添乗員独り立ちは添乗研修後、すぐにやって来ました。


冬にありがちな“かに食べツアー”です。


食べ放題ではなく、定食状のかにをいただく物です。もちろん食べ放題もありますが、基本かに足食べ放題で、頭つきの食べ放題はあまりないです。




そのツアーに行く前に“添乗準備”というものがあります。


準備内容

・参加者のご自宅にツアーの注意点や変更がないかを伺う電話を参加者の代表者に入電。

・立ち寄り先への入電。

・バスの座席を決める。

・持ち物の確認。

・添乗準備金、バウチャーのチェック。


これらは馴れたらすぐに出来るのですが、馴れるまでは段取りが悪くて時間が掛かるんです。何がどこにあるのか、どんなものが必要なのか、先輩添乗員に確認しながら揃えていきます。


まず、参加者への電話ですが不在時は再度電話をしなければなりません。立ち寄り先への電話ですが、お土産店などは人数の変更が出たとしてもさほど支障はありません。困るのは食事場所です。当日まで変更可能な場合はいいのですが、前日までに確定しなければいけない場合、キャンセルが出たら食事が無駄になってしまいます。なので人数の確定には気を遣いました。


そんなときほど連絡がつかない。旅行会社の考え方も様々で、確認電話を必ずしなければならない会社もあれば一切電話しなくてもいい会社もあります。


入金があれば大丈夫、取りっぱぐれない!


入金があればキャンセルされても会社的には問題はありません。ただ予約がギリギリで入金するタイミングが厳しい場合は当日添乗員が集金する、という方式を取るので未入金の人がキャンセルされた場合はキャンセル料を請求しなければならないのですが、中には身勝手な人もいて予約してやっぱり行かない、みたいな人。そんな人はキャンセル料も払わない場合があるんです。(※予約しては参加せずに入金もせずに参加しない、と言う常習犯がいました)


旅行契約の概念が全くない人には通じない“キャンセル料”ですが、これを踏み倒す人の多いこと、多いこと!キャンセルされると食事などはキャンセルできずに実費精算しなければならないんです。また宿泊先へのキャンセル料もです。


最少催行人員が30名だったとして、その人が参加するから30名になる場合、その人がキャンセルしたら29名です。30名だから最低限の採算が取れるとしているのに、29名だったら催行されない様な場合でキャンセルされたら旅行会社としては採算が取れずに商売にならないんです。それを理解していない人(20年前に70歳代だった一部の人)が平気でキャンセルするんです。電話すらしてこない。電話しても出ない。そうなると会社としては、


要注意人物


として次の予約は受け付けてもらえなくなります。


話が飛びましたが、この電話確認は本当に神経を使いました。イライラすらしました。


バスの座席を決める、ですが…。コメント欄に


“バス一番前”


と記されていることがあります。参加者名簿はあいうえお順のものもあれば予約順、入金順、いろいろありますが基本は予約順で前列から埋めていきます。もちろん一番最初の予約であれば一番前です。ですが出発1週間前に予約して最前列を希望されてもね。


「酔うから前で」


そういう人もいますが、最前列はバスの前輪の真上、ということが大半です。そこは酔うのです。酔うから、という理由は矛盾しています。それを平然と言うんです。本当に酔う人には


「酔わない席はタイヤとタイやの対角線の真ん中」


補助席なんですが、そこを教えるとそこに座られます。今はシートベルト義務があるので補助席は厳禁なんですが、景色が見たいだけの人は補助席を嫌がりますので、その後の言動はなかなか面白いです。正シートの方が断然座りやすいので最前列が無理だと分かるとなんだかんだで補助席には座りません。バスの座席にはいろいろ思い入れがあるので、それだけで枠が取れますので後ほど記したいと思います。


準備段階で波乱のある添乗には行きたくないな、なんて思うことも。ただ受付の方の所感が大きく左右される名簿のコメント欄は信用ならないものもあります。座席についてもお客様側が強く言っているのに記されていなかったり(身障者の方なのにそれが記されていなくて乗降の際に時間が掛かってしまったり)、クレーマーみたいなコメントがあってもクレームどころか非常に添乗員に協力的だったり。コメント欄でお客様の席を決めることもあるので、受付の人の個人的な感情が入るとツアー最中に問題が出ます。客観的な見方で記されたものであって欲しいです。


添乗準備物としては、ツアーで必要なものとして

・社旗

・参加バッジ

・車内販売があれば案内用にお見せするパンフレット、試食があればその数のカウント。


試食のお菓子、これは数が足りなかったら怖いです。食い物の恨みは…ってことです。過去に2回ほど数が少ないことがあり、事前確認していたので良かったですが、バタバタしていて確認できなかった時に数が足りなくて同じコースに行くツアーの添乗員にあまりがないか、なんて聞いて分けてもらったことがあります。バッジは基本50個は持っていきますが、たまに針が閉じられていない(配布する際に刺さるなどの怪我がある)ので、必ず閉じているかの確認と、2名参加の人が返却する際に2個セットに閉じられているので外しておくなど配布時に支障になりそうなことがないかも確認します。


添乗員の仕事って、ツアー中はそんなにないんですよね。でも出発前後って細かいことがいろいろあって、それを疎かにしたら痛い目に遭います。準備は特に大事です。会社から渡されている資料だけでなく事前に観光地の確認なども大事な準備業務だと思います。


失敗もたくさんしました…。そのうち記したいと思います。