入寮前日。
ついに息子が丸坊主に。
バリカン入れる前に涙を浮かべ
『なんで坊主なんだよ…坊主にしなきゃ野球出来ないなんておかしい』
『実力つけて坊主なくしてやる…』
まるで呪詛のようにつぶやきながらバリカンが入る。
確かにおかしい。
最近では減ってきたが、いまだ高校野球は坊主と言う変なルールを敷いている学校がかなりある。
この坊主って何でやるの?
これの意味は?
実は俺も高校は野球の推薦組だった。
しかし坊主になりたくないと他の部活に逃げて、当時の野球部部長からかなり叱られた。
まあ推薦組は大した扱いじゃないから諦めてくれたが。
坊主頭にどんな合理性があるのか?
意味は?
これ高校野球の指導に当たる人にいくつか聞いたが、誰一人として腑に落ちる説明をされた事がない。
やれ精神修行だ
やれ規則だ
やれらしさだ
全て旧態然としたものを継承しただけの、現代に則してない理由ばかりである。
おしゃれもしたい年頃。
なぜサッカー部やバスケやらはマッシュもツーブロックもアリなのに。
でもそこでやるなら仕方ないから、泣く泣くバリカンを入れたわけだ。
息子はブツブツ言いながらもルールに従った。
可哀想に。
家族や友達にまで頭を撫でられまくった息子。
意外と似合ってるのがせめてもの救いかな…
そして家族と最後の会食をし、いよいよ翌日に入寮となった。