠点がさらに顕著になっていて、捜査の
過程で真相が解って来るという感じは皆無で、冒頭
から黒幕が登場してしまうのも前作と同じだし、開
き直ったように外交官特権を振りかざす領事一味の
犯罪という身も蓋もない設定にはあきれてしまう。
対するリッグスたちの行動も杜撰過ぎて、マータフ
がいきなり脅迫され爆弾を仕掛けられる等何度も危
険な目に遭っていて、敵の存在や挑戦的である事も
ハッキリしているのに市警の対応や刑事たちの行動
が無防備なままなのはかなり無理がある。ジョー・
ペシ演じるレオを加えた事で"トリオ漫才"となり会
話の面白さが増量されてはいるが、コメディ要素に
力を入れた事でストーリー構成が激しいアクション
や面白エピソードを羅列しただけのブツ切りで散漫
な感じになってしまい、クライマックスの対決も前
作のような新機軸に乏しくイマイチ盛り上がらない
のだ...思わせぶりなラストも悪い冗談でしかないよ
なぁ。冒頭と中盤に登場するカー・アクションや、
ヘリコプターによるトレーラー・ハウスの襲撃、ト
ラックで山荘を破壊する場面はなかなか迫力があっ
て大きな見せ場になっているが、前作の大きな魅力
だったリッグスの格闘場面が少なめになってしまっ
たのが残念。前作で面白かったエピソードが、本作
以降は"お約束"となり「1、2、3のかけ声でもめる」
「高所からの落下」「マータフの家財が破壊される」
等が再現され、本作からは新しく「リッグスが自ら
肩を外して拘束を逃れる」も追加される。マータフ
が4インチのS&W M19を構える姿は今回も格好良く
て、ラッドを一発で射殺するラストはただの"働くお
父さん"ではない事を証明してみせる...正当防衛とは
いえ領事の射殺は後で大問題になったとは思うが。
前作に引き続き出演したリッグスの愛犬サムも好演、
リカといちゃついているリッグスに対しかまって欲し
いと訴える姿がメッチャ可愛い。初めて観た時はシェ
ットランド・シープドッグだと思っていたが、何度か
繰り返して観たら大きさや顔つきが少し違う感じなの
に気がついたんだよね...実際はラフ・コリーの雑種の
ようであります。


●スタッフ
製作・監督:リチャード・ドナー
製作:ジョエル・シルヴァー
原案:シェーン・ブラック、ウォーレン・マーフィ
脚本:ジェフリー・ボーム
撮影:スティーヴン・ゴールドブラット
音楽:マイケル・ケイメン、エリック・クラプトン、
デヴィッド・サンボーン


●キャスト
メル・ギブソン、ダニー・グローヴァー、ジョー・ペシ、
ジョス・アクランド、デリック・オコナー、
パッツィ・ケンジット、スティーブ・カーン、
メアリー・エレン・トレイナー、ダーレン・ラヴ、
トレイシー・ウルフ、エボニー・スミス、
デイモン・ハインズ、グランド・L・ブッシュ、
ケネス・ティガー、ディーン・ノリス、
ネスター・セラーノ、ジュニー・スミス、
ジム・ピドック、パット・スキッパー、
フィリップ・モーリス・ミラー、
アラン・ディーン・ムーア、ジャック・マクギー、
マーク・ロルストン、ジェニット・ゴールドスタイン、
オーランド・ボナー、シンシア・バー


◎注1; ストーリーはグダグダな感じで正直ガッカリ
なのだが、メル・ギブソンとダニー・グローヴァー
の息の合った掛け合いは前作以上で、その部分だけ
何度も観たくなるぐらいであります。さらに、本作
中最高の見所とも言えるジョー・ペシの演技の素晴
らしさは彼自身のキャリアの中でも上位に来る充実
ぶりで、レオ・ゲッツを主人公にしたスピン・オフ
も観てみたい気分にさせてくれます。暴走刑事コン
ビとのやり取りも楽しく、監督のリチャード・ドナ
ーの演出もアクション場面より明らかに力が入って
いて撮影現場の楽しい雰囲気が伝わって来る。他の
レギュラー俳優さんたちのコンビネーションも抜群
で、自然で自由な演技はアドリブなのではと思わせ
るような場面も多い。マータフのリビングに家族や
友人が 集まって長女リアン(トレイシー・ウルフ)の
出演したTV-CMを見る場面では、リアンが誤ってリ
ッグスの顔に手を当ててしまうが、その後のふたり
のやり取りは完全にアドリブだよね。ちなみに、こ
のCMはリアンの水着姿が観られるのだが、宣伝して
いる商品がコンドームだと解り慌ててテレビを消す
マータフの姿は爆笑必至...さらにマータフの市警の
デスクにはCMを見た同僚たちからのプレゼントが置
かれるというダメ押しも素敵です。リッグスの恋人
役として、「華麗なるギャツビー(1974)」「青い鳥
(1976)」「ハノーバー・ストリート/哀愁の街かど
(1979)」等の作品で子役として活躍した後に、ロッ
ク・バンド"エイス・ワンダー"のヴォーカリストと
して大人気になったパッツィ・ケンジットが出演し
てますが、めっちゃキュートで可愛いのだがメル・
ギブソンとの相性がイマイチで、作品中でも何とな
く浮いてしまっているのが惜しい...全裸のベッド・
シーンまで披露しているのにお気の毒であります。
南アフリカの領事アージャン・ラッドを演じたジョ
ス・アックランドは、悪役としての憎たらしい感じ
が見事だったがもう少しキャラクターに深みが欲し
い感じであります。部下のボーステッドを演じたデ
リック・オコナーも得体の知れない感じの演技や不
気味な存在感が素晴らしいのだが、こちらも紋切り
型の悪役に収まってしまっていて、脚本や演出にも
工夫が感じられずリッグスのライバルとしての凄み
が足りない感じであります。この悪役の設定がおざ
なりな部分が、シンプルでそっけないストーリーを
さらに薄っぺらにし てしまっていると思いますね。
リッグスの精神状態に強い関心を持っている市警の
精神科医を演じたメアリー・エレン・トレイナーは、
「ロマンシング・ストーン/秘宝の谷(1984)」「グ
ーニーズ(1985)」等の出演作がある女優さんで、今
回も楽しい演技を披露してくれていますが役名が"精
神科医"で依然として"名無し"なままなのだ。リッグ
スたちが押収するクルーガーランド金貨は南アフリ
カ共和国が発行していた金貨で、日本でも1980年代
にTVで大量にCMが流されて金融商品としてちょっ
としたブームになったが、当時の日本人は南アフリ
カ共和国のアパルトヘイト(人種隔離政策)の事はほと
んど知らなかったのだ。アパルトヘイトが国際問題
となってからはCMも完全に姿を消していたが、本作
で登場して「そーいえばそんな物があったよなぁ」
と思い出させてくれました...悪役の設定としては世
界的に非難を浴びていた南アフリカ共和国の領事と
いうのはクレームの心配がないから丁度良かったん
だろうなぁ。

◎蛇足; 本作には、前作同様にディレクターズ・カッ
ト版が存在するが、大きな変更は無く未公開シーン
が細かい編集で挿入されているぐらいで、観比べな
いと解らないレベルであります。アメリカではDVD
が発売されているが日本では未発売のままで、それ
らの映像は特典映像という形で収録され未公開シー
ンとして観る事が出来る。


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