ユー・ガット・メール(1998) | つぶやキネマ

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大好きな「映画」について「Twitter」風に
140文字以内(ぐらい)という制約を自ら課して、
"つぶやいて"みようと思います...ほとんど
「ぼやキネマ」になりそうですが。

★注意!!! 作品の内容に触れています★


ユー・ガット・メール(1998)


 ニューヨークの街角で小さな児童書店を経営するキャス
リーン(メグ・ライアン)は、同棲中の恋人フランク(グレッ
グ・キニア)に隠れて"ショップガール"というハンドルネー
ムでインターネットで知り合ったハンドルネーム"NY152"
とのEメールのやり取りに夢中になっていた。実はこの"N
Y152"は、キャスリーンの店のすぐ側に大型書店「フォッ
クス・ブックス」の開店を目指しているフォックス・ブッ
クスの三代目ジョー(トム・ハンクス)で、お互いメールの
相手とは知らないままキャスリーンの店で出会う...という、
「桃色(ピンク)の店(1940)」のリメイクであります。製作
・監督・脚本ノーラ・エフロン、主演トム・ハンクス&メ
グ・ライアンという「めぐり逢えたら(1993)」のトリオが
再び集結したロマンティック・コメディの大傑作で、個人
的にはメグ・ライアンの最高作だと思っています。画面に
カーソルが現れクリックの後シンプルで可愛いCGアニメー
ションで描かれたニューヨークの街角をカメラが進みアパ
ートの前へ。ここからは実写になって、窓から入ってベッ
ドのキャスリーンの寝顔までワンカットで寄っていくカメ
ラワークはヒッチコックみたいで嬉しくなってしまう。オ
リジナル版では文通だったのをEメールに置き換えただけ
でなく、ふたりの関係性や登場キャラクターも大胆に変更
して、現代の物語としてキッチリ成立させた脚本と演出が
本当に素晴らしい(注1)。相性抜群なトム・ハンクスとメグ
・ライアンだけでなく脇役たちもみんな素敵で、様々な小
道具に工夫を凝らしたキャスリーンの児童書店やフォック
ス・ブックスの内部セットも見事だし、ニューヨーカーな
ら良く知っている場所も沢山登場していて楽しい(注2)。使
われている既成曲の選曲も洒落ていて、本作の内容に合わ
せてキャロル・キングが書き下ろした「Anyone at All」は
ホントに名曲(注3)。犬好きとしては、出番は少ないのだが
強烈な印象を残すジョーの愛犬ブリンクリーを演じたゴー
ルデンレトリバー(名前は不明)には特別賞を贈りたい気分
です。


●スタッフ
製作・監督・脚本:ノーラ・エフロン
製作:ローレン・シュラー・ドナー
製作総指揮:ジュリー・ダーク
原作戯曲:ニコラウス・ラズロ
脚本:デリア・エフロン
撮影:ジョン・リンドレー
音楽:ジョージ・フェントン


●キャスト
トム・ハンクス、メグ・ライアン、グレッグ・キニア、
パーカー・ポージー、ジーン・ステイプルトン、
ヘザー・バーンズ、スティーヴ・ザーン、
ジョン・ランドルフ、ダブニー・コールマン、
ハリー・ハーシュ、ジェフリー・スカペロッタ、
デイヴ・チャペル


◎注1; オリジナル版からの大きな変更点は「文通をEメー
ルに」「同じ職場だったのを同業者に」「ふたりとも恋人
無しだったのをふたりとも同棲相手がいる事に」「店主の
妻と店員の不倫は削除」等だが、お互いに最初の出会いが
一目惚れだった事を思わせる演出や、反目しながらも惹か
れ合っていく様子や相手に対しての態度の謝罪する気持ち
を強調していたり、"ショップガール"がキャスリーンだと
知ってからのジョーの心の揺れ動き等、細部に渡って物語
の進行をスムーズにするための工夫がされていて、観るた
びに感心してしまう。「めぐり逢えたら」でも映画の話題
がたびたび登場して楽しかったが、本作でも「ゴッドファ
ーザー(1972)」の台詞が登場し、トム・ハンクスによるマ
ーロン・ブランドのモノマネも観られます。スターバック
スでの注文に関する件は大笑いさせてもらいました。

◎注2; トム・ハンクスとメグ・ライアンは、今回は台詞無
しで気持ちを表現している場面が多く、特に"眼"の演技が
素晴らしい。メグ・ライアンは撮影当時36歳だったのでア
ップになるとさすがに年齢を感じさせるが、逆にその辺り
がリアルな感じがして素敵です。恋人フランクが出掛ける
のを確認してパソコンに向かう様子、店のお客や店員たち
との会話、バーティーでジョーの正体を知った時の怒った
顔、カフェで"NY152"を待っている時の表情とジョーが現
れてからの戸惑い、見舞いに来たジョーを応対するパジャ
マ姿、ジョーと和解してからの表情の変化、ジョーの謝罪
とプロポーズに対する戸惑い、ラストの泣き顔等々、全編
に渡ってメグ・ライアンの見せ場であふれていて彼女のフ
ァンにはたまらない作品なのであります。キャスリーンの
恋人フランクを演じたグレッグ・キニア、ジョーの同棲相
手パトリシアを演じたパーカー・ポージー等、脇役がホン
トに素晴らしいのだが、書店の会計係バーディを演じたTV
の名女優ジーン・ステイプルトン、店員のクリスティーナ
を演じたヘザー・バーンズ、店員のジョージを演じたコメ
ディアンのスティーヴ・ザーン、ジョーの祖父スカイラー
を演じた名優ジョン・ランドルフ、ジョーの父ネルソンを
演じた名優ダブニー・コールマン、ジョーの"伯母"アナベ
ラを演じ「トゥモロー」を可愛く歌い切ったハリー・ハー
シュ、ジョーの"弟"マシュー・F-O-Xを演じたジェフリー
・スカペロッタ、ジョーの助手ケビンを演じたデイヴ・チ
ャペル等々、適材適所なキャスティングと明確なキャラク
ター設定は、映画作りのお手本にすべきであります。画面
に登場する本やニューヨークの名所を紹介すると、本が1冊
書けそうです...誰か書いてくれないかなぁ。

◎注3;ノーラ・エフロン監督は、毎回既成曲のチョイスで
楽しませてくれるが、今回はハリー・ニルソンの「The P
uppy Song」「Remember」「Over the Rainbow」、ク
ランベリーズの「Dreams」、ボビー・ダーリンの「Splish
 Splash」、ロイ・オービソンの「Dream」、ボビー・デイ
の「Rockin' Robin」、ランディ・ニューマンの「Lonely
at the Top」、スティーヴィー・ワンダーの「Signed Seal
ed Delivered, I'm Yours」、ビリー・ウィリアムズの「I'm
 Gonna Sit Right Down and WriteMyself a Letter」、シ
ネイド(シニード)・オコナーの「I Guess the Lord Must Be
 In New York City」、そしてエフロン監督お気に入りのふ
たり、ルイ・アームストロング「Dummy Song」とジミー
・デュランテ「You Made Me Love You」が良い感じで使
われていて場面を盛り上げています...ハリー・ニルソンはホ
ントに泣ける。


 

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