回顧録
夏季全国大会が終わり、暑さのピークを超えた頃、この夏に最後の大きな大会であるNPB主催トーナメントが近づいた。
うちのチームはくじ運が良くないので、どの大会でもかなりの強豪と当たってきた。
で、今回も例に漏れずU-15日本代表候補2人を要するボーイズ全国3位…
で、ドラゴンズジュニア出身だらけ…
全国にもその名が聞こえている超名門チーム。
いつもくじを引く人が一緒だから、ちょっとお祓いにでも行ってほしいくらいだ。
まあ創設して間もない我がチームですから、どことやってもこんな感じなんだけど。
前日に移動して開会式のドームへ。
翌日に開会式。
なんと嬉しい事にドームでの開会式は入場行進もあり、NPB本拠地の素晴らしい音響のや映像の中で入場行進。
現中日ドラゴンズ現監督からのメッセージなど素晴らしいオープニングセレモニーが行われた。
子供達が頑張って連れてくれたので見れた光景である。
この大会は決勝のみドームで行わる。それまでの予選は他の会場となる。
ドームで決勝を戦えるのは2チームのみに与えられるご褒美。
しかもNPB公式戦の直前に試合をして、そのまま公式戦を観戦出来ると言う。
その球団のファンでなくても嬉しい副賞付き。
この大会の少し前から”この試合は息子を先発させる”と監督は公言していた。
どうやら監督の評価は少しだけ、夏季全国大会のピッチングを見て戻したようだった。
あと対戦相手が全国でも屈指の巧打のチームで有名な事もあり、小細工して勝負したところで太刀打ち出来ない。
だから、がっぷり四つで挑むのにはストレートに一番力のがある息子で挑もうと考えたんだろう。
先にも書いたが登板機会の少ない親を中心に(やれやれまたか…)という雰囲気を醸し出していたのもいたが、1つ言っておく。
主力ピッチャー3人しか対外試合では通用しませんて。
それに負けた試合は打てなかった時ばかりで、接戦をものにした実績はほぼありません。
野球は点取り合戦です、点を取ってなんぼです。
ピッチャーなんて所詮ただの縦なんですよ。
妬んで変な雰囲気出すくらいなら自宅で自主練でも手伝って、誰が見ても文句ないレギュラーになってください。
試合当日はゲリラ豪雨の影響でいきなり雨が降ったり、いきなり止んだかと思えばまた降るの繰り返しだった。
さて、先発の息子は小細工無しの力押しで向かっていく。
が、さすがは超強豪チーム。
ストライクゾーンの球は全て力強くスイングしてきた。
息子自体もそこまで調子が良いわけではなかったが、間違いなく相手のレベルが上のバッティングだった。
内野のエラーから綻びは始まった。
そこから連続安打でいきなり1失点。
そこから2回、3回こそ抑えるがここで雨が土砂降りとなり一旦休止。
全員で雨宿り状態で30分ほど待って試合再開。
この小休止は体を冷やしたのもあり良くなかった。
試合再開となり、肩が冷えたままマウンドへ上がり、更なる長打を連続で浴びてしまい気付けば4失点。
この時点で息子はマウンドを降りる事になる。
全力で立ち向かっていったが、単純に相手の方が実力が上だった。
これが超強豪チームとの差であり、現時点での息子との差であると言わざるを得ない。
これも経験だ。
で、この時点で中継ぎエースにマウンドを託す。
既に試合が決まってしまった雰囲気の中、後続のピッチャーは淡々と抑える。
すると見に来ていた保護者からは相変わらず
(やれやれ、最初からこの子に投げさておけば…)
みたいな顔や言動、雰囲気を出す人がいた。
おいおい、確かに息子は打たれました。
力不足だった、それは否めない。
が、失点のスタートはエラーからだし、何より試合を通じて1安打に抑えられたのは攻撃陣です。
前回の全国大会もチームでたったの1安打でした。
それに練習の大半をバッティングに費やしているチームなんですから、打たない困るんです。
敗因をピッチャーだけのせいにしないでください。
それに先発ピッチャーとは本当にきついもの。
プレッシャーもかかり、孤独にマウンドで戦うポジション。
好きでやっているにせよ頑張っているわけです。
県外での公式戦ではほとんどは初見の相手ばかりです。
それがいかに難しい事か。
それがどれだけプレッシャーが掛かる事か。
じゃあ、あなた方のお子さんを是非ピッチャーとして公式戦のマウンドに上げてみろと言いたくなる。
負けたのも、打たれたのも事実。
試合の決まった雰囲気のある中、中継ぎだったら息子だって伸び伸び投げれます。
実際に息子だって中継ぎの方が伸び伸びやれるって常日頃から言ってます。
本人も先発はあまり向いてないって理解してます。
指導陣も現金なもので、先発で結果が出ない子より、中継ぎで結果出してる方が評価をします。
でも実際にチームで息子より球が速く、三振を奪えるピッチャーはいません。
確かに不安定に見えますが、県外チームとの対戦成績がダントツで良いのは息子です。
いつかあの保護者で快く思っていなかった人、ここを見る機会があれば是非ディスカッションしましょう。
息子よ、保護者の誰も評価しなくてそれは関係ない。
気にするな。
だが俺は評価している。
お前は成長した。
でも今回は力不足だった。
チームとして負けた、だからまだまだ成長出来る。
と、いつも叱ってばかりいる息子を『擁護』させて頂きます。
試合が終わってから息子に感想を聞いた。
『上手かった。ストライクゾーンはカウント関係なく振ってくるし、スイングが強かったよ。実力で負けた』
実力不足をしっかり認め、しかし悔いが残る表情だったが、これが今の自分のレベル。もっと精進しなくてはいけない事を口にしていた。
貴重な経験値をこの試合を通じて手に入れているはずだ。
つくづく先発ピッチャーの難しさ、更に初見のチームへの難しさを勉強させられた試合だった。