正義が愚行に変わるとき | ふーちゃんのブログ

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こんばんわ星空

 

 

 

 

 

後始末がハンパない草刈りなどを勢いよくする夫くん。

掃き掃除、溝掃除が思いのほか足腰にきつくて、

黙々とするには気分が悪くなるのでギャアギャア言いつつ、お掃除ホストを勤めました。

本日はおじいちゃんの月命日、1ケ月って早いですわねー。

 

 

 

 

 

 

 

 

除草剤を使ったらひと月は楽でいられるのですが、

できるだけ天然のものでも使いたくはないのです。

 

 

 

医学の研究者であるポール・A・オフィット著、関谷冬華(訳)大沢基保(監修)

『禍いの科学』正義が愚行に変わるときー2020年11月発行ーから。

 

科学は人類に発展をもたらすもの。

しかし、発明はときに人類に取り返しのつかないほどの害をなす。

あるとき「世界を悪い方向に変えた発明のリスト」をつくることを思いついた。

さまざまな分野の友人たちに作ってもらった過去の最悪の発明リストをもとに、

「多くの人に死をもたらした」

「環境に害を与えた」

「その影響が現在にも残り続けている」

という観点から「世界最悪の発明」を選び出した。

 

 

「アヘン」「トランス脂肪酸=マーガリン」「窒素肥料」「優生学」

「ロボトミー手術」「「DDT禁止」「メガビタミン療法」の7つ。

 

 

 

 

世界最悪の発明リスト

アヘンとオピオイド系鎮痛剤

かつては「神の薬」として数々の病気の治療に用いられてきたアヘン。

今では個人には中毒を、

社会には破滅をもたらすものであることを誰もが認識しているだろう。

しかし、アヘンに匹敵する鎮痛効果を持つ薬物がないのも事実。

そこで、多くの科学者は、

アヘンの中毒性をなくし、鎮痛効果だけを残す方法を模索してきた。

 

 

 

モルヒネもヘロインも、そうした研究の成果として生まれたものだ。

どちらも信頼がおける画期的な治療薬として製薬会社が販売し、

広く治療に用いられ、後に大量の中毒者と死者を生み出すことになった。

 

 

近年では、同じくアヘンの成分から作られた医療用麻薬、

オピオイド系鎮痛剤の蔓延が、米国において大きな社会問題となった。

発端は、がん患者の終末期医療に際し、痛みを和らげる目的で

中毒性のある鎮痛剤を米国で投与されることが認められるようになったことだった。

 

 

その後、1986年に発表された論文で、

疼痛管理の専門家がアヘン類縁物質の鎮痛剤の長期服用は比較的安全で、

中毒性もなく、医師は鎮痛剤の使用をためらうべきではないと主張した。

 

 

この論文に乗じた製薬会社が、

1995年にオキシコチンという鎮痛剤を発売し、

簡単に手に入る薬物として人気を博することになった。

 

 

正常な使用では接種しきれないほどの大量の薬が全米で処方され、

結果として多くの中毒者を生み出した。

今世紀の最初の10年で、10万人以上が過剰摂取により命を落とし、

交通事故を上回り、米国における事故死の最大の原因となっている。

 

 

 

 

マーガリン(トランス脂肪酸)

米国の国民病である心臓病。

1950年代、大量の脂肪を摂取する国で心臓病の発症率が高いという調査結果から、

脂肪が控え目の食事がブームになった。

 

 

1977年には、脂肪を総カロリーの30%に抑えるべきだとするレポートが

上院委員会から発表された。

じつのところ、脂肪の摂取量と心臓病の発症率の相関については

裏付けはなかったにもかかわらず、

脂肪摂取の制限は米国政府の正式な政策になった。

 

 

 

脂肪を制限するという国策のあおりを受け、

米国ではバターの消費が落ち込み、

「心臓病によい」代替品としてマーガリンへと消費が移った。

 

 

1980年代に入り、

脂肪のなかでも飽和脂肪酸が心臓病のリスクを高めることを示す研究結果から

「不飽和脂肪酸は善、飽和脂肪酸は悪」という図式ができあがった。

ここでもやはり、飽和脂肪酸を含むバターを

不飽和脂肪酸を含むマーガリンに置き換えよと教えられた。

 

 

今世紀に入り、不飽和脂肪酸の一種である「トランス脂肪酸」こそが、

心臓病のリスクを高めているということが明らかになった。

長年米国で愛されてきたマーガリンにも、大量のトランス脂肪酸が含まれている。

 

 

 

悪玉だと信じられてきた飽和脂肪酸や動物性油脂を使用している食べ物を

糾弾してきた米国では、

いつの間にかもっと危険なトランス脂肪酸を全土に普及させる結果になってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


窒素肥料とアウシュビッツ

19世紀末、人口は作物生産量を上回るペースで増加しており、

いずれ深刻な食糧不足が起るだろうと考えられていた。

解決策は、化学合成により人口肥料を作るための「窒素固定」である。

 

 

土に含まれている窒素は、作物を育てると使い果たされてしまうため、

堆肥を使うなどして定期的に補充しなければならない。

この窒素が、生命サイクルの中で、もっとも弱い部分だったのだ。

 

 

 

この科学界の命題の追求に成功したのが、

ドイツの研究家フリッツ・ハーバーである。

1909年、空気中の窒素から液体アンモニアをつくり出す実験に成功。

その成果をもとに、アンモニアの大量生産が開始された。

40億人が限界といわれた地球上で、

現在70億人もの人類が生存できているのは、ハーバーのおかげである。

 

 

 

しかし、窒素肥料に含まれる窒素は、

水質汚染や酸性雨など、新たに環境問題を引き起こすことになった。

 

 

 

ハーバーがノーベル化学賞を受賞したとき、複数の人が授賞式をボイコットした。

それは肥料が引き起こした環境汚染のせいではない。

ハーバーの人道に反する研究のためである。

 

 

 

第一次世界大戦が始まると、ハーバーは従軍志願し、

窒素肥料の工場を爆薬(硝酸アンモニウム)の生産に使うことを進言した。

さらに、明確なハーグ陸戦条約の違反であるにもかかわらず、

ハーバーは毒ガスの開発と製造に乗り出し、実践で数万にも及ぶ敵国兵士の命を奪った。

ハーバーは毒ガスの研究を重ね、

化学兵器の中で最も危険なマスタードガスも使用した。

 

 

 

ハーバーの研究には批判も大きかった。

しかし、祖国ドイツに科学力で多大な貢献をしたこともまた事実である。

その地位は盤石かに思われたが、

ヒトラー政権下で、ユダヤ人であるハーバーは最終的には職を失い、

スイスへ渡ることとなる。

 

 

 

ハーバーがドイツで開発していた無色無臭の毒ガスは、

アウシュビッツなどの強制収容所で

100万人以上の同胞ユダヤ人を殺害するために使われた。

 

 

 

 

 

殺虫剤DDTの使用禁止

1962年、著名なサイエンスライターであったレイチェル・カーソンは

『沈黙の春』を発表し、

殺虫剤_とくにDDTと呼ばれる農薬が、

動植物や人間の健康に害を与えるものとして強く非難した。

 

 

 

この本は大きな話題となり、

カーソンの作家としての影響力の大きさもあってDDTに関する社会的関心が高まった。

そして、最終的には1972年に米国全土でDDTの使用が禁止となった。

 

 

しかし、禁止になるまでの専門家の公聴会では、

多数の証拠をもとに、DDTによって鳥や魚が死ぬことはなく、

人間の慢性疾患の原因にもならないと科学的に結論づけられていた。

DDTはほかの殺虫剤と比べても、はるかに安全性の高いものだった。

『沈黙の春』で描写された自然破壊は、科学的根拠に乏しいものでしかなかった。

 

 

 

それにもかかわらず、ときの環境保護庁の長官は、

公聴会の結果よりも世論への配慮を優先し、DDTを禁止するという政治的判断を下した。

これをきっかけに国際的なDDT反対運動に火がついた。

結果として世界中でDDTが禁止された。

 

 

 

その代償は大きかった。

ハマダラカに刺されることで感染するマラリアへの最も効果的な対策はDDTだ。

これが禁止されたことで、感染者は急増し、その数は数百万にも上った。

2006年、WHOはDDTの屋内噴霧を推奨する方針を示すに至った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ビタミンCの大量摂取

これまでのノーベル賞の歴史のなかで、

異なる分野で2つの賞を受賞した人物が1人だけいる。

それが、研究者と平和活動家としての実績を評価され、

化学賞と平和賞を受賞したライナス・ポーリングだ。

 

 

 

しかし、1960年代半ばに、彼の転落が始まる。

あるときポーリングは、

所要量の数十倍にあたるビタミンCを摂取する健康法をアドバイスされる。

所要量をさらに上回る量で実践したところ、

以前に比べて元気が出て、体調も気分も良くなり、風邪にもかからなくなった。

 

 

 

若返りの泉を見つけたと思い込んだポーリングは、

2度のノーベル賞受賞者という自分の地位を利用し、

ビタミンを大量摂取する「メガビタミン療法」を全米に広める活動を開始。

著書はベストセラーになり、数年のうちに米国人の4人に1人以上が、

そのアドバイスを実践するようになった。

 

 

 

しかし、その効果を確かめるために行われた研究のどれ一つとして、

主張を裏付けるものは出てこなかった。

それどころか、ビタミンCを大量摂取すると、がんのリスクが高まり、

心臓病の発生率も高くなることがわかってきた。

ポーリングは自分の誤りを認めることができず、

ビタミン・サプリメントという巨大で空虚な産業は育ち続けていった。

 

 

 

 

つづく・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この本の原題は「PANDORA’SLAB」。

当初の意図に反して「パンドラの箱」を開けてしまい、

世界に禍いをもたらすことになった研究。

わずかばかりの独善や功名心が正義感から生まれたはずの研究を

少しずつ捻じ曲げていく。

その一方で、そうした発明を熱狂的に受け入れた社会があった。

科学とのつきあい方が、現代ほど問われている時代はないようです。

 

 

 

初夏の頃、

虫に食われて網タイツみたいに葉脈しか残ってなかったナスビが、

勢いを増してきました。

洗濯マグちゃんを使って、洗濯水を毎日かけました。

農薬を使うのはどうしてもイヤなのです。

洗濯マグちゃんを洗濯よりも畑で使っているのは、わたしだけでしょうか。

 

 

 

 

 

 

実りの秋をむかえ田んぼのあちこちで

スズメを追い払う打ち上げ花火の音が響くようになりました。

長雨がつづき稲刈りも例年より遅くなるようです。

米蔵のなかも空っぽになりました。

新米を迎えるのが待ち遠しい今日この頃でございます。

 

 

 

 

では、また明日^^

 

 

 

 

 

 

 

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