人件費や役所の規模を見直す公務員制度改革を訴えるだけでなく、地方議会制度改革が必要です。多数会派に属さない一人会派、無会派の議員一人でできる改革方法は、「議会での交渉と調整、行政への調査と対外的情報発信」と考えます。よって、北区議会の現状について、区民から信頼される地方議会と評価される体制の構築を目指して説明を行い、公的責任を果たしていきます。

 1年の議員業務に携わり感じた北区議会の課題点は以下の通り。ここは、北区だけでなく他の地方議会でも共通する問題があります。

1. 議会運営の意思決定が「幹事長会」という法律に規定されていない機関で行われる事。この幹事長会とは、北区議会先例集によれば「議長が必要と認めた案件の協議及び各会派間の連絡調整のために、設置する」とあります。地方自治法や区条例で規定された機関ではありませんが、実質的にはここで議会運営の根本的な重要事項が非公開の場で一部の出席議員(交渉会派の幹事長)のみで決定される事が問題です。「北区議会先例集(平成275月最新版)」には、「幹事長会へは、非交渉団体(一人会派も含まれる)会派の幹事長もオブザーバーとして出席するのを例とする」とルールが記載されていますが、去年5月に開催された各派代表者会議の場で一方的に一人会派幹事長のオブザーバー参加が認められない決定が一部会派代表者不在(一人会派幹事長が参加・発言できない場で)の状況で決定されました。

公的に設置が義務付けられている機関では無い幹事長会が最高意思決定機関として議事運営が一部会派代表だけで決められ、議会先例集に規定されているルールや他会派(議員)の権限に関する重要事項を関係議員の意見聴取と説明を一切行わない手続きで非公開の場で決定されること自体が民主的ではありません。北区議会のHPには、「議会は区民の直接選挙によって選ばれた議員で構成されています。議会は区民を代表する機関であり、区民の意思を区政に反映させる重要な役割を担っています。」とあり、区民の意思を区政に反映させるためには、議会運営は公正公平なやり方が求められますが、今の意思決定手順は、「幹事長会で一方的に決定(本来、出席幹事長の全員一致が必要であるが、実際は反対会派があっても強硬に数の力で意見がまとまらない場合もある)→議会運営委員会で採決→出席議員の数の力で決定。→議会運営委員会には非交渉会派議員はオブザーバー参加もできなくなる予定。来月からただの傍聴のみ可能となる」です。この過程については、もろに議員と会派間の力関係であるパワーバランスの問題です。

2. 北区議会先例集の効力が弱い

 長い北区議会の歴史で先人の議員と会派が積み重ね、合意がされてきた基本ルールを集めたものが議会先例集です。当然に、区議会議員はこの先例集に従って仕事を行うべきと理解してきましたが、結局、この議会先例集についても上記「幹事長会」が開催され、出席幹事長で決定されてしまえば、先例集に記載があるルールはその時点で変わってしまいます。最初、長い歴史の経緯を経た思い議会ルール集と感じていましたが、今年度の幹事長会決定と会派見直し過程を見て、議会先例集としては効果が弱く、価値は薄いと判断せざるを得ません。


3. 北区議会基本条例が無い。

 基本ルールがしっかりしていないから、上記1と2のような事態が起こります。しかし、基本ルールである「北区議会基本条例」策定について、平成27年度の北区議会改革検討委員会で審議されましたが、結局今回も策定見送りです。そもそも、最大会派である「自民党会派」が策定に前向きではありません。当方は、条例制定だけでなくまず先に審議過程の情報公開が重要と提言しましたが、情報公開はされていません(議会基本条例設定の審議過程)。

 →1から3にかけての問題点は見えましたが、ここが体感できたことは価値がある事と判断します。その場に入り、活動する中で状況がわかります。また、こうした問題点は北区議会特有の事では無く、地方議会に共通する事が含まれています。

 当方は政治でも議会に限らず、どんな組織・社会にも課題点が無い事は無いと考えます。よって、課題点があれば、そこを理解したうえで自身の行動を計画し、豊かな区政を実現するための方策を行うだけです。よって、足の引っ張り合い、議会と他会派批判のみをしても問題解決はなりません。

 情報は価値であり、情報活用は武器になります。何千という専門職や政治家が問題提起しても改善が遅れていた保育士の勤務条件改善について、一般の方のブログ記事「日本死ね」で世論を変え、あっという間に「保育士報酬改善法案」が審議される運びとなる時代。むしろやり方次第では大きな改革が一人の地方議員でもできる可能性がある社会となっています。よって、他会派や行政批判をするだけでなく、自身の活動内容を考え、具体的対案と解決策を提示していきます。





 最後に、北区議会の問題解決として当方の具体的解決案を簡単にお伝えします。

 北区議会改革検討委員会の開催について、無会派議員の参加を許可し、各会派議員から提案された事項と各テーマの審議内容すべてを情報公開する事。できたら、区民とカメラが入ったオープンな場で、生の意見討論を公開する事。これこそ質の高い北区シティプロモーションになります。


 どんなに良い解決策を提案しても、実現不能であれば「言うだけ番長」と言われるかもしれません。しかし、問題解決の手順としては、状況把握→具体的解決策の提案→討論・交渉・調整→実現のために見える支障を無くす取組が必要。この過程で、討論・交渉・調整を行うためには議会内だけの戦いでは無理とよくわかりました。議会の外、つまりどれだけ関係性を地域の中で作れるかとなります。